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狩人の狩人  作者: 千野りん
一章
5/5

エピソード5

前回までのあらすじ

翡翠が闇狩人にやられる瞬間、そこに龍太が立ちふさがり、その場のアイデアによって勝利を掴む。そして天空にいる灰猛の過去が明らかとなる。

冷静さを鈍感さや気取っていると勘違いされることも多い僕だが、たった一人の闇狩人の前ではそんなことは関係ない。相手が強かろうと弱かろうと、感情は万物が灰になるほど熱く、行動は全細胞が止まる絶対零度の如く冷たい。

そんな灰猛を灰猛自身は今と昔では違う好き方をしていた。

昔はただ戦闘では有利な心理状況だから好きだった。

だが、仲間と出会ってから少し考え方が変わった。この感情でトラブルが起きなかったわけではないが、自分のことを信頼してくれる人が増えた気がしたから、好きな友人が信頼してくれる僕のことを、その心を好きになった。

昔は自分だけの世界にいたが、今は周りに誰かしら人がいる。いなくなりもするが、確かに存在を実感している。一歩前に進めば、遠いところに行ってしまったように感じていた人物も見えてくるはずだと信じていた。だから仲間と出会ってからずっと自分を好きであれた。

自己中心的から他人任せな考え方になったと、客観的にみればそう思う。それでも感情は嘘をつかない。自分のことを灰猛ははっきりと好いている。だから今回もまた突き進む。


灰牢黒淵も基本炎リィティルも、僕の特徴である能力だ。もう一つ、リィティルを所持している。それは灰を生成する能力で、その灰は生成した後、任意のタイミングで消滅させることができる。

移動、攻撃、防御、サポート、戦闘で必要な全ての事をこの灰生成で行うことができる。

闇狩人は灰牢黒淵の外を向き、転送で自分を外に追い出そうとする。一度は出れる。出ようとしていたことはすでに分かっていたので、接近し、灰牢黒淵の範囲に闇狩人をいれ、灰牢黒淵を生成させる。そして灰牢黒淵の外側に灰をまとわせ、外の状況を見えないようにした。灰牢黒淵の中は外からの光を遮られると黒一色に染まり、五感の視覚が作用しなくなる。

闇狩人が暗くする前に居た位置まで感覚で移動する。できるだけ無音に。外にまとわせた灰を一気に消滅させ、何も見えない時は動かないほうがよいと判断してしまったのか、あまり移動していない闇狩人に向かい、生成した灰をぶつけ、灰牢黒淵とはさむ。

ダメージは確実に与えられている。

不意打ちでないと転送ですぐに逃げられてしまうのが厄介なところだ。だが、広範囲の攻撃を続ければ相手は転送による回避と防御に戦闘の時間を費やす。

さっきから一切攻撃をさせていない。こちらも攻撃がほぼ当たっていないので地上からしたら一進一退の攻防に見えるかもしれないが、相手は回避しかしてこないということは僕の灰に対抗する術がなく、模索している状況にあるとみた。

一方こちらは相手の能力もしたいことも行動から予測することができる。

状況はかなり優勢だ。

相手がまたもや外にでようとしていたので、灰牢黒淵の外にもう一つ灰牢黒淵を生成する。僕が入っている方からは抜け出されたが、そちらを消滅させ、闇狩人と同じ空間に入る。

灰を足場にし、波に乗るように闇狩人に近づく。サーフィンはやったことない。灰と基礎炎リィティルを組み合わせ全方向から闇狩人を囲むように放つ。目隠しもこめたその攻撃が一斉に闇狩人に向かう。闇狩人は転送によって僕の攻撃から逃れるが、その前方にすでに移動していたため、拳を振り下ろす。これもギリギリのとこらで転送でかわされてしまい、闇狩人が視界から消える。あいつは僕が殴ろうとした一瞬、僕の後ろに視線を向けた。後ろは見ずに、灰を生成し放つ。

流石に避けきれなかったのか、手応えがあり、後ろで何かと何かが鈍い音を立てた。灰牢黒淵と闇狩人がぶつかり、闇狩人は口から地面へ血を吹き出す。相手は苦しそうに憎悪をこめてこちらを睨み付けた。多分分かっている。実力の差を。

こいつは僕が出会った中で、どす黒い闇の光を見ると十位には入るほど強い闇狩人だ。だが、僕がまだ弱かったころ、こいつより強いと感じた闇狩人は数えきれないほどいる。光で見ると強いが、今では微塵も強いと感じない。

今の攻撃でここまでダメージが入ったのなら、次で終わらせることが出来るだろう。

転送で逃げられてしまうため、倒すことだけ見ればなかなか手強い敵だった。すでに終わりを見据えている灰猛は、灰に乗るのではなく、後方に噴出し、闇狩人に接近する。相手は俯いたまま動かない。転送がどこにきてもいいように灰を四方八方に生成しておく。闇狩人を十字の中心とするようにまわりに火柱を発生させ、炎のリィティルも後方に発射し、更にスピードをあげる。

極閻赤閃(ごくえんせきせん)

師匠から着想を得た灰猛の奥義。相手を炎の鎖で縛り付け、所得しているリィティルを全身で体現する業。体内でリィティルを放つため、凄まじい火力とスピードになる。さらに灰牢黒淵の小さいものを何個も生成し、生成と消滅によるエネルギーも生まれる。これでさらに火力とスピードが増し、空間が歪むほどになる。灰牢黒淵は殴る対象である闇狩人までの道のりに生成するため、相手も動けない。だが、体内でリィティルを放出すると、体に穴が開いたりなどの死に至る大怪我はしないものの、反動でその場で動けないという弱点がある。

極閻赤閃によって空間が歪み、灰猛は止まって見える。その後、衝撃波が生じ、灰さえも消滅する熱により、闇狩人は息絶える。魂はリィティルの影響を受けないので無事だ。今回もこのように終わると思っていた。これで倒せなかった闇狩人は一人もいない。

拳が闇狩人に届く。思わず目をつぶってしまいそうな衝撃波と熱が拳から広がる。発生主は灰猛なため、その影響はあまりないが、エネルギーの大きさにその影響がないということさえも捻じ曲がる。とは言って強い風が吹いた程度なので大丈夫だ。

問題は別のところにあった。闇狩人の光がドーム状に色が薄くなって広がっていく。こんな魂の終わりは見たことがない。そんなことを反動で動けないので考えていると、灰牢黒淵が急速に灰猛に近づいてきた。いや、それは灰猛の感じ方であり、実際は灰猛が灰牢黒淵に近づいていた。触れた瞬間、意識を失った。


「先生っ!」

灰猛が闇狩人を倒してくれた。その短い間に、地上も片付き、怪我人はそこそこいるが、死者はゼロ、生徒はほとんど無傷だ。だが、灰猛が闇狩人を倒した直後、灰猛が衝撃波のような何かに吹き飛ばされ、黒いドームに衝突し、そのままドームが消え、地面に落ちるところで他の職員が救出した。息はあることを確認し、安堵しているとサイレンの音が聞こえた。だれかが救急車を呼んでおいてくれたそうだ。一番重症な灰猛から運んでもらった。体の左側が大きく損傷しており、左足はえぐられたようになっていて目をそらしてしまうものだった。

後日、学校からの謝罪と感謝が俺ら一年生で戦った者に送られた。

「今後はこのようなことが一切ないよう、職員一同尽力します」

俺らは感謝は受け取るが、謝罪は不要だと述べた。俺ら、とはいっても一定数損害賠償や教育費の免除など、同年代がするようなもんじゃあないことを言ったりしたが、お偉いさんは保護者への対応をするとのことで俺らを集めた教室から出ていった。俺らはまだ大人の事情とかを詳しく知らないけれど、おそらくは大変なんだろう。今までもこれからも。自分らは役に立てないので心の中で憂うことぐらいしかやることがない。

「しっかし真也はすげえな、先生たち顔負けじゃねえか」

「まあな」

鼻に絆創膏をはって照れた笑みを浮かべた真也は特に感謝を伝えられていた。真也はその時、「母さんめんどいっすけど頑張ってください」と職員たちにほぼ無表情で伝えた。彼の母は有名なファッションブランドの社長で、母息子そろって著名人ということでワイドショーをざわつかせている。真也によるとプライド高いだけのくそ野郎とのことだ。真也は母親も嫌いだそうだ。家族全員嫌いなのかと問うと父親だけは好きだと答えた。真也の名付け親で物静かだが温厚で優しい性格だそうだ。いつかあってみたいと本心で告げると、時間があったらと返された。今は母親と大也さんが一緒に暮らしており、父親は一人だそうだ。いろいろありそうという浅はかな考えが思い浮かんだが、口には出さなかった。もう一度感謝を伝えられ、プロジェクターのようなものを職員たちは用意した。そこに映し出されたのは灰猛だった。左半身は包帯でぐるぐる巻き、右腕は骨折したようでギプスで固定している。右足だけは何ともなさそうだ。

『いやあ、見ての通りおおけがしちゃってさぁ。暫く映像で授業するからよろしくねー』

見た目はかなり痛々しいし、まだ寝といたほうがいいと素人でもわかるほどだったが、顔だけは怪我人ではなくいつもといっても数日だが、いつもの灰猛で元気そうだった。職員たちから休むように言われたらしいが無理を言ってこのような形での授業を許可したらしい。本人は学校で直接指導したいと言っていたらしく、職員だけでなく、病院側からも当たり前だが無理だと言われたそうだ。職員たちは本当は病院でかなりの期間休んでもらい、代理の教師を教壇に立たせる予定だったが、本人の願いとあの戦いでの戦績を考慮し、本人の願望を尊重したそうだ。生徒思いと言えば聞こえはいいかもしれないけれど狂気を帯びている。

授業は今日は休みということで、早速昼飯を真也・成と食べに行った。翡翠さんは俺が戦った闇狩人のリィティルにより体が少し動かしずらいそうで、今日は参加せず、鶴花も翡翠さんの付き添いとしてこなか

った。男三人でハンバーガーのチェーン店で軽く済ませた。

ニュースを見ると、今回の事件のことがニュースになっていて、灰猛の存在が大きく世間に示された。灰猛は、元反狩人だったものの、教師になるために、天狩人に努めてきた十年分の記録を一度に出し、一応は天狩人扱いとなったらしく、問題児扱いされていたそうだ。だが、実力だけは本物で、今回も過去を見てもかなり強い闇狩人だったらしく、大怪我をしたとはいえ倒したことについて賞賛と驚喜が混ざっている。

その一方、学校側の対策不足などの点も挙げられ、対応に困っているようだ。

実際、学校の外に出るときにカメラを持った人が数人中に入ってきていたし、電話も多くかかってきているらしい。中には保護者からのものもあり、今すぐ引き取らせてほしいなどの内容もあったそうだ。俺も、祖父から心配の連絡はきたものの、大丈夫だと伝えるとそれきりだった。

昼飯を食べ終わり、夜まではそれぞれ寮で過ごすことにした。灰猛からもらった手紙をもう一度開き、読む。的を射ている意見だと今回の戦いを通じて改めて感じた。龍決は汎用性がかなり高く、その場の発想次第では、自分よりも強い闇狩人に勝てたりもする。だが、生物に条件を付与できない点や遠回しに細かく行わないと作用しない点などが問題点だ。リィティルは自分の努力次第で伸ばせる。前まで勝手に基本リィティルの威力だけのことだと思っていたが、龍決も能力を高められることができれば、もっと強くなれる。あまりにも遠いが、闇狩人を絶滅に追い込めるほどの最強の天狩人になれるかもしれない。


あいつの衝撃波はおそらく魂解放だろう。あの量の魂をもっているやつがうつ、しかも極閻赤閃の反動で動けず、無防備になったところに左から喰らった。左半身の感覚は一瞬にしてなくなった。今も義手とかはギリギリ免れたぐらいで、危ない状況だし、右腕は地面に叩きつけられるとき、足を両方失うとやばいと判断して腕で受け身をとっため折れた。四肢のうち三つを暫く機能できなくなっため、生活は不便で仕方がないが、右腕は折れたとはいえ灰で少しだけガードをしておいたので、もともと治癒能力が高いこともありほぼなおった。病院の人からは驚かれたが、ぎり四分のニを使える状態になった。

暇なのでテレビをつけると、今回の事件がニュースになっていた。僕のことも報道されており、エゴサーチするときの気分を擬似体験した。

生活のことは灰がなんとかしてくれるから不便だけれど行えはする。

だが、せっかく教職に就いたのに教師としての活動が制限されるとなると残念だ。死んでも僕を殺そうとしてきた闇狩人の根性は認めるが、迷惑だからイラッとする。ニュース番組はかえて、バラエティに交代する。さっきの嫌悪は忘れて芸人の一言に笑みを溢した。

タイトル 終炎

エピソード2 検定

エピソード3 襲撃

エピソード4 反撃

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