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第三話

・・・落っこちて、一瞬にしてまた地面。


「きゃあっ!」


思わず、思いっきり悲鳴を上げてしまった。

だ、誰か聞いてました? キョロキョロと見回したけど・・・みんな同じような状況。おしりさすったり・・・。


「・・・ここどこ?」


リンがつぶやいた。それは、みんな思っているに違いありません。


石造りの大きな、埃臭い部屋。床には複雑な魔法陣・・・魔法陣?


「魔法ッ?!」


思わず、またまた叫んでしまいました。・・・今度は、全員が一斉にこっちを見る。

私は、ちょっと顔を赤くしながら|(きっとなっているに違いない)パッと地面・・・床?に座り、陣の構造を“視る”。


私の特技は、魔術の構造を実際に見ることです。陣みたいに実際に形になっているのはもちろん、形になっていない催眠系や、発動前の術の構成も分かります。

・・・今まではあまり使わなかったのですが、ようやっと役に立ちました!


「・・・召喚系? でも、私達がその上に立っているってことは・・・」

「「召喚されたッ!」」


ひゃあっ! ちょうど私の真横にいた二人が、そろって飛び上がった。


「異世界召喚だよ、勇者様かな!」

「いやいやいや、最近は魔王系もあるぞ? そっちかも」


興奮した面持ちでいきなり早口な会話を始める男女二人。


「・・・えーっと。ティファ、リーディ? ・・・何興奮してんだ?」


まわりの人に突っつかれ、ちょっと嫌そうに尋ねたクリス。

・・・まあ、誰だって興奮している“あの”二人に話しかけるのは・・・私だってちょっと遠慮したいです。


「いやいやいや!異世界だぜ?!普通興奮すんだろ!剣とか魔法とか魔王とか!ファンタジーのほとんどが異世界をモチーフに描かれたものだし!いうなれば本の中に入ったようなもの!憧れだろロマンだろ!」


・・・とまくし立てるように言うのは、リーディこと、育島 義人。本ばっかり読んでいるので、readからとってリーディです。・・・すごく博識、というか豆知識さん|(?)なんですが、ちょっと難点が。いえ、私はいいと思いますよ? 個人の、それも好みの問題ですし。


「だあーってさ!普段とは絶対違う体験が出来るんよ!魔物や魔族!剣や魔法でのバトル!魔法はいつも見てるけどさあ、こっちにはきっと使える人たくさんいると思うんだよ!ああ、ワクワクしてきた!」

「・・・私のは、正確には魔術ですけど」


・・・ツッコミを入れても、聞いているわけが無いですね。ティファこと、咲口 詩歌です。歌がすごーく上手いので、歌姫を意味する|(何処の言葉でしたっけ?)ディーヴァにしようとした、というかなるところだったのですが・・・

『ディーヴァなんて、語感が悪いじゃん! というか濁音が嫌』と言われ、てんてんとったらティファに。

・・・別に、特に語感も悪く無いと思うんですけどねえ。

あと、なぜか歌をうたうとき、メロディーラインは歌わないそうで・・・。いつも、自分で考えたアルトパートを歌ってます。どんな曲でも。

最近では、同じく歌が好きなスノウこと、白亜 六花がメロディーを歌っています。・・・あ、ちなみに。六花がスノウになったのは、六花というのが、雪の結晶の異称だからです。

・・・少なくとも、私はそう聞いています。


さてさて、こうしている間にも、二人はずーっと会話を続けているのですが・・・正直言うと、何を言っているのかさっぱりわかりません。実はふたりとも、俗に言うオタクという奴で・・・。さっき言ったように、別に悪くはないですよね?


ギイ・・・


と、いきなり軋んだような音がして、みんながパッとそちらを見る。

・・・扉、そういえばありましたね。当然ですけど。


めいっぱい開かれた扉の向こう側には、かなり大勢の人が。

しかも、中世ヨーロッパ風、かなり高そうな|(?)服を着ています。

・・・なんか、すごく驚いて、困っていませんか? 困惑しているというか。

困惑しているのは、こっちだって一緒ですけど。


「こんなに大勢、どちらが本物の? 前例が・・・ええい、このさいどうでもいいわ・・・

  

  ・・・どうか、魔王を倒して下さい!」


・・・はい? 金色の髪の美人さんが、初めは独り言のように、そして最後の一文ははっきりと口に出すと、さすがのみんなも、呆然としていました。


・・・みんなが呆然としている中で、微笑んでいる人達がいたとか、いないとか。

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