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番外編4.竜人と巫女のゲーム

かなり本編と時代が近づき、ドムスが冒険者になった頃のグラジオン大陸南東部でのお話です。

 レムが“ソレ”を見つけたのは、気まぐれからくるほんの偶然だった。

 立場上、義務として課されている闘技の鍛錬に飽き、気晴らしに少し遠くまで散策しようと館の裏手に広がる森を逍遥していたところ、川辺に流れ着いた意識を失った“人間の少女”を見つけたのだ。

 どうやら、即座に命に関わる程ではないが、かなりヒドいケガをしているようだ。

 一瞬躊躇したものの、見捨てておくワケにもいかず、レムは仕方なく少女を抱えて館に戻った。


 * * * 


 目が覚めた時、傍らには異形の存在が侍っていた。

 「きゃー、おばけー……」

 「いや、思い切り棒読みですよ?」

 うるさいわねぇ。起きぬけに異形の輩を目にしたら、つい悲鳴をあげてしまうのも、うら若い乙女としては無理もない話でしょ。

 「“うら若い乙女”、ですか……」

 呆れたような声は、あえて聞こえないフリ。

 こう見えてあたしは、花も恥じらう芳紀16歳のかよわい少女なのだから。

 「その自己描写には大いに異論をさしはさみたいトコロではありますが……」

 「何よ~、嘘は言ってないでしょ、嘘は」

 ついにツッコミを無視できなくなったあたしは、口を尖らせて傍らにいる“友人”に抗議する。

 そう、友人。

 たとえ、皮肉屋のクセに実はお人好しの苦労性で、まがりなりにも一国の王族でありながら荒事と流血沙汰が苦手で、おまけにいかつい顔に似合わぬ少女趣味なトコロがあるとしても。

 そして、人間(ヒューマン)ならぬ存在──竜人(サウロイド)だとしても、コイツがあたしの命の恩人であり、友であることは間違いない。


 「──褒めてるのか貶しているのかどっちなんです?」

 「あら、一応、好意的に表現したつもりなんだけど?」

 シレッとした顔でそう告げると、コイツ──竜人の国ドラクタリヌースの第二王位継承者にして宮廷執務官長(本人いわくお飾りの名誉職らしいけど)レムルス・ディノ・ナガラは、鱗で覆われたその暗緑色の貌に力無い笑みを浮かべた。

 追加その1。コイツは、鉄面皮と無表情がウリの竜人のクセに、表情豊か過ぎるわね~。


 そうそう、竜人ってのは、その名の通り、リザードマンの頭を竜にしたような種族のことね。

 平均身長は180センチくらいで、このグラジオン大陸で多数派を占めるヒューマンやエルフと大差はないんだけど、その2種族に比べて、かなり骨太でガッチリした体型をしてる。まぁ、ドワーフ程ムキムキマッチョって感じじゃないけどさ。

 全身を竜っぽい鱗に覆われていることもあって極めて頑健で、多少動きが鈍重な傾向もあるけど、優秀な戦士(ファイター)になり得る素質を持ってる。

 寿命も、400年を超えるエルフ程じゃないにせよ、ドワーフ同様200年くらいは平気で生きるらしいし、平均年齢が100歳にも満たないヒューマンからしてみれば羨ましい限りね。

 泣き所は、出生率が低めなのと、知能があまり高くない……って言うか、考えることを苦手とする者が多いってトコロかな。大半の竜人が、「グダグダ考える前にまず動け!」って性格だし。

 もっとも、平均的傾向はともかくトップクラスの知能や知性はヒューマンにそうそう劣ってはいないと思う。その証拠に、竜人にも、かなり頭が良くないとなれない魔術師や魔法剣士なんかも、少ないながらちゃんといるしね。


 「で、今日は何の用なの、執務官長サマ?」

 半ば名誉職とは言え、まがりなりにも官位をもって宮廷に仕えているレムが、真っ昼間から“招かれざる賓客”であるあたしを訪ねてくるなんて、普通はあり得ない。

 いくら、ここの宮廷(と言うか王族)がフランクで、かつあたしがココの王様と王妃様の両方に気に入られているとしても、ね。


 「……十日後、アキツへの公使派遣が決まりました」

 渋々という感じで(本当に、コイツの表情は読みやすい)レムはその言葉を絞り出す。

 「そう。つまり、あたしもその使節団に同行しろってコトね」

 よんどころない事情でこの国でニート同然の生活をしているとは言え、故国に帰ればあたしは、傍系とは言え王家の血を引き、国家祭祀の中では第三位に位置する「霊奮(たまふ)りの巫姫」だ。

 ……いや、その事実(王家の血云々)を知ったのはここに拾われるほんの数日前なんだけどね。自分では単なる辺境(いなか)の巫女見習いだと思ってたし。

 て言うか、できれば一生“辺境の一巫女さん”として気楽に暮らしてたかったんだけどなぁ。先代の霊奮りの巫姫が斃れたコトで、急きょその後釜が必要になったからって、数ある候補の中から抽選で選ぶのもどうかと思う。

 ま、先の「大災害」以来、望まずして鎖国に近い状況にあるこのドラクタリヌースにとっては、「行方不明の巫女を保護してました」ってのは、国力的には中堅と言っていいウチの国アキツに対するこの上ない取引材料だろうし。

 一宿一飯以上の恩義があるから、そのコトでこの国の上層部を責める気は、あたしにもない。


 「申し訳ないのですが、そうせざるを得ません。我が国と貴国アキツの関係は、最悪とまではいかなくとも、友好的とはお世辞にも言えません。

 我々にとってアキツと関係を持つことにメリットは大きいのに対し、アキツ側にはそれほど得る物はない。しかし……」

 レムは言葉を切ったが、あたしにもその先は分かる。

 「国家の要職たる霊奮りの巫姫候補を助けたとなれば別。仁義を通すウチのお国柄からして、それなりの譲歩を得られるって寸法ね」

 「はい……」

 済まなさそうにうなだれるレム。

 「別にアンタが決めたわけでもないでしょ。そんなにしょげなくてもいいじゃない」

 ホント、竜人にしては繊細過ぎる。よく、こんなんで、ドラクタリヌースの第二王位継承者なんてやってられたわね~。


 「とほほ、よく言われます……怒ってないんですか?」

 「まぁ、自分の素姓を明かした時点で、遅かれ早かれこうなることは予測していたしね」

 さっきも言った通り、一宿一飯の恩義があるから、その程度“利用される”こと自体は、別段構わないんだけど……。

 でも、王都ヤマトなんて都会に連れていかれて、そこで堅っ苦しい巫姫としての修行を強制されるんだろうなぁ……と思ったら、ちょっとゲンナリ。

 「そうなんですか? 私に言わせれば、“東方文化の華”とも言われるヤマトに行けるなんて、夢みたいな話ですよ。たしか、あそこは異邦人の出入りには制限をかけてますよね」

 「みたいね。もっとも、コウラ国やシン国の人間は、アキツ人と見分けにくいから、割合気楽に出入りしてるらしいけど」

 だいたいあたしは、森ガールなの。マイナスイオンとフィトンチッドをこよなく好む、自然派なのよ!

 確かにヤマトに好奇心を抱いてないと言えば嘘になるだろうけど、後継者が見つかるまで、下手したらほぼ一生街中に閉じ込められて過ごすなんて、憂鬱過ぎるわ。

 「はは、貴女らしいですね。東方文化に興味のある私としては、できれば代わってさしあげたいところですが……」


 ──キュピーン!

 「……本当にそう思う?」

 「へ? え、ええ、まぁ。私はご存知の通り、この国ではかなり変わり者の部類に入る“文化人”ですからね。

 巫女としての務めがあるとは言え、何も神殿に軟禁されるわけではないのでしょう? 外出時に珍しい本や文物を見つけたら……」

 「ぜひ、送ってくれ」と続けるつもりだったのだろう。しかし、あたしはガシッと力強くレムの両肩に手を置いた。

 「その言葉に、二言はないわよね、ドラクタリヌース国第二皇子レムルス・ディノ・ナーガラー殿?」

 あたしの異様な迫力に負けたのかコクコクと頷くレムを見て、あたしはニヤリと人の悪い笑みを浮かべる。

 「そ。じゃあ、「霊奮りの巫姫・千剣破澪霧(ちはやれいむ)」の代役よろしく~」

 「……は?」


 * * * 


 「パパさーん、レムがOKしてくれましたよーー!!」

 あたしは、目を白黒させているレムの手を引っ張って、国王の執務室へと向かう。

 普通は、異国の王族の端くれとは言え無位無官の人間が、そう簡単に一国の王に面会なんてできないモノなんだけど、あたしは執務室は元より国王夫妻の私室にすら、特別にほぼ顔パスで出入りを認められている。


 「ほほぅ! コヤツにそんな度胸があったとは……いや、少し見直したぞ」

 執務室で、片眼鏡(モノクル)をかけ、書類に目を通しつつ、ペッタンペッタンと判子をついてた壮年の男性竜人が、ガタッと椅子から立ち上がり、意外そうな声をあげる。

 この人が、聖統ドラクタリヌース王国の現国王、パパルゥドォン・ブルゥチ・ディノ・ナガラ。身長200センチ近い偉丈夫ながら、気さくで豪快なその性格から、国民に慕われ頼りにされている竜人族の王様だ。

 こうやって文官的な仕事をしてるのもなかなかサマにはなっているけど、勇敢にして剛毅な竜人の長として、やはり本領は武人。護衛の戦士団の猛者を含めても、この王様の槍さばきに敵う人はいないらしい。

 「あなた、まだ午前中のお仕事は終わってませんわよ?」

 その傍らで、国王以上に大量の書類を恐ろしい速さで処理している竜人女性が、王妃であり国王の秘書官でもあるィョーママ・ミィーヤ・ディノ・ナガラギ様。

 要するに、レムのご両親ね。


 ちなみに、王様と王妃様のファーストネームは、どちらも人間のあたしには正確に発音しづらいので、ご本人達の許可を得て「パパさん」「ママさん」と呼ばせてもらっている。

 いや、最初はちゃんと普通に「陛下」って呼んで、それなりの態度とってたんだよ? でも、何度か謁見(というか面会?)しているウチに、気に入られちゃって「名前で呼べ」ってコトになったのよねー。

 まぁ、この国は、ウチ(アキツ)とかシン国とかに比べると、随分と王家と民の垣根が低い方なんだけどさ。それでも、ここまでフランクな王様は、歴代でも珍しいらしい。

 今じゃ、朝夕のご飯は、国王一家に混じって御馳走になってるし、半分家族的な扱いを受けてる。幼い頃に両親と死に別れたあたしにとっても、王様達は種族こそ違えど「父さん、母さん」って感じがして大好きだから、けっこう嬉しいんだけどね。


 「それはそれとして……レムルス、よくぞ決意してくれましたね」

 クールで有能な秘書官の顔から、優しい王妃いや母の顔になって、ママさんは息子を褒める。

 「は? いや、まぁ……はは」

 不要領な顔をしてる(まぁ、実際わかってないだろうけど)レムは、それでも愛想笑いのようなものを浮かべて、曖昧な答えを返す。

 あーー、もうっ! そんな風に「なぁなぁ」な態度で面倒事をやり過ごそうとするのは、アンタの悪い癖よ!

 もっとも、レムがこういう性格に育ったのは、環境によるところも多いから、一概に責めるのも酷なんだろうけど。


 ドラクタリヌースでは、戦士の長として“優れた王”には何よりも腕っぷしが求められる。無論、国のトップともなれば、脳味噌ぷーではやってられないけど、一般常識と良識さえわきまえていれば、国政は有能な補佐がいれば何とかなる。

 その意味では、パパさんは水準を大きく上回る“名君”だと言っていいんだろう。書類仕事は苦手だとか何とか言いながらも、キチンと部下からの報告その他に目を通し、極めて適切な判断を下してるんだから。

 オマケに「黎明の才女」と謳われし文武両道の女傑であるママさんが、妻として秘書として補佐するだけあって、臣下や国民からの不満はほぼ皆無みたいだし。


 しかしながら、偉大なる親のもとに生まれた子供が必ずしも幸福か、と言うとそうでもなくて。

 強き戦士になるには体格も膂力も誠にお粗末な身体に生まれ、偉大な父母と比較され、陰口をたたかれ、それでも母譲りの魔力の高さを活かすべく高度な魔術を懸命に覚えても、残念ながらいまひとつ報われない。

 この国では、術師やそれに類する職に就くのは、身体能力が劣る女性が圧倒的に多いのよね。蔑視されてるワケではないし、むしろある意味頼りにはされてるんだけど、やはり“戦場の花形”は戦士系で、術師系はその補助って感じ?

 お国柄の一言で済ませるには、本人にとってはあまりに重い現実よね。

 そんなワケで、将来の夢と希望を見失いがちなモラトリアム王子様は、両親がどうも苦手みたい。尊敬はしてるし、決して嫌っているワケでもないんだけど、積極的に関わりたくない、ってトコかしら。


 とは言え、今回の“企み”は、ソコが付け目だったりする。

 ククク……あたしも悪よのぅ。

 「では、ママさん、早速儀式を……」

 「そうですね。あなた、あとは頼みましたよ」

 ママさんが抱えていた分の書類をドカドカッと足されて、竜人にも関わらずあまりにわかりやすい絶望の表情を浮かべて崩れ落ちるパパさん。その尊い犠牲を尻目に、あたしとママさんは、何やら嫌な予感に逃亡しようとするレムの両腕をとって連行。

 王族しか知らないはずの(あたしに教えていいのかしら?)秘密の地下室へと連れ込む。


 「さて、と。まずは澪霧ちゃん、あなたからね」

 「あいあい、髪の毛と血と汗、そいでもって唾液と愛液でしたっけ。ココに持って来てありますよ~」

 他の4つはともかく、最後のは、さすがに他人に見られながらヒネり出すのは、花も恥じらう乙女としてどーかと思うし。

 ともかく、その5種類を入れた細いガラス瓶をママさんに差し出すと、彼女は直径3メートル程の三重同心円に五芒星が書かれた魔法陣のその星形の各頂点に、あたしが渡した瓶を置いて儀式に入る。


 「いったい何をする気なんですか?」

 ようやく逃亡を諦めて大人しくなったレムが、いかにも“怖いもの見たさ”的な微妙な好奇心を隠しきれずに聞いてくる。

 「ふっふーーん、まぁ、見てなさい。すぐにわかるから」

 確か、アレが出来るまでに、それほど時間はかからなかったはず……。

 ──とあたし達が話しているあいだに、ママさんの詠唱は終わり、右手に持った宝杖が振り下ろされると、杖の先からとてつもない量の魔力が迸り、魔法陣に注ぎ込まれた。


 「はぁ~、何度見ても流石よねぇ。「紅竜の魔女(クリムゾンウィッチ)」の名は伊達じゃないったコトかしら」

 エルフや魔族は元より、あたし達人間やドワーフと比べても、竜人の魔力はあまり高い方じゃない。いえ、より正しくは「魔法に使える魔力が高くない」と言うべきかも。

 魔力の塊りが実体化したような一部の魔族を除くと、この世界でもっとも魔力に溢れた肉体を持つ竜に連なる種族ではある(と言われている)ものの、同時にその魔力の大半は、肉体を強化する方向に費やされている。

 だからこそ、逆に身体的強度がそれほど高くない女性の竜人のほうが、概して優秀な魔術師になれるのだけど……それにしたって、ママさんのソレは桁が違う。人間の大魔導師級と比べても遜色ないわね、たぶん。

 まぁ、あたしが直接知る“大魔導師”なんて、死んだお祖父ちゃんくらいなんだけどさ。


 バチバチと電撃のような火花をあげつつ、魔法陣内──正確には描かれた五芒星上を凄いスピードで駆け巡っていた魔力塊が、それでも徐々に小さくなっていくのと引き換えに、魔法陣の中心に、何かが出現しようとしていた。

 「え!? アレって……え? まさか……」

 あたしのそばにいるレムがちょっと焦ったような声を出す。

 「そ。アレは間違いなくあたし」

 少しずつ少しずつ、陽炎のような姿から明確に質感を持っていくソレから目を離さず、あたしはレムの推測を肯定した。

 そう、大理石の床に描かれた五芒星の中央には、眠るように目を閉じた、あたしと瓜二つの全裸の少女の身体が出現しつつあったのだから。


 「複製体(ドッペルゲンガー)? いや、そんなのは古代文明帝国時代ですら超高難度の禁呪のはず……」

 床の上の“あたし”を憑かれたように凝視しながら、レムはブツブツ言ってる。


 賢者クラスでもない限り知らない「複製体」の知識を持ってるのはさすが本の虫だけど、一応、アレは“あたし”とまったく同じ外見なんだから、ガン見するのは自重してね。

 「! す、すみません」

 言われて気付いたのか、アタフタしながら目を逸らすレム。

 「ふふっ、まぁ、もうちょっとだけ待ってなさい。すぐに好きなだけ見れるようにしたげるから」

 「へ?? それはどういう……」

 ワケが分からない様子の彼はあえて無視して、ひと仕事終えたばかりのママさんの元へ駆け寄り、自作の霊水を指し出す。

 「ふぅ……ありがと、澪霧ちゃん」

 キュポンと竹の筒に入ったそれの栓を抜くと、疑いもなく中味を飲み干すママさん。

 いや、渡した本人が言うのもナンだけど、一応王妃として毒見とか気にしなくていーのかしら?

 「あら、わたしにとって澪霧ちゃんは娘みたいな存在ものですもの。我が子が手ずから造ってくれたものを疑うつもりはないわ」

 え、えーと……ちょっぴり気恥ずかしいけど、やっぱりそう言ってもらえるのは嬉しい、かな。


 霊水のおかげで、幾許か魔力が回復したママさんは、レムを手招きした。

 「はぁ……何がなんだかサッパリですけど、結局コレは何の騒ぎなんですか?」

 「まだ、内緒です。レム、ちょーっと痛いけど我慢できますね?」

 「は? な、何を……」

 慌ててレムが問い返す前に、あたしはレムの鼻先に睡涎香の粉をブチまけた。

 「! …………zzz」

 不意打ちは成功して、たちまち意識を失うレム。


 「あら残念。【雷撃痺弾(ボルトパラライズ)】で気絶させようかと思ってたのに」

 「まだまだ魔力は必要なんですら、無駄遣いしないで下さいよ」

 それに、さすがに母親から電撃魔法でスタンさせられるのは哀れ過ぎる。そもそも、レムの場合、術師として魔力抵抗値が高いから、気絶しない可能性もあったし。それじゃあ痛いだけ損だ。

 「確かにそうね。じゃあ、始めましょう」


 あたしと瓜二つの姿(ただし全裸)をしたソレを、抱き上げて部屋の隅の長椅子に横たえる。

 そうして空いた魔法陣に、今度は意識を喪ったレムの体を引きずって安置。

 アタシが魔法陣を出ると同時に、ママさんが詠唱を開始し……それとともにレム全身がぼうっと光り始める。

 その光は、徐々に胸のあたりに集まって強くなり……最後に、カパリと開いたレムの口から、光の球となって、飛びして来た。

 「おっと」

 素早く、霊糸を編んだ特製の網で光球を捕まえる。

 「澪霧ちゃん、ナイスキャッチ! あとは、ソレを“入れる”だけね」

 あたしとママさんはニッコリと顔を見合わせた。


 * * *


 目覚めの気分は最悪の半歩手前だった。

 二日酔いにでもなったみたいに頭が重いし、体の感覚も変だ。

 (くぅ~、やられましたね……)

 電撃でスタンした時特有の痛みはないから、多分母の魔法ではあるまい。

 おそらくは、澪霧がかざした手で何かの薬をかがされたのだろう。まぁ、電撃魔法をくらって強制失神させられるのよりは穏当な手段だと言えるだろうが……。

 「こういう時、アキツのことわざでは五十歩百歩と言うんでしたっけ」

 何気なくその言葉を口にしたところで、不意に違和感が強まる。


 ──今、耳にした声のトーンが変ではなかったか?

 「お~、もう目が覚めたんだ。予想より早かったけど、ウン、お着替えも終わったところだから、ちょうどいいかな」

 感心したようなおもしろがっているような澪霧の声。

 「澪霧さん! 流石に何の説明もなしコレは……」

 ゆっくりと目を開けて身を起こしたレムは、目に飛び込んで来た映像情報が信じられず、思わずゴシゴシと目を手で擦った。

 目の前にいるのは、両瞳に好奇心を爛々と輝かせた澪霧。コレは、まぁいい。いや、正直さっきの状況を問い詰めたい気もするが、一旦棚上げしておこう。

 だが……今目をこすった自分の小さな白い掌や、視界の端をかすめる長い黒いもの、さらに視線を下に転じると視界に入って来る白と赤の衣裳は、一体何なのか?

 聡明なレムは、おおよその事態を悟っていたが、彼はソレを認めたくなかったのだ。


 「こらこら、往生際が悪いですよ? はい、鏡」

 しかし、無情なる宣告は、彼自身の母親からもたらされる。

 手渡された鏡を覗き込んだ彼は──半分は予測していたとは言え──そのまま毛布をひっかぶって現実逃避にふて寝をしたくなった。

 言うまでもなく、鏡に映るレムの姿は、今目の前にいる異国出身の友人、千剣破澪霧と瓜二つの“人間の少女”になっていたのだから。


 * * *


 「──それで、一体どういうつもりなんですか?」

 母と人間(ヒューマン)の友人が、地下室で和気あいあいとお茶している様を、こめかみに井桁マークを浮かばせたまま、しばし見守っていた少女……の姿になったレムだが、ついに痺れを切らして直接、そう問いかける。

 「あら、言ってなかったかしら?」

 「何ひとつ聞いてませんよ!」

 首をひねる母のトボケた様子に、温厚なレムもさすがにキレかける。


 「いやいや、思い出してみなよ、レムルス殿下……いや、今は「レムちゃん」、かな? あたしの部屋で、バッチリ了解してくれたじゃない」

 そう言われて、小半時ほど前の澪霧との会話を思い出し……そして現在の自分の状況と考え併せて、非常に嫌な結論にレムは達した、達してしまった!


 「ま、まさか……私に澪霧さんの身代わりになってヤマトへ行け、なんて言いませんよ、ね?」

 「うんうん、さすがにこれだけ状況が揃うとわかるか。じゃ、そーいうことで」

 「がんばってね、レムちゃん」

 ニコニコと笑い合いながら、地下室を出て行こうとするふたりの足に、なりふり構わずすがりつく。

 「それだけで納得できるわけないでしょう!? お願いだから、もう少しキチンと説明してください!!」


 まぁ、流石にソレは冗談だったらしく、踵を返したふたりはレムに向かって、幾分真面目な説明を始める。

 「偶然とは言え、澪霧ちゃんを助けたことで、我が国はアキツに貸しができた。コレはいいわね?」

 母后の言葉に頷くレム。

 「でもねぇ、正直ソレって国の根本方針を揺るがすほどのものじゃないワケよ。

 たとえばあたしが十数年「霊奮りの巫姫」を務めてた……ってんなら、多少は影響力もあるだろうけど、あくまで今のあたしは、“神託によって次の巫姫になるとされた巫姫候補”でしかないワケだから」

 自分のことなのに、あっけらかんと話す澪霧。


 「でも、それは、これから少しずつ澪霧さんに頑張っていただければ……」

 「やーよ、メンドくさいし」

 バッサリ切り捨てる少女に、レムは空いた口がふさがらない。

 「いい、都に行ったらあたしは、まず巫姫となるための勉強漬けになるわ。

 神事の儀礼や各種魔法はもとより、礼儀作法に有職故実。それ以外にも巫姫として必要な嗜みとやらも含めて、ガッツリ教え込まれるでしょうね。

 自慢じゃないけど、魔法の勉強はともかく、行儀とか習い事関係はあたし、大の苦手よ。一人前になるまで、いったいどれだけかかることか……。

 そのうえで、あたしに政治的な動きを期待する?」

 澪霧の問いに、レムは力なく首を振った。


 「でも、それは私が行っても同じことじゃあ……」

 「何言ってんのよ、このチート竜人が。アンタ、武術以外に関する物覚えは異様に速いじゃない。アタシが半月かかってようやく覚えた精霊治癒呪文を、3日でモノにされた時は、腰を抜かすかと思ったわよ!」

 ちなみに、澪霧の半月という数字も、実は独学にしては秀才レベルのスピードと言ってよいのだから、いかにレムが優秀か理解できるだろう。

 「あれは、初歩の初歩だから……」

 「その初歩を、アキツ人でもなく、そもそもヒューマンですらないアンタが平然と習得できるのが、規格外だって言ってんの!」


 精霊治癒呪文とは、言葉通り“精霊の力を借りて、心身の傷をいやす魔法”だ。

 神の力を借りた癒しの術法はこの世界では普遍的なものだし、効力は劣るが魔素(マナ)による生命力の賦活化による回復魔法も存在する。

 また、魔術師の高位攻撃魔法の多くは精霊の力を借りて行使するものだ。

 だが、“精霊の力”で“癒す”と言う術は汎神論的祖霊信仰を持つアキツに特有のものだ。

 これを身につけるためには、単なる教養・知識レベルでないアキツの宗教観への深い理解と共感が必要になるだろう。

 逆に、生粋のアキツ人なら、エルフやドワーフであっても、身に着けられる“可能性”はあるが……。


 「それに、この国の王位継承者であるアンタなら、寝る間を惜しんで勉強して一人前になって、さっさと政治的発言力を増すように動くでしょ」

 あたしは、そこまでする義理はないからね~と、澪霧は意地の悪い笑みを浮かべる。

 そこまで考えて……と呆れるレムだったが、確かに言ってることはもっともだ。


 ●ドラクタリヌースはアキツと友好関係を結びたい

 ●アキツは別にどうでもよい(むしろ消極的)


 という情勢下で、ド国の王子として身を粉にして働け……と言われるのは、ある意味、当然ともいえる──たとえ、その方法が奇抜極まりなくても。


 「ふぅ……一応、こんなコトをした理由は理解できました。

 けど……澪霧、あなたはそれでいいんですか?」

 暗にコレは故国に対する裏切り行為では? とほのめかしているのだが、少女はアッサリ首を縦に振った。

 「いいわよ。そもそもアタシは“王族の末席”だなんて言われても、ほんの半月ほど前まではそのことを知らなかった一平民だしね。

 “立派な王族の覚悟”なんて、そうそう簡単に生まれてたまるもんですか。

 愛国心そのものは……皆無ってワケじゃないけど、まぁ、レムなら巫姫の立場に立ったって、悪いようにはしないでしょ」

 醒めているのか、お人好しなのかわからない発言である。

 「買いかぶり過ぎのような気もしますが……」

 ある意味、自分の人格を信頼すればこその作戦なのだろうが、レムとしてはあまり……というか全然嬉しくなかった。


 「ところで、今の私は澪霧さんと瓜二つな姿をしているようですが、これは一体? やはりさっきの複製体を利用しているんですか?」

 両親(つまり国王&王妃)までが噛んでいるとあって今更どうにもならないと開き直ったのか、レムは自らの知的好奇心の方を満たすことにしたらしい──嫌な事を一時棚上げしたただけかもしれないが。


 「まぁね。ただし、ひとつ訂正すると、アレは単なる“皮”よ」

 「へ?」

 澪霧の言葉に首を傾げるレム。

 「“皮”とは言い得て妙ですね。そう、確かに【疑似複製体(レプリカ)】の術式の一部は利用していますが、逆に膨大な魔力が必要な部分は簡略化したのですよ」

 「で、結果、アソコに出来あがったのは、皮膚と皮下脂肪、あとはごく一部の器官のみ存在してその他はスカスカの、まさにあたしの姿をした“皮”ってワケ」

 母親と澪霧に代わるがわる説明されて、レムは目を白黒させている。

 「し、しかし、私はこうして普通に動けているようですが……。ヒューマンの女性になったという点──まぁ、それが一番大きいワケですが──を除くと、とくに違和感もありませんし」


 「ふふん、それはね、あの皮の中に、レムくんの「竜魂」を放り込んだからね」

 「竜魂、ですか」

 「ええ、レムルス、貴方は「竜魂」という言葉の意味を知ってるかしら?」

 母親の問いに、レムは首を横に振る。

 「いえ、不勉強なもので」

 「竜人族が他の人間種族と圧倒的に異なる特徴のひとつに、成長過程で「脱鱗」という行為がある、というのは知っているわね?」

 「それは、もちろんです」

 近縁種と言われているリザードマンにもない、竜人独自の生態的習慣だ。

 レム自身も数年前に成人の証である“脱鱗”を経験している。

 ちなみに、竜人族はおおよそ生後20年前後で脱鱗を経験し、成人とみなされるのが普通だ。中には極端に早い者や30年近く経ってようやく脱鱗する者もいるが、その辺は個人差である。


 「竜人族自身も含めて殆どの者が、行為として蛇や昆虫などの“脱皮”と似たようなものだと思っているようですけど、その実態は随分と異なるのですよ」

 母后の言葉は、レムにとっても確かに意外だった。

 成長した竜人は、ある時期になると、鱗を始めとする体表面が硬化し、動き辛くなる。

 その硬化が全身(正確には全体の9割以上)に及ぶ頃、誰か年長者(ふつうは両親のどちらか)が、爪で背中に「線」を入れてやると、そこから皮膚が裂けて外皮を脱ぎ捨てることができるのだ。

 少し意味合いは異なるが、人間で言うなら乳歯が永久歯に生え換わるようなものである。

 どう見ても、単なる“脱皮”の延長にしか思えないのだが……。


 「その証拠に……ホラ!」

 「げッ!?」

 澪霧が、壁際の観音開きのタンスを開けると、中にはクタリとしたレムルス自身の“体”が吊るされていた。

 彼とて、以前脱鱗した直後に自分の“抜け殻”を見た記憶はあるが、あの時の“抜け殻”はもう少しペラペラで、こんな風にまるで生きてるみたいな気配は発していなかったと思うのだが。

 「コラコラ、“生きて”ないと困るでしょ。やることやったら、アンタ、コッチに戻るんだから。

 それとも、一生その姿でいる気? まぁ、あたしは別に構わないけど」

 「いや、私が困る!」

 種族も性別も異なる身体に一生閉じ込められてタマるか!

 ──と、この時のレムは猛然と抗議したのだった。


 「で、話を戻すと、脱鱗時の竜人って、霊的にすごく可塑性が高くなってるの。それで、さっきの儀式魔法で脱鱗に近い状態を人為的に発生させたうえで、レムの身体から竜魂──魂その他一式を抜き取ったってワケ」

 「そ、その他一式って……」

 あまりにアバウトに説明に、レムは頭がクラクラしてくる。

 「いろいろね。魂≒霊体に加えて、脳、心臓を含む循環器系、消化器系と呼吸器系の大半、骨格の一部……まぁ、そんなところかしら。そういったものをまとめてエーテル化して、アンタの身体から抜き取ったのよ」

 先程の、人魂(ウィルオウィスプ)にしては大きな光の球は、どうやらそういう代物だったらしい。それを、澪霧の身体を見本に作った“皮”に入れて実体化し、なじませたのだろう。


 「古えの時代には、自ら竜魂を体外に投射し、そのまま実体化して不老不死の覚者となった竜人もいると言います。また、竜魂の形を変えて、そのままドラゴンに転生した者がいるとも」

 レムも、そういう「ドラゴンになった竜人」の言い伝えくらいは、おとぎ話として聞いたことはあった。

 まさか、自分がその技術の一端を体験することになろうと思わなかったが。


 「はぁ……伝説的な技術の一端を、こんな悪だくみに使用するとは……ご先祖様が泣きますよ」

 「やれやれ」と言う風に頭を振るレム。半ば癖になっている仕草だが、今はヒューマンの少女の姿になっているため、いつもにもまして寂寥感が背中に漂っている。

 「なによ~、さっきも言ったけど、コレはこの国のタメなの。それに加えて、あたしは辛気臭い都の巫姫暮らしを数年回避できるし、アンタは念願のヤマトに行って好きなだけ勉強ができる。みんなWIN-WINで、ワンダホーな計画じゃない」


 「貧乏クジを引かされるアキツの方々に対して心が痛むのですが……」

 常識的なレムのツッコミも、澪霧は意に介さない。

 「バレなきゃ問題ないわよ。それに、そんなに気に病むなら、せいぜい“模範的な巫姫様”になって、周囲を喜ばせてあげたら?」

 「そうですね、誠意と言うのも口はばったいですが、それがせめてもの償いかもしれません」

 その点、王妃はさすがにこれが“悪事”であるという自覚はあるようだ。


 「──異議を申し立てたいところですが、仕方ありませんね。わかりました。レムルス・ディノ・ナガラ、ドラクタリヌースの第二王位継承者として、この任務、しかと承りました」

 ここまで御膳を整えられた以上、この危険で馬鹿げた企みに乗るしかないのだろう。

 不承不承ながら、レムはこの計画への協力(と言うか主演?)を宣言したのだった。

 「レム……立派になって」と、王妃はハンカチで涙で拭っていたが、どう見ても演技クサい。まぁ、わざとだろうが。


 * * *


 多忙な王妃が後事をふたりに託して地下室を去ったところで、澪霧が何気なくレムのそばまで歩み寄って来た。

 「それじゃあ、十日後の使節団出発まで特訓ね!」

 「……は?」

 ニヤリと嫌な笑みを浮かべた澪霧の様子に、冷や汗が止まらなくなるレム。


 「あら、いくら姿形がソックリでも、色々覚えないといけないコトはあるでしょ。特に……人間のオ・ン・ナ・ノ・コとして♪」

 フーッと耳元に息を吹きかけられると、レムの背筋に電流のようなモノが走る。

 「ひゃっッッ! ちょ、コレ、何?」

 「あらら~、敏感ねぇ、レムちゃんは」

 ツツーッと単衣越しに背筋を指でなぞられただけで、ゾクゾクッと得体のしれない感覚が、レムの全身に伝播する。


 「や、やめてくださいよ、澪霧さん!」

 「ダ・メ・よ♪ そんなんじゃ日常生活をまともに送ることもできないでしょう?」

 少しでも刺激に慣れなきゃ……と、もっともらしいコトを言ってるが、その嬉しそうな目付きからして、明らかに楽しんでヤっている。

 身体の各所──腋の下やうなじ、ヘソの下のあたりなどをツン、ツンと戯れのように突かれるだけで、レムは悲鳴のような声を漏らさずにはいられない。

 「……っくぅ!」

 意図せず、全身の感覚が研ぎ澄まされてしまっているのだ。

 「も、もうヤメ…ふぁっ!?」

 澪霧の手がレムの首筋に触れ、そこからさらに下へと揉み解していく。


 「や、やぁ……そんな……やめぇっ……あッ……くふぅ……あぁ、んっ、ふぁぁん」

 首、肩、腕、背中と、順に澪霧の手が軽く撫でるだけで、レムは体内に湧き起こる未知の感覚に翻弄され、身体をくねらせ、悶え、呻きを漏らすことしかできない。

 (きもち、イイ……けど、こ、こんなコト、ダメです……)

 僅かに残った理性が、警告するが、慣れない身体は思うように抵抗すらできない。


 ──ツツーーーッ……


 澪霧の手が、腕からわき腹、そして……。

 「ひゃぁ!?」

 女性ならではのふたつのふくらみを、サワリと撫でる。

 「ひンッ、あぁ……だめぇ! ゆびうごかさないで……ビリビリきちゃう……はあぁぁぁんっ!」

 どうやら、軽く達してしまったようだ。


 ちなみに、レムがここまで敏感になっているのは、竜人の男から人間の女へと二重の意味で変化したからだ。

 もともと全身を鱗におおわれた竜人は、人間やエルフは元より、頑健なドワーフやトロルなどと比べてさえ皮膚感覚が鈍い(その分、丈夫なのだが)。それが、いきなり人間の皮膚──しかも年若い少女のソレに変化されられたとなれば、こうなるのも自明のことだ。


 そんなコトを得々と語る澪霧。ただし、その顔が艶々してるように感じられるのはおそらく気のせいではあるまい。

 対称的にグッタリした様子のレムは、「だったら最初から口で説明してくださいよ」と恨めしげな目付きで彼女を睨むのだった。

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