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自殺少女  作者: 雨時雨
3/3

とある男の日記

 月 日( ) 天気:

 明日から四九番の監視をする。この前の四八番は騒いで暴れて、手のかかる人間だった。手のかからない人間であることを願う。



 月 日( ) 天気:

 結果から言うと四九番は手のかからない人間だった。少し声を荒げていた時もあったが、まぁあれは混乱していただけだろう。よくあることだ。四九番の昔話を聞いた。長くてあまり覚えていない。

 自分たちのしていることは間違っているのか。そんな疑問がずっと頭を回っている。あそこで断罪してくれた方が楽だったのに。正しいことをしてるとは自分も思わないから。正しいことをしていないとはいえ、今ここでこの仕事を辞めれば確実に殺されるだろう。こんな違法性極まりない仕事をあっさり辞めれるわけがない。死にたくはないからこの仕事をするしかない。



 月 日( ) 天気:

 四九番の検査中、まだ日記を書き続けているのかと検査員に言われた。四九番はぐっすり眠っていて、そんな俺らの会話を聞いている気配もなかった。検査員はため息まじりに、日記をつけるのを止めないと俺自身が壊れると言ってきた。何も言い返せなかった。しかし、これは俺の懺悔(ざんげ)のようなものである。書くのを止めることは無いだろう。

 検査を終えた四九番を送り届ける。最期というのに、泣きもせず暴れもしなかった。あのような奴が一番、辛い。いっそ泣いて暴れてくれた方が非情になれるというのに。別れの挨拶の時、俺は顔を上げれなかった。上げる資格が無いと思った。顔を上げたときには四九番は遠くへ行ってしまっていた。

 あの俯いている時、きっと四九番はこちらを見ていた。どんな表情をしていたのかは分からないが、最期くらい笑っていたことを願うと共に、本当にあの時、彼女が笑顔だったのならば俺は謝らなければならない、と思う。

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