プロローグ
この世界には、未だその謎が解明されていないものがたくさんある。
イースター島のモアイ像、ナスカの地上絵、航空機や船舶が一年間に百件以上も消息を絶つというバミューダトライアングル、未確認飛行物体、未確認生物、地球外知的生命体、その他、超常現象と呼ばれる類のものもある。
それらの謎は、これまでたくさんの科学者や宗教関係者、オカルト信仰者がその謎を解明しようとしてきたが、そのすべてが失敗に終わっている。
そして、その謎のものの中に、オーパーツと呼ばれるものがある。
オーパーツとは、場違いな工芸品(out-of-place-artifacts)の略で、出土した時代の技術では、到底作ることのできないであろうと思われるものである。
代表的なものとしては、コロンビアの黄金の飛行機、コスタリカの石球、秦の始皇帝の兵馬俑で発見された、クロムメッキの剣などがあげられる。
また、発見されたオーパーツの中には、単純な工芸品ではなく、何らかの方法で使用していたと思われるものもある。
そして、それらの中には、超古代文明で作られた、強大な力を秘めたものが多い。その力は、戦術核兵器規模の爆発を起こすものや、マイクロブラックホールを発生させるもの、タイムマシンのような役割を果たすものなど、多岐にわたる。
そんな恐ろしい力を秘めた、超古代文明のオーパーツだが、その多くは、科学者たちが研究したにも関わらず、その力の発動条件が見出されていないものばかりである。つまりは、何をきっかけに、いつその力を開放するかわからないものが、今も発見され続けているのである。
そういった、オーパーツを研究する機関は、国家、民間を問わずたくさん存在する。
そして、その研究機関の一つ、柴田古代物研究所は、南堵市の人里離れた山奥に存在し、今日もひっそりと研究を行っていた。
しかし、ある日のこと。突然研究していたオーパーツの一つがその力を開放し、研究所は爆発してしまった。幸い、爆発は小規模だったため、人里のほうには被害が及ぶことはなかったが、それまで研究していたオーパーツは、どこかへと消え去ってしまった。
そうして、研究所から消え去ったオーパーツのうちいくつかは、十数年の時を経て、発見され、いろんな人の間を渡り歩き、現在は、とある行商人が売り歩いていた。