それじゃ、また。
放課後、まだ人の気配が残った教室で二名の男女が話している。
「知ってるか?この学校のウワサバナシ」
「えー、知らなーい」
「怖いハナシー?」
「出るんだってよ、放課後、二階の空き教室に」
「髪の長い、肌白の女が教室から廊下を見てるんだって」
「なんでも、そいつは目が合ったヤツの名前を知ってて、質問してくるんだって」
「〇〇さんですか?って」
「ウワー、怖」
「それに応えるとどーなんの?」
「はいと言ったら、『あなたの身体をください』なんて言って追いかけてきて」
「いいえと言ったら、『嘘つき』って言って激昂して殺されるらしい」
「追いつかれたらどーなんのよ」
「それは……わかんないけど」
「で?それを今話したってことは、見に行きたいってこと?」
「そりゃ気になるだろ、こんな話」
「怪談の人物に名称もなくて事柄だけが伝えられてるなんて、おかしいし」
「じゃ、行ってみようよ、二階の教室」
「……いた」
「うわー、ホントにいるね……」
「それじゃ失礼して…っと」
「おい!いきなりドアを開けるヤツがいるかよ!」
「別にいーでしょ、アタシ足速いし」
「こんにちはー、アンタ幽霊?」
【あなたたちは】
【鳥居みゆきさん と ですよ。さん ですか?】
「はい」「ああ」
【あなたのからだをください】
「…っ、来るぞ!」
「わかってるわよ、言ったでしょ?アタシ、足が速いって」
「ヒットエンドラン!!」
【グ…グッ…グアァ】
「効いてる…いけるぞ!」
【グゴアアアアァァァァ!!!!!!!!!!】
「っ、コイツ、まだ動けるの!?」
「鳥居!!」
「大丈夫、アンタ、何秒必要?」
「…この広さなら30秒ってところかな」
「そ、じゃ頼んだ」
「ヒットエンドラン、ヒットエンドラン、ヒットエンドラァァァン!!!!!」
【グ、グゴ……ガァッ!!!!!】
「ですよ。!!」
「ああ、任せろ」
「あーーーーーーいとぅいまてーーーーーーーーん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「終わったな」
「大した事なかったわね」
「それじゃアタシ、近くの道の駅行くから」
「報告は俺任せかよ…ったく」
「頼んだわよ〜」
この世には、目には見えない闇の住人達がいる。
奴らは時として牙をむき、君達を襲ってくるかもしれない。
彼らは、そんなやつらから君達を守る為に、地獄の底からやってきた、正義の使者
……なのかもしれない。