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現実③
2人は泣き続けていた。ずっと泣いている2人が心配になったのか、木の裏側へ行った男の子が、2人の元へと戻ってきた。鈴に何か話しかけている。『大丈夫?』と言っているようだった。その姿を見て、翔はもう泣くのを止めないと、と思った。鈴も同じことを思い、泣くのを抑えた。『この子が不安にならないようにしないと』。自分達の方が大人にならないと、と2人は思った。
「未練仏同士なら、会話ができるの?」
と翔は鈴に問いかけた。鈴は首を縦に振って答えた。泣き止んだ鈴は、男の子と何か話をしている。鈴は翔の方をチラチラと横目で見ていた。男の子と話をしながら、翔に何かを言いたそうだった。男の子と話終えると、鈴は翔に向かって話しかけてきた。しかし、やはり何を言っているのかはわからない。鈴はジェスチャーを交えて何かを伝え始めた。