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滅亡国の大魔術師(笑)  作者: 黒いもふもふ
*****、世界
13/22

09.大魔術師(笑)の戦闘

内容はサブタイトルの通りです。

この作品では初めての戦闘描写が入りました。もしそれについてアドバイスがあれば是非お願いします。



無事時空との契約も終わり、計六十体もの精霊達が周りにいる状態になった。

ワー、スゴイナー……。


『チート野郎ですね』


うん、否定は出来ない。

そんな風にネシムと戯れながら林を抜けると、野原にはプレイヤーどころかNPCの兵士もいなく、閑散としていた。

スライムやよく見るとラビッシャーはいるのだが、人が兎に角いない。

ローブから杖を取り出し精霊達に目配せをして戦闘態勢に入ると、無の魔術を発動し浮かんで少しずつ移動する。

見た限り、特に何も無いように見えるが…。


「光よ、姿を隠せ」

「(分かったわ!)」


後見ていないのは野原の奥にある茂みの方だけで、何があるか分からないからと光の屈折を利用して姿を隠しながら進む。

それでも草々にローブが当たり、ガサガサと音を立てる。

今のところは何も無いように見えるけど…。

茂みに到着したので目を懲らしめて茂みの中を見てみると、通常のスライムよりも色の濃い青色のスライムがいた。

こいつがスライムの亜種で、プレイヤー達が居なくなった…否、逃げた原因だろう。メールに送った通りに逃げた事へ関心しつつ、杖をそちらへ向ける。


「闇よ、斬り裂け」

「(……斬る!)」


そうスペルを唱えると、スライムへ向けている杖に闇がまとわり付き、杖へと循環させている僕の魔力を喰って形を変えていく。それはまるで鎌のような形になり、そのまま亜種スライムへ素早い速度で飛んで行った。


「ピギャァア!!?」


まさしくスペルの通りに、スライムを体の中心にある急所の核ごと斬り裂いた闇は、その後拡散して元の玉の形に戻った。

流石、攻撃に特化した闇の精霊魔術だ。十一体いるとは言え、こうも簡単にスライムを核ごと斬り裂くなんてね…。

スライムが液体と化して消え、その後に切り裂いた核の残骸だけが残ったのを見届けて杖を下ろす。どうやらスライムは倒すとこのように液体と化してしまうらしい。今回は切り裂いてしまったが、多分採れるものは核ぐらいなのだろう。

うん…この核が残ったところで嬉しくはないかな。

スライムの核は特に使い道もなく、ただ売るだけである。しかも売ったとしても大した金額にもならない上に、こんなに損傷していてはそもそも売れないだろう。

こう言っては悪いが、ハズレを引いてしまったようだ。


「時空よ、アイテムスペース」

「(アイテムスペースじゃ!ほれ、異空間作るぞー!)」

「(ふぉー!ふぉふぉふぉ)」

「……元気だね」


元気有り余る二十八体もの時空精霊が創り出したアイテムスペース、またの名をアイテムボックスは、相当大きい空間らしい。手を入れたら肩までがすっぽりと入ってしまった。

使っていない皮袋一枚はローブの中に仕舞い、念の為にスライムの核と共に薬草の入ったもう一つの皮袋をアイテムスペースに入れた。

これって取れるよね?

一度空間から手を出し、もう一度手を入れて薬草を取り……って取れた……。

どうやら念じれば取れるみたいで、薬草を取りたいと念じただけで瞬時に手の中に薬草が収まった。しかも異空間に手を入れなくてもだ。

入れる時は手を使って入れ、出す時は異空間を開いて念じればいいと言うことなのだろう。便利そうで何よりだ。

あれ?そう言えば僕食料品が……ない!?


「時空よ、閉じろ」

「(ほいほーい)」


どこにやったんだっけ?

あれ?置いてきたんだっけ?

もしかしたら薬草を摘んでたところに置いてきたのかな…。

あの亜種が一体とは限らないので、念のために無の魔術を発動させて浮きながら薬草のところまで急遽戻る。


『そう言えばMr.クード。無の魔術のLevelが2に上がりました。それと同時に先ほどの戦闘で貴方自身のLevelも2に上がりましたよ』

「そっか。それは良かった!ステータスの方はどうなった?」

『はい。プレイヤーとは違いMr.クードは特殊なので、魔術を使い戦ってLevelが上がった場合はMPや魔攻、命中が、敵から攻撃を受けた戦闘ならば物防や魔防、攻撃を回避した場合には回避、HPなど…その戦闘方法やLevelアップ前の行動によって上がるステータス値が変わります。今回はMPと魔攻と命中、HPが上がりました』


成る程、現実に違い形でステータスは上がっていくのか。となると、戦闘方法で工夫を凝らすと満遍なくステータス値が上がっていくという訳らしい。しかし、MP、魔攻、命中は分かるが、何故先ほどの戦闘でHPまで上がったのか?

これは僕の推測だが、歩いて移動したのが関係しているんじゃないかと思う。Levelアップ前の行動でもとネシムが言っていたんだ、きっとそうなんじゃないだろうか。つまりはだ。日頃から戦闘ばかりや読書だけではなくて、体力作りや剣や槍といった物理攻撃の練習をしていけば、HPや物理攻撃も上がっていくのだ。

…体を動かすのは苦手だけど、体力作りとか始めようかな。

茂みを抜け野原を進み、そして林へと入る。

確か、薬草を取っていたのはここ辺りだった筈なんだけど…。

ぐるりと辺り一面を見渡すと、沢山ある中の一本の木の下に、何かがうずくまっているのを見つけた。人っぽく見えるが、それでも魔物だったなんて事もなくもないので用心が必要である。

杖で肩をちょんちょんと突くと、それはビクッと大袈裟な程飛び驚いた。

真正面を見れた事で確信したが、どうやら本当に人間だったらしい。赤毛の少年なのか少女なのか分からない子供は、腕に紙袋を抱き締めて子鹿の様に震えている。

あ、それ僕が買った食料……。


「やぁ、こんにちは」


兎に角話をしてみようと話し掛けるも、返答はなく無言。ただ震えてこちらを睨むだけだ。

困った僕は、無の魔術を解き腰を下げて子供と目線を合わせる。最も、向こうからしたら僕の顔なんて見えないだろうけど。

怖がらせないようにと優しく微笑むと、さらに子供はビクついて半歩後ろに下がった。

……何故。


「君はどこから来たのかな?迷子?」


またしても無言。困ったものである。

更に僕はローブのフードを下ろし、顔を安心させる為に子供へ見せた。あまり外で顔を晒すのは好きではないのだが、この際は仕方がない。

すると子供は口をあんぐりと開けて、目を溢れんばかりに見開いて呆然とする。

何だか面白いなぁ…。

そんな場違いな事を思ってしまう程に、百面相をする子供が面白い。


「ねぇ、君はどうしてここに居るの?」

「………追われてるんだ」

「…それ、詳しく教えて貰ってもいいかな?」


顔を晒した事で安心したのか、子供は俯き気味にポツポツと話し始めた。両親が死に、姉と二人きりで生きてきた事。父親が残していた借金を返すべく必死に働いていた事。そして、その借金を取り立てに来る男に暴力を振るわれていた事。


「お、俺…逃げて来たんだ。姉ちゃんが、冒険者に連れられて……逃げちゃったから……だから、俺っ」


ボロボロと涙を流してそう話す子供。どうやら姉が逃げてしまった事で、借金を取り立てに来る男へと払うお金が無くなってしまったらしく、それで自分も逃げようと思ったらしい。

そうか。追われてるって言うのは取り立てに来る男にって事か。

未だに泣き続ける子供の頭を優しく撫でると、僕の腹に顔を埋めて激しく泣き出した。頭を撫でつつ、この子の姉と取り立てに来ていたという男について考える。

冒険者に連れられて逃げたって言うのが気になるなぁ。

取り立ての男はこちらが逃げればいいだけなので放置しておいてもいいが、この子の姉の方はそうもいかない。もし、その冒険者とやらが姉を奴隷として奴隷商人に引き渡したら?もし、冒険者が助ける素振りを見せておいて、実は暴行を加えるために姉を連れ去ったとしたら?

もしかしたら本当に助けるつもりで連れて行ったのかもしれないが、世の中そんな善人ばかりではない。だからこそ奴隷商人や密売人などといった者達を捕まえるために、兵士や騎士なんかがいるのだ。


「君はどうしたい?お姉さんのところに行きたい?それとも、僕と一緒に逃げる?」

『おっ!ついにMr.クードもクエスト以外で人助けですか?ヒューヒュー!」


五月蝿いから黙ってて。


『酷いっ!?そこは通常運転!?』


ネシムは放置しておいて、僕のローブを握り締める子供を見下ろす。

それにしてもこの子、何処かで見た事あるような……。

鈍い赤色…赤褐色の鎖骨までの髪に、オレンジ色の瞳。女の子らしい顔つきの子供だが、こんな子一体何処で見たと言うのか。

………あ、食料を売ってたあの子。


「君のお姉さんって、道端で食料を売ってた?」

「….え?姉ちゃんの事、知ってんのか?」


やはりそうらしい。あの時の女の子も、赤褐色の髪にオレンジ色の瞳をしていた。最も、それよりも髪飾りの方に目がいっていたのだが。


「僕その子から食料を買ったんだよ。ほら、君が持ってた紙袋あっただろ。あれ僕が買ったんだ」

「あ、あれが!?……食べちゃった……」

「まぁ、そのようだね」


一目見て食べてるなーって分かったよ。

どうしようと慌てる子供だが、正直あの食料をどうしようかと悩んでいたのは僕の方だったのだ。食べてもらったならそれでいい。


「それでどうする?僕に付いてくるのか、お姉さんを探すのか…」


顔を歪めて、伏せる子供。

どちらにしても、この子からすれば大きな選択だろう。なんせその選択でこの先の人生が変わってしまうのだから。チラッと何か言いたげにこちらをみる子供だが、その視線はどこか僕ではなく別のところを見ているような…。

視線の先を辿るように見ると、そこには色とりどりの精霊達が浮遊している。

え?まさか?


「君、精霊達が見えるの?」

「えっ……精霊って何?」

「………えっ?」


…少し整理しよう。この子はどう見ても精霊達が見えている。その証拠に精霊達が右に左に動く度に、それを追うように目で追っているのだ。

普通、精霊という存在は自分達の好む場所に集まり、そして魔術の素養がある人物に力を貸す存在として人々に知られているもので、それこそ国民だけならず奴隷達でさえ知っている。

それなのに、この子は精霊達の事を知らないのか?

両親が教えてくれなかった?いいや、例えそうだったとしても他の人々が教えてくれるか、もしくは周りの日常会話から学んでいく筈だ。

もしかして周りの人さえも精霊達について知らなかったとか…?

まぁ何にせよ、僕がこの子に常識を教えてあげないといけない事には変わりない。


「もしこの光の玉達が見えていて、その正体を知りたいと言うのなら、僕に付いておいで」

「………俺、村に帰ってももう……」


差し出された僕の手を恐る恐ると握った手からは、微かな震えを感じた。それでも僕に付いて行く事を選んでくれた事に安堵する。

さて、ではスライムを十五匹倒したらここから離る事にしよう。取り立てに来る男に見つかったら厄介な事になるし。


「さぁ、行こうか」

「……うん」





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