ナンジャいけのモンジャブナ
なんの変哲も無い 公園の池である。ナンジャ池と呼ばれるこの池の周囲はおよそ200m 小学校の校庭にあるリレーコースぐらいである。形も楕円形で 自由に釣りは出来るが リールは禁止である。夏場のボウフラ対策に フナやクチボソなどの小魚が放流されているが コイはいない。コイを入れると エサがまかれて 水が汚れるために 入れないらしい。そんなわけで 釣りも まき餌やバラけエサは禁止されている。
ここでチョットエサの話しをしておこう。ヘラブナ釣りは ハリスの長さが違う2本のハリを使う。短い方にバラけエサをつけ 長い方に食わせエサをつける。水中では短い方が上になり 下に向かってバラけたエサが マキエのようになって 魚をよせて 下にある食わせエサを食わせる方法が 普通である。そのバラけエサが 禁止となると 両方のハリに食わせエサをつけた 少し変則てきな釣りになる。この変則てきなヘラブナ釣りの代表が 両ウドン釣りだろう。両方のハリにウドンを食わせエサとしてつけて 釣るのだが 釣り用のウドンを使う人が多いが 人の食べるウドンも使える。
立原道夫(68才)は定年退職後 この池の常連釣り師になった。それまでもヘラブナ釣りはやっていたが この池で釣る事は無かった。車で行くか 金を払って釣り堀で釣っていたのだが 年金暮らしで節約生活になり 家族に言われて 免許証も返還した。確かに 都会では公共交通機関も整っており 車が無くても不便はない。タクシーもたくさん走っている。
「事故を起こしてからじや遅いのよ」
と娘に言われ 息子には電動自転車を退職祝いに贈られ 妻からはガソリン代やら税金やら車検代やらと 節約生活の印籠を 突きつけられ 返還せざる得なかった。
以来 道夫は はぼ毎日釣りに来ている。妻から
「掃除の邪魔だから 散歩でもしてきて」
と 追い出されるのも 大きなよういんである。
春夏秋冬3年も通えば 魚の動きも良くわかる。今ではオデコは無い。エサは食用のウドンである。ここで釣るようになって 道夫の朝食はウドンになった。自分の丼ぶりから2本抜き取り 小さなタッパーに入れる。タッパーの中にはサナギ粉が入っている。サナギ粉の匂いで魚を寄せて ウドンを食わせる。
食用ウドンと一口に言っても メーカーも太さも色々とあり それなりに奥が深い。
コシのあるウドンが多い中で 道夫はコシのないクッタリしたウドンが 釣りのエサには良いと思っている。
池の水深は 浅場で30cm 深くても2mていどで 道夫はいつも9尺(270cm)の竿を使っている。こんな池でも その日その日で釣れるたなが違う。本日はベタ底 振り込んだらじっくり待つ釣り 辛抱の釣りであった。道夫は1回振り込むと10分は待った。10分間ボーっとしているわけではない ウキを見つめて当たりを待ち続ける。集中力の勝負である。




