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再会②
3人は公園へと着いた。ケヤキの木の下に鈴が立っている。その姿を見た瞬間、春は鈴の元へ走り出した。
「鈴ー!!」
春は走りながら溢れる気持ちを抑えきれず、鈴へ近付くにつれ、涙が溢れだした。鈴の元へと着く頃には、もう前が見えないほどだった。春は思いっきり鈴に飛びつこうとした。しかし、未練仏の鈴には飛びつくことはできなかった。虚しく鈴を透かしていってしまった。目の前にいるのに触れられない。昨日の翔と同様に、春も切ない気持ちでいっぱいになった。しかし、鈴に会えた事はとても嬉しかった。
「鈴、会えて‥嬉しいよ‥」
春がそう言うと、鈴は泣きながらうんうん、とうなずいた。
春に遅れて、優と翔も鈴の元へと近付いてきた。
「鈴ちゃん久しぶり。会えてよかったよ」
優がそう言うと、鈴は優の方を見て、うんうんとうなずいた。さすがの優も色々な思いがあったのか、込み上げてくるものを我慢できなかった。3人はそのまま泣き続けた。つい何日か前までは学校で普通に顔を合わせていたが、遠く離れてしまい、何年も会っていないような人に久しぶりに会えた感覚だった。