正道、事件を追う
遊佐の所属している(まあ遊んでるだけだろう)超常現象研究同好会は、各々で気になるテーマを出し合い、一番調べたいものを多数決で決めて決まったテーマをそれぞれ調べていく……という、それだけ聞くなら真面目っぽいものだ。
だが、その決まるテーマが毎回下らなく、前は女性の髪型は何が至上かというもので、何故かアニメキャラについての話が盛り上がるという事態になり、結論としては人それぞれじゃないかということになったそうだ。
もはやツッコむのも面倒なのでこのまま流してしまうが、その同好会が今度調べるテーマとして連続不審死事件について決まったそうだ。
「正直、あの同好会でそんな真面目な内容を調べることはないと思ってたんだが……」
「俺も、はじめ聞いた時はびっくりしたよ。 ついに、同好会の存続がマズくなったのかって思ったんだけどそうじゃないらしい」
遊佐は真面目っぽい表情になりながら(本人はそのつもりなんだろう)、話しを続ける。
「どうも、会長がその事件の犯人を見たらしいんだ」
それを聞いて、正道とレスの聞く姿勢が変わった。
「見たっていつのこと?」
「会長が言うには一週間近く前みたいだ。 ただ、その話がどうも信憑性がなくてな」
「? どういうことだ?」
「いや、会長が言うには見たことは見たんだけど、なんかこの場にはいるのかいないのかあやふやなものを感じた、ってことらしいんだけど」
この遊佐の発言で正道はほぼ確信していた。
(レス、会長が見たってのは……)
[話だけじゃ断定できないが、おそらくヤツだろうな]
そう言いながらも、レスは確信しているみたいだ。
「もしかして、お前もそのことを調べに来たのか?」
「あはは、まあそんなところかな」
正直、俺が襲われたことを遊佐に言う必要はない。
けれど、そうしたことで大分ぼかした言い方になってしまった。
「まあ、不気味な事件だしな。 気になるのは分かるが、少し調べた感じ与太話がほとんどで、ロクな情報は転がってなかったぜ」
「そうなのか……」
「目撃者が誰一人いない、ってのが大きいんだろうな。 会長も一応入るかもしれないけど、あの内容じゃ与太話と大差ないからな……」
「……そうだな」
こうして聞くと、たとえ時間をかけて探したとしても目ぼしい情報は無いかもしれない。
それでもしばらくの時間、遊佐に話を聞きながら事件のことについて調べてみたが、はじめに予想した通りの結果に終わった。