変身とか装着って何かテンションあがる
『さて服だけ回収させて貰うとするか』
銀竜はブレスを放った後に向かってゆっくりと歩き出す。
地面はマグマとなり大気が熱されていても、銀竜の鱗の前には何の障害にもならない。
『服くれたと思ったら、すぐ返せってそれはないだろ?』
銀竜はこの時あり得ない光景を目にしていた。
なんとブレスに当たったはずの人間が、なに食わぬ顔で立っているのである。
『貴様!我がブレスで焼き尽くされたはずだ!何故生きている!』
銀竜は初めての事に戸惑っていた。銀竜のブレスは万物を焼き尽くす、防ごうにも防御の魔法や装備すらこのブレスは焼滅させてしまう。
『我がブレスは神ですら当たったら只ではすまん!それを受けて何故お前は無傷なのだ!答えよ!人間!』
そうなのだ、銀竜が驚いている一番の理由はこの人間が全くの無傷と言う事だ。
銀竜のブレスは神にすらダメージを与える事が出来る。
空間を切り離してもそれを抜けてダメージを与える事が出来るのがこの銀竜のブレスの最たる特徴《貫通》である。
それが当たった筈が無傷となれば戸惑うのも無理はない。
『まさかあの無防備な状態から避けたと言うのか!』
それならまだ極僅かではあるが理解出来る。
銀竜のブレスは強力な攻撃ではあるが、当たらなければその効果は発揮しない。
余波だけでも人間なら消えて無くなるレベルだが、転移魔法や瞬間移動で避けようと思えば、勇者や神レベルなら避けられる。
『魔法の発動は感じられ無かった。考えられるのはユニークスキルを持つものか』
ユニークスキル持ちと言うのは特殊な条件で授かるか、生まれ持って授かっているかに分かれるが、どちらも極めて稀な存在である。
『転移系のユニークスキルで直前で避け、再び戻って来たという所だな』
やっと銀竜は少し落ち着きを取り戻した。
ところがここで更に戸惑う事になる。
「長々喋って貰っといて悪いんだけど、さっきのキラキラしたのなら当たったけど?」
『…………は?』