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狩人の狩人  作者: 千野りん
一章
6/6

エピソード6

前回までのあらすじ

闇狩人の襲撃は灰猛によって終止符を打たれる。だが、死に際の魂解放により灰猛は大怪我を負う。この出来事により能力を高めれることを感じた龍太は次のステージへと歩む。

俺らは今、武器店に来ている。理由は単純。武器が必要な奴は買うため、必要でない奴は付き添いだ。

俺は使っている剣がそうとう古いものだが、劣化はしておらず手入れすれば問題なく使える。じいちゃんも使っていたそうで、剣自体の能力値が長年の蓄積を得て高いものになっているため、俺はこの剣でこれからも戦う。手入れするための道具を買いに来た。

五人の中で武器が必要なのは翡翠さんだけのようなので、槍を選んでもらう。彼女槍は彼女のお父さんが天狩人を目指しているときに使っていたものであり、かなり劣化しているそうで、買い替えるそうだ。

彼女はあまり熟考せずに彼女の身長ほどもある槍を選んだ。真也からゴリラといじられながらその槍を購入し、五人で店を後にし、何も考えずに選んだ店に入る。

昼時の腹を満たしたところで高校に戻る。昼休憩が終わってからは授業だ。次は灰猛の授業だった。あの体でよくできているなと感心するけれど心配のほうが強く、無理はしないでほしい。

あの時は中断してしまいあまり授業を聞くことができなかったが、今は大丈夫だ。灰猛はリモートでなので多少の不具合や不都合はあるが、けっこうわかりやすい。その中で自分のリィティルの高め方について教わったことがある。その中の一つでは使い、イメージをすることが大切だと教わった。自分の能力でできることをどのくらいイメージできるか、それが重要だという。

龍決でイメージとなるとわかりやすい。龍決はイメージをしてそれを実現させる能力だ。だから、進化させるためには使いまくってコツをつかむしかない。

そのために日常生活でできる限り不便にならない程度で使うことを心掛けた。移動はワープできるときはする。ものを運びたいときは空気やものに条件をつける。意識をしてやってみた。そうすると気がついたのが具体的に細かく条件をつけないと発生しなかった龍決の幅が少しだけ広がった。複雑なことも二つの条件で行えるようになった。少しの成長でもうれしかったし、強くなっていく過程に喜びを感じているのは今後にいい影響を及ぼすと思った。リィティルの威力も上がった。

灰猛の授業を受け、もう一つ他の教師の授業を受けたら今日の授業は終わりで、あとは自由となる。成は用事があると言って授業が終わってすぐに電車に乗ったけれど、真也と俺は暇だったので街を歩くことにした。俺がまだあまり知らないところだからだ。

彼は特に自分の好みについては話さず目的であるこの街について知るということはあまり達成できなかったが、楽しかった。そろそろ戻ろうかという雰囲気になったこと翡翠さんと鶴花に出くわした。珍しいことでもないので一緒に学校に戻ろうとしたら翡翠さんが一つの提案、宣言をした。

「最近真也と戦ってないから今日やろう」

そういえば初対面の時にやりたいとか言っていた。その時は何のことかわからなかったため混乱したが、真也と翡翠さんは互いに怪我をさせない程度で訓練のための練習試合のようなものをやっているらしい。だからリィティルの強さが同世代に比べ強いらしい。学ぶことが多いと思ったので鶴花と共に見学させてもらう。

「今んとこ俺がほぼ全勝だから遊びみたいなもん」

「私にとっては立派な鍛錬だからっ!相手が強いと本気出せて良いから付き合ってもらってるけど」

本来は武道室がリィティルの試し打ちや訓練に使えるのだけれど、前回の襲撃で天井が誤作動で開いた疑いがあるため、調査中とのことで使えない。だから、学校で点検が終わるまで中庭を使用してもよいということだった。

灰猛の灰がドームのように張り巡らされていることによって外にリィティルが漏れる心配がない。近くに灰猛はいないが形をしっかりと保っている。

「毎回思うけどお前だけ本職の槍ってずるくね?」

翡翠さんは先ほど購入したものではなく練習用の木の槍を、真也はなぜか剣を持っている。彼は戦いで武器は使わないと言っていた。

「拳だと手加減できなさそうじゃん」

「俺が容赦ない奴って思われてるの心外だ」

「心の中になるようにちゃんと覚えとけ」

そう言って翡翠さんはリィティルによって真也の方向へ突進する。真也は一歩後退し翡翠さんからの攻撃を免れようとする。それに反応した翡翠さんがさらに一歩踏み込み、槍を振りぬく。前の戦いの時の攻撃パターンだ。再現性・実用性がある。

真也は完全に見切ったように体を傾け間一髪で避ける。翡翠さんは更に接近し、真也の後ろに移動する。それと同時に後ろに槍を振る。

これは決まる。真也は後ろにまわられて状況が分からないし、反撃を試みたのか攻撃を繰り出そうとしている。このままでは防御も回避もできない。真也の腰あたりに槍が吸い込まれていく。

真也は攻撃を繰り出そうとした姿勢のままリィティルを真下に放ち、攻撃モーションのまま空中で振り向く。その時にはもう槍は真也の下から右に流れ、翡翠さんの頭上に剣が振り下ろされている。

「たっ!」

翡翠さんの頭に剣が当たると彼女は声を出し、後ろに身を引いた。

振り下ろすときのスピードは練習とは思えない殺気があったが、当たる瞬間に全力でブレーキをかけたように見えた。

こんっとやけに響く音が聞こえ、真也が翡翠さんに当たらないようにリィティルを飛ばし、翡翠さんから距離を放す。

「また負けたっ!」

頭を押さえ、少し涙目な状態で言葉通り悔しそうな顔で大声で言った。

真也は剣をアビスによってしまい、余裕そうな表情を浮かべ、帰ろうかと見ていた俺らに向かっていった。

「お前攻撃がワンパターンすぎる、修正しろ」

「イラつくけど本当のことだから言い返せないっ!」

そう言いながらも言い返せない代わりに近づいてから肩を小突いていた。

大人から見たら微笑ましいんだろうか、この状況下でそんなことを思った。



用事は終えた。さほど重要なものではなく、単に買い出しだ。

龍太と合流でもしようかとすぐに暇になって考えたが、あっちはあっちで二人が前提条件の予定をすぐに立てておこなっているかもしれないから連絡はやめておいた。

俺はモテることが重要な生き方をしている。天狩人を目指した理由の一つでもある。だから、服装などにはこだわっているし、女の子と接するときはなるべく嫌な気持ちにさせないようにふるまっている。

なのに、三回のチャンスを無駄にしたのは周りに公表している理由ではなく、単純に、俺じゃないって感じたからだ。良いわけかもしれないし、思想と逆かもしれないが、俺はまあいい。納得しているし、後悔はしてねえから誰に何と言われようといいんだ。

だから、道の門でぶつかった相手が女だったときはそこそこ驚くし、挽回しなくてはという心が相手が初対面だろうと働く。

「うわっ!すいません!不注意で!」

「こちらこそすいません、大丈夫ですか?」

顔を覗うと、そこそこ美人で俺の好みにもあっている。どうせ暇だし、適当な理由でもつけてお茶でもしたい。

「大丈夫っす、急ぎですか?」

「いえ、ちょっと買い物行くだけなので急いではないです」

「ああ俺も丁度行くんすよ、一緒に行きません?」

自分で言うが、この言い方だと断りずらいよな。道中が一緒なのだから気まずくなるのも避けたいだろうし、必然的に一緒に歩くことになる。

「いやあしかしすいません。俺が走ってたからいけなかったです」

「全然!でも、急いでなさそうだし、なんで走ってたんですか?」

「性格がせっかちってのもあるんですけど、天狩人志望なんで少しでも鍛えられたらと」

「・・かっこいいですね!」

相手の一瞬の間が気になりはしたが、些細なことだろうし、単に言葉が詰まったりだとかそういうこともあるだろう。形式上だが褒められたことに喜びを感じる。

だけれどふと一つの疑問が沸く。俺はこのあたりに住んでいるから分かる。ここを右に曲がったところにコンビニやスーパーマーケットがあったか?

「どこで買い物する予定なんですか?」

質問をした瞬間、攻撃が飛んできた。首を傾け避けるが、頬を裂く。

いきなりだが、攻撃されてる。この女が巻き込まれたらまずい。彼女の腰と腹に手をまわし、俺のリィティル、晴天の霹靂を発動させ、木の陰へと彼女と共に移動する。その際も攻撃が飛んで来たが、難なく躱すことができた。

「そこにいてください!」

おそらく俺を狙った攻撃だから彼女が攻撃される心配性はあまりないが、念のためだ。こういうのは男としても天狩人としても大切だろ。

周りを見渡すがだれもいない。威力・スピードともに低かったから遠隔から放ったのか?だが、二発目は至近距離から急に現れたような気がする。

周りを見渡していると後ろからさっきの攻撃の大きいバージョンのようなものが飛んできた。直であたってしまい、壁に押し付けられる。威力・スピードはない。けれどどこからくるかわからないから避けきれない。

血を吐いて、後ろを振り向く。さっきの女性しかいない。建物の上階や屋上から隠れながら攻撃しているとかか?いや、さっきの攻撃は地面に沿ったものだった気がするぞ。もしかして、あの女か?

あの女のほうを暫く見つめる。彼女も俺の方向を見ているが目はあっていない。攻撃が止む。おい、たぶんこいつだぞ。

晴天の霹靂で彼女に接近し、着ている上着を脱がせる。これで敵じゃなかったら失礼だけれど確かめるしかなかった。

胸を見ると予想は的中した。光が強ければ服も透けることができるけど彼女の光は弱かった。殺した人数は多くて五人ほどだ。

「こいつっ!」

信頼するほど関わってはいなかったが、正直落胆した。美貌をもった奴でも闇狩人はいる。言葉にしなくてもわかるが形にしてあらわされると、嫌だな。

闇狩人は殺すしかない。これが天狩人の使命であり責任だ。名残惜しさはない。どうせ生かしておいても俺の彼女になるわけでも目の保養になるわけでもなく人を殺す闇狩人なだけだから。

晴天の霹靂は自分の目線に沿って電気と共に移動できる技だ。そのため、そこを通った俺以外は感電したりする。さっきこいつを抱えて移動できたのは電気を極限まで弱めたからだ。発動してから任意のタイミングで目線の移動に応じて移動できる。前を見れば前に行ける。カーブも可能で電気が通る速さで移動が可能だ。つまりほぼ一瞬で移動できる。その時の俺の質量はゼロとなるため体当たりでの攻撃はできない。もう一つ、自分が望めば晴天の霹靂を発動した後、雷のリィティルをまとった剣を出現させることができる。これによって感電以外の攻撃が可能になる。

相手の攻撃は針のようなものを飛ばすだけのようだ。光は薄いし、弱いはずだ。

剣を出現させ、突く。相手はスピードについてこれずもろに喰らう。多量の出血をしており、もうすぐ魂が天に還される時だ。

「お願い、助けて」

なぜか命乞いをしてきやがった。天狩人の俺が了承するわけないだろう。それを伝えると涙で頬を濡らしながら理由を伝えてきた。

どうやら俺ぐらいの年の弟が病気で、親も頼りならず、誰かから金を盗もうと思い、人を殺してしまったらしい。一回やってしまったらねじが外れるのか、何回も殺し、闇狩人になってしまったという。

正直気の毒だなとは思った。しかも、最期だから弟と話したいと。だから俺のスマホを貸してほしいということだった。そこまで言うなら仕方ない。貸すぐらいならいいだろう。

そう思い、三歩接近し、スマホを差し出す。そこで攻撃が飛んでくるのは流石の俺でも想定内だった。三歩分右に避ける。

「噓つきが」

まるで最初から同情を誘うような言葉だった。一瞬でも信じてはいけなかった。攻撃あたらなかったとはいえ、嘘をつかれたことで気分が下がることを考えなかったのか、自分にも少し嫌気がさして、半分八つ当たりで剣で貫く。

魂は天に還る。

この様子を見れただけでもほっとする。本当の理由は殺してしまったから分かりゃしないが、少なくとも殺された人にとってはどうでもいいことだろう。

「いい相手見つかんねえなあ」

美女を殺したことを引きずっているわけではないがそんなことを思った。

タイトル いかづち

エピソード3 襲撃

エピソード4 反撃

エピソード5 終炎

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