表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

帰宅途中(2)

「さて、じゃ、帰るぞ」

「これから、本屋さんに行って帰る。あっくん、先に帰ってていいよ」

 そんなことを許したら、夕食を食べさせた意味がなくなるではないか。

「今日は遅いから、明日にしろ」

「弘樹君が送ってくれるから、大丈夫。まだ九時前だよ」

「そんな時間まで、制服でウロウロするな。弘樹君だって、帰りが遅くなるだろ?」

「いや、大丈夫です。ウチは十一時までに帰れば……」

 余計なこと言うな。


「だーめっ!女の子がこんな時間に出歩かないっ!」

「真澄さんと出歩いてるくせに」

「真澄はいいのっ!大人だからっ!」

 あー言えばこー言う。やりにくいこと、この上ない。

「弘樹君も、もう帰りなさい」

 兄にここまで言われて、強く出られる高校生はいない。ご馳走様でしたと頭を下げて、弘樹は別方向に歩き出した。


「あっくんのバカ!本屋に行こうねって約束してたのに!じゃないと弘樹君、隣の席の女の子に借りた本、読まなくちゃならないじゃない!」

「なんだ、それ?」

「中学生みたいだけど、ホームルーム前に、読書の時間があるの。弘樹君の隣の席の女の子、しょっちゅう弘樹君に本を貸してるの!」

 意味が通じない。

「本くらい、借りたらいいじゃないか」

「ダメなのっ!だって、可愛いんだもん!」

 瞬間、吹き出しそうになった。

「隣に座ってるんじゃ、本借りるくらい阻止したって、手遅れだろ」

「ちょっとでも接触させたくないのっ!」

 所詮、ガキはガキだ。見た目が可愛いってだけで、アイだコイだと騒ぐ。


 妹と並んで歩きながら、敦彦は真澄からの電話を受けた。

「あ?今、帰り。奈津とメシ食ってきた」

『えー?最近、べったりじゃない?あっちゃんって、シスコンだった?』

「違うって。駅で会ったら、彼氏と一緒だったから」

『そうしたら兄としては、遅くならないようにって訓示垂れて、小遣い渡すのが正しいんじゃない?』

 そんな、泥棒に追い銭してやるような真似、できるもんか。

『なーんかあたしより、なっちゃんのが大事にされてるよねー』

「そんなこと、ないだろ」

『あたし、会社の男の子に飲みに誘われてんのよね』

「断れ!!!」

『ほらー。直接阻止じゃなくって、あたしの主体に任せようとするー』

「信用してるからだろ?頼むわ」

 奈津も歩きながら、メールを打っている。

「奈津っ!歩くときは前見て歩け!事故に遭うからっ!」

 思わず受話器に向かって叫び、気がつくと真澄の通話は切れていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ