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マリリンの大冒険~世界魔法と8人の魔王~  作者: もふ山
第二章:VS???
5/5

2-1レンギスの町

おとなはその音に気づかずに、こどもはみつけてあそぶだろう。

おとなはその目をひらけずに、こどもは耳をふさぐだろう。



「アカヤ・・・ねえアカヤ!やめておこうよ、怒られちゃうよ。」

月明かりが照らす砂利の細い道を、2人の少年が歩いていた。

「怒られたって構うもんか。」

「だってアカヤのお父さん、怒ると町で一番おっかないだろう?僕、嫌だなあ・・・」

「このままアレ・・を怖がって生活するより、よっぽどいいだろ。それに今一番怖い思いをしているのはミルだろ。」

「・・・うん、そうだったね。」

「とっとと見つけ出して、一発ぶん殴ってやる。」

「いや、殴るのはよくな・・・うわぁっ!!!」

その時、一陣の風が砂利を巻き上げながら2人の間を通り過ぎた。

「どうしたシュレイ!?おい!え、あれっ・・・シュ、レイ??」


風が静まる頃には、道に立つ少年は1人になっていた。




***




「どうせならワーティも実家に寄っていけば?」

「そうだな~俺よりマルン達が行った方がアズも喜ぶと思うけど。」

「顔出したい、アズにも会いたいし。」

マルン、ワーティ、マリリンの3人は、コントーレ地方南部のレンギスの町を経由し、王都リディアへと向かっていた。先日捉えた泥棒「ドド」が『魔王に操られていた』という発言に危機感を覚えたエディアンマジシャンズスクールの教授陣たちは、国王への報告と研究成果の一部を、王城の厳重な警備の元へ移動させる事にした。託されたのは実際にドドと戦い捕まえたマリリンとワーティ、そして主席候補でマリリンの兄のマルンの3人。安全な道を通るように言われ少々遠回りをしている途中、近況報告も兼ねて自分達の故郷ルーティア村に立ち寄るかと話をしていた。

「正直ウチはみんな家に居なさそうだよなあ。ユイカは国立魔法研究所エディアンマジカルファクトリーだし、オヤジは王宮だし・・・爺さんがいればいいけど、いつもフラフラしてるからなあ~」

「まあ居なければうちに来なって。」

突然の小旅行のようなもの、出てくる前に一悶着あったが、学園の教授陣は学園の生徒を護らなければならないし、生徒で力の強い者はほかにも居たが、そもそも例の研究・・・・については知らない者が多かったのでこの3人になった。本来15歳にならなければ入学できない学園に10歳にしてトップの成績で入学したマリリン・ウィルバート。一年遅れで同じく学年トップで入学したワーティ・アルマン。そして卒業後は、|

国立魔法研究所エディアンマジカルファクトリーへの入所を懇願されているマルン・ウィルバートの幼馴染3名。お互いの事を大切に思っているが、イザという時は目的の為に手段を選ばない彼らは、

この任務にぴったりだったというわけだ。

「もうすぐレンギスだね、昼食でもとるか。」


「「「おおお~」」」

「ガッハッハ!おばちゃんオムライスしか作れなくてごめんよ~!!」

「いや、無茶苦茶おいしいですマダム!」

「至福・・・」

「最高~!!!」

町の定食屋は空いていた。目立つ行動は避けろと言われていたのでこの店をチョイスしたのだが、とても美味しいオムライスだ。

「旦那がちょっと出ちゃっていてね~タイミングが悪かったね!」

「何かあったんですか?」

「最近あまりよくない事が続いていてね~・・・」

恰幅のいい女性はキョロキョロと店内を見回し、3人以外に客がいない事を再確認して声を潜めて口を開く。

「『土地神様の呪い』が続いているんだよ。」

「土地神?」

ワーティが首を傾げると女性はカウンターの奥から1冊の本を取り出してきた。

「昔、この町には『土地神イッツァ』が住んでいてね、新月と満月の晩に子ども達を攫って食べているという伝説があったんだ。」

ページをパラパラとめくると、挿絵のようなものが描かれていた。

「昔の人が祠を立ててお供え物をするようになってからはそういった被害はなくなったんだけど、1ヶ月くらい前に祠が壊されていてね・・・」

それからまた子供達が姿を消していて、どこに行ったか解らなくなっていると彼女は言った。

「この町には有能な魔導師様を雇う金もないし、この伝説が本当に関係あるかもわからないし・・・」

どうしたもんかねえ、と女性は腕を組んだ。




「だから!本当に見たんだって!」

アカヤは必死で大人達に助けを求めていた。

「イッツァなんて居なくて、祠にいたのは泥棒だって!!」

幼馴染がいなくなったあの晩、気絶したシュレイが何者かに連れられて祠に入っていくのを見た。

「お前!何度言ったら解るんだ!1人で祠に行くなんて!」

拳骨を食らって涙を浮かべて頭を押さえつつも、大人達に食って掛かる。

「助けに行かなきゃ!」

このままでは食われる前に友人達は死んでしまう。

「お前1人で何が出来る!魔法もロクに使えないくせに!!」

ぐさり、と言葉が刺さる。


しかしその瞬間、目の前が真っ暗になりかけたのを止めた人がいた。



「失礼、そこの少年。その話、詳しく聞かせていただけませんか?」



彼はアカヤにとって「ヒーロー」になった。


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