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レクイエム・ロード  作者: 捨石凞
第1章 名も無き亡霊編
8/26

邂逅、そして最初の戦闘

 [お前、ここで死ぬ気か?もし、死にたくないと少しでも思っているのなら、俺に身体を譲れ]

 それは、突然聞こえてきた。

 殺されかけてる状況に、さらに輪をかけた理解不能な現象を前に正道は思考を停止していた。

 しかし、その声はさらに続ける。

 [そのままだとお前は死ぬだけだ。 俺に身体を譲れば、この場は助けることができるがどうするんだ?]

 もはや、何も考えられなかった正道は言う。

「分かった。 体でもなんでもくれてやるから、俺を助けてくれ! 頼む‼︎」

 周囲からみれば、正道はいきなり発狂したように見えただろう。

 だが、実際は違う。

 正道がそう告げた瞬間、自分の身体が勝手に動き出し、左手のひらから何かを引き抜くような行動を起こした。

 その後、正道は信じられないものを目撃する。

 (え……?)

 引き抜くようにして取り出されたものは、目の前にいる殺人犯が持つものと同じような刀だった。

 しかし、なぜ左手のひらからこんなものが出てきたのか?

 混乱する正道にさらに追い討ちをかけるように異変が起きた。

 正道の意思を完全に無視して、体が勝手に動き出したのだ。

 その上、普段の正道の運動神経は並みのものであるが、今動いている正道の身体能力はそれを遥かに凌駕していた。

 いや、そんなレベルの話ではなく、人間の身体能力の限界を超えているのではないかとも思えた。

 ともかく、そんな超人めいた正道の体は今殺人犯と刀のつばぜり合いを起こしていた。

 金属と金属がぶつかり合う音が幾度も響き、相手の攻撃を受け止め、隙あらばそこに打ち込むという行動が繰り返された。

 超人めいた力を発揮しているはずの今の正道でも、目の前にいる殺人犯は圧倒される事なく、むしろ軽くいなすように、正道の攻撃を受け止めている。

 しかし倒すのは困難だと感じたのか、殺人犯は一通りいなしたあと、後ろに下がり逃げるようにその場を去って行った。

 正道の体はそこで自由を取り戻すが、それと同時にひどい立ちくらみをおぼえた。

 (なんだ、いったいなに……が……)

 超人的な動きをしていたのはほんの数十秒程度だったが、普段使わない筋肉を無理やり動かしたせいか、正道の体は甚大なダメージを受けていた。

 正道は倒れないように刀を使って必死に体を支えようとするが、崩れるようにその場で意識を失ってしまう。


 これが、正道にとって初めての戦闘となり、彼のこれからが大きく変わる瞬間だった。


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