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人だまり
「なんかあそこ、人が集まってるね」
鈴が言った。
「ね、本当だね。なんだろうね」
「あ、もしかして、何かのキャラクターが来てるのかな?」
「えっ?そうなの?」
「たまに神出鬼没に登場するんだよ。あー、気になる」
「じゃあ食べて行ってみる?」
「うん、行きたい」
2人は急いでカレーを食べ、人だまりへと向かった。何かを中心にして、ドーナツ型の人だまりができている。人が寄ってきたり、離れたりしていた。翔と鈴も、なんとなくできている列みたいなものに並び、中心へと近づいて行った。結構な人が集まっているので、なかなか中心が見えない。ただ、列の進みは早い。鈴が不思議そうに言った。
「キャラクターと写真を撮ったりできるんだけど、その割には早く前に進んでるかも」
その不思議な感じが、2人の好奇心をくすぐる。やっと見えそうなところまできた。そしてまた列が進み、中心の何かが目に入ってきた。『えっ?人?』2人は同時に顔を見合わせた。中心にいたのはキャラクターではなく、人だった。列が進み2人は最前列へと到着した。そしてその人がはっきりと見えた。