寝坊
次の日の朝。
翔は寝坊した。急いで支度だけをして、家を飛び出した。
『うわぁ、ヤバいよヤバいよ。寝坊しちゃったよ。昨日余韻に浸りすぎたな。でも、本当に楽しかったな。鈴ちゃんは可愛かったし‥‥って、もう鈴ちゃん公園に着いちゃったかな?急いで行かないと』
そんなことを何度も頭の中で繰り返しながら、朝の待ち合わせの公園へと急いだ。
『やっと着く。5分遅刻しちゃったよ‥‥鈴ちゃん待ってるだろうな‥‥』
翔は公園に着いた。しかしそこには鈴の姿はなかった。この間見かけた未練仏の子供が、今日も変わらずにケヤキの木の下に立っていた。
『鈴ちゃんまだ来てないみたいだな。よかった。鈴ちゃんも寝坊したのかな?二人して同じことしてるな。朝から笑っちゃうな』
そんなことを思いながら待っていたが、なかなか鈴は現れなかった。気になったので鈴にLINEをしたが、返事がこないどころか既読もつかない。全く連絡が取れなかった。
『もしかして‥‥鈴ちゃん先に着いて、俺が遅れてたから、怒って先に行っちゃったのかな‥‥』
そう思っていると、ケヤキの木の下の子供が、翔を見つめている。翔は一瞬戸惑ったが、その子に笑顔を向けた。その子も笑顔で返してくれた。
ふと時計を見ると、もう遅刻ギリギリの時間だった。鈴とは一向に連絡が取れないので、翔は学校へ向かうことにした。