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取り敢えず現状把握?

文章量が一定じゃ無く申し訳ありません。

今後もキリのよい所で切っているので短い部分と長い部分が入り交じると思います。






 目に刺さりそうな程強い陽の光にあてられて私はゆっくりと目を開ける。

 此処は私の部屋。

 辺りを見回しても私は違和感を感じない。

 ちょっと高そうだなぁと思う所、感覚は『向こう』よりなのかもしれないけど。

 

 どれだけ寝ていたのかは分からない。

 けど、ちょっと体を動かしたらギシギシと悲鳴を上げているから、それなりの期間寝ていたのかも知れない。

 私はゆっくりと痛みを感じないペースで体を起こす。


「……うん。手が小さいし髪の色は銀色だね」


 私はキースダーリエ=ディック=ラーズシュタイン。

 ディルアマート王国のラーズシュタイン公爵家の令嬢。

 そして『地球』で生きた女性の記憶をつい先程完全に思い出した。

 完全にって言うのはこうなるまでに心の中で前世の『わたし』と会話みたいなモノをしていたから。

 てっきりイマジナリーフレンドや妖精かと思っていたけど、事実はもっと可笑しかったって訳。

 そのお陰で助かった事も多いから口が裂けても嫌だったなんて言えないんだけどね。


 五歳のキースダーリエの記憶もキチンとあるし、人やこの世界に対しての感情は『わたくし』だった頃の記憶がベースで構築されている。

 多分体が無意識下で覚えている事も今までと何も変わらず動くと思う。

 ただ思考に関してはどうしても前世の『わたし』に寄る。

 って言っても「キースダーリエが全く『わたし』と違う性格だったのか?」と、聞かれると「根本は一緒」って答えになる。

 世界単位で環境が違うし、取り巻く人間関係も全く違うから違う性格になるのは必然。

 けど根本が一緒だから『わたし』の言動や考え方は『わたくし』でも十分に納得出来るし『私』も然程可笑しいとは思わない。

 結局、同じ環境、同じ人間関係で生きていれば同じ性格に至るって事なんだよね。

 

 つまりは五年間生きた『わたくし』も地球で生きた『わたし』も今此処でこうしている『私』も変わらないって事。

 別にキースダーリエを乗っ取った訳でも無いし、本当にただ『前世』を思い出したお陰で思考が多少成熟したって言えばいいんじゃないかな?


「それにしても……どれくらい寝てたんだろ?」


 そして私は部屋から出てもいいんだろうか?

 前世を思い出したから服くらい一人で着る事は出来る。

 ただ『キースダーリエ』はその行為をメイドの仕事を奪うからとあまり乗り気ではない。

 うーん。

 今思ったけど、二重人格とまでは言わないけれど、意識の摺り合わせが完全じゃないような気がするかなぁ?

 けどこれもその内違和感を感じなくなると思う。

 全部ひっくるめて『私』になるんだろうね、きっと。


 そんな事を一人で納得していると扉が音も立てずに開く。

 静かに入ってきたのは『キースダーリエ』……ううん、私の専属メイドであるクロリアだった。

 茶色の髪に黄色の眸をしている少女で美少女って容姿なのに表情が出にくいのか無表情って事が多い……らしい。

 私の前では結構目が語るって言うか、普通に表情が変わるから、私はクロリアが無表情って思った事は無い。

 今だって私が起きていると思っても見なかったのか、驚きの表情で固まっているし。


「……お、嬢さま?」

「リア?」


 リアの絞り出すような声に私はどれだけ寝ていたのか、ちょっと心配になった。

 けどそれを質問する前にリアは私に一礼すると普段の落ち着いた態度は何処に行った? という感じで足音を立てて部屋を出て行ってしまった。


 ――あーこれって。もしかして小説とかでよくあるパターンなのかな?


 私にとってあの青味がかった黒い空間で居た時間は短い。

 けど、現実世界では結構寝込んでいたのかもしれない。


 ――まさか、と思うけど。瀕死だったとか言わないよね?


 それは無いと思いたいけど、こうなった原因の出来事を思い返して僅かな頭痛を感じてしまう。

 『わたくし』はあの【気持ち悪い何か】を完全に振り払った。

 だから後遺症的なモノを私は感じていない。

 けど、あの時感じた気味悪さや苦しみ、そして痛みはあのまま負けてしまえば命すら危うかったはずと私に告げている。

 つまり私は命を脅かされたって事になる。

 その後、それなりの期間意識が無かったって事になれば?

 まぁ暫くは無茶するな的な療養期間になる事を覚悟をした方がいいかもしれない。


 ――心配もかけちゃっただろうし……少しくらい我慢しなきゃ駄目だよね。


 今すぐしたい事はあるけど、しばらくは記憶の整理と摺り合わせにあてるしかなさそう。

 私は聞こえてくる複数の足音にこれからしばらくベッド暮らしを覚悟せざるを得なかった。



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