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新星機動のアサルトフレーム―タケミカヅチ・クロニクル―  作者: 河原 机宏
第1章 白いアサルトフレーム

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機動戦艦アマギ

「セルティさん、次に奴が突撃してきた時にカウンターを仕掛けます。援護をお願いしてもいいですか?」


『チドリを使った反動からまだ回復していないようだけど……まあいいわ。止めはあんたに任せる。その前に<アマテラス>のとっておきを見せてあげるわ。それで隙が出来るはずだから、その瞬間を狙いなさい!』


「了解!」


 攻撃の段取りを組むと<アマテラス>は腰部に装備している大型サイドアーマーとリアアーマーの一部装甲を展開し、そこから無数の光の球を射出し始めた。

 それらは本体の周囲を戯れるように浮遊する。

 

「何だあれは。武器……なのか?」


 腰部のスカート状の大型アーマーは浮遊ユニットだと思っていたけれど、備えてある機能はそれだけじゃなかった。

 あんな兵器は見た事がない。見た感じビーム弾に近いけれど生き物みたいに空を飛んでいる。


『これは<アマテラス>の主兵装『フェザーセル』。コックピットからの命令を受信するナノマシンを核として周囲にD(ディバイン)フィールドを張った遠隔攻撃機ってところかしらね。これで援護するから、あんたは有言実行しなさい。――行くわよ!!』


 <アマテラス>が手掌を敵機に向けるとフワフワ浮かんでいたフェザーセルが動きを止めた。それがまるで嵐の前の静けさのようで思わず見入ってしまう。


『標的はそいつよ。――行きなさい!!』


 セルティさんの命令を受け、一斉に無数の光の球が<クラーケン>目がけて飛んで行く。

 弾丸の如きスピードと生き物のような不規則な動きで飛翔する。<クラーケン>は弾幕で迎え撃つものの、圧倒的な物量差をどうすることも出来ない。

 フェザーセルは次々に<クラーケン>に衝突し消滅しながら厚い装甲を食い破っていく。一つ一つの威力はそこまで高くないようだけど、数の暴力によって敵を圧倒している。


「凄い……こんな数で攻撃をされたら抵抗なんて出来ないじゃないか……」


『そこ、ボーッとしてんじゃないの! フェザーセルじゃ、あの重装甲を突破して中枢部を破壊するのに時間が掛かる。シメは任せたわよ!』


「了解しました!!」


 げきを飛ばされ身体が奮い立つ。このチャンス、絶対ものにしてみせる。

 スラスターを全開にして空中に躍り出ると<クラーケン>目がけて急降下する。


『そっちから来てくれるなんて嬉しいわぁ! ハグしちゃう!!』


 半壊した<クラーケン>が黄色い瞳でこっちを見つめている。

 そこを目がけて落下しながら足底部に収納していたチェーンソーダガーを露出させ刀身のチェーンソーを起動させる。

 『ギュィィィィィィィン』という激しい音を立てながら刀身が赤熱化すると、その凶暴な刃を<クラーケン>の顔面目がけて蹴り込んだ。

 

「落ちろぉぉぉぉぉぉぉ!!」


『ぎゃああああああああああああ!! 足裏に何て物を仕込んでるのよぉぉぉぉぉぉぉ!!!』


 顔面にチェーンソーの刃が刺さってフォルネスの悲鳴が轟く。

 ライキリが使えない今、奴に効果的なダメージを与えられるのはこれしかなかった。それに意表を突くことも出来たため結果オーライだ。

 スラスターと各部バーニアを噴射してより深くチェーンソーダガーを蹴り入れていくと先端部が敵の頭部を貫通した。


『こんな攻撃をしてくるなんて……なんて……なんてデンジャラスで刺激的なのかしら! 冗談なんかじゃなく本気で好きになっちゃったわ! 今回はこれで引き下がるけど、どんな手を使ってでもあなたをワタシのものにしてみせるわ。……バイバイ、カナタちゃ~ん!!』


 最後に恐ろしいことを言い放つと<クラーケン>は頭部が破壊され機能を停止した。散々な目に遭ったが何とか倒すことが出来た。


「セルティさん、ありがとうございました。あなたが来てくれなかったら僕は負けていたと思います」


『……そう? 案外あたしがいなくてもやれていたんじゃないの。チェーンソーダガーで敵の頭部をぶっ飛ばすなんて中々エグい戦い方するじゃない。――気に入ったわ』


 さっきは必死だったから無我夢中でやったけど、いざ冷静になってみるとチェーンソーを顔面に打ち込むなんて確かに凶器じみている。

 そういう自分の中の激しい部分が戦いの中で段々と強くなっている気がする。

 でも、今はそんな事を気にしている場合じゃない。早く皆の援護に向かわないと。


「皆と合流しましょう」


『そうね、そろそろ<アマギ>も到着する頃だろうし敵A(アサルト)F(フレーム)部隊を片付けるわよ』


 現在僕たちがいるギガフォートレス<ケートス>の前方甲板へと移動を始めた。そこではバルトとルーンが敵AF部隊と戦っているはずだ。

 長期戦になったことで<カグツチ>はミサイルの残弾が心許ないし、<ツクヨミ>も大量のAFに囲まれれば危険だ。

 ――急がないと。移動しながらセルティさんに質問をする。


「あの、<アマギ>って何なんですか?」


『ああ、そうか。まだ説明してなかったわね。――ほら、噂をすれば何とやらよ』


 セルティさんが指で頭上を指すと雲の切れ目から巨大な何かが降下してくるのが見えた。

 レーダーで改めて確認するとAFよりも遙かに大きくギガフォートレスよりは小さい反応だった。

 降下してくる構造体が近づいてくるにつれてその形がハッキリしてくる。そしてその正体が何か分かると僕は息を呑んだ。


「あれはもしかして戦艦……なのか?」


『その通りよ。機動戦艦<アマギ>。――あたし達アマツ部隊の母艦よ』


 <アマギ>は前方にせり出した艦首に左舷及び右舷も前方に伸びている形をしていた。

 その存在に気が付いた<ケートス>が対空ミサイルを次々と発射し始めるが<アマギ>もまた対空砲火によって迎撃を開始した。

 空中では至る所でミサイルが撃墜され爆発していく。AFのサイズを大きく上回る怪物同士の火器による殴り合いは膠着状態に入った。


『<ケートス>はそんなに火力が高くないから<アマギ>が落とされる心配は無い。あたし達はその間に皆と合流して内部からこの馬鹿でかい要塞をぶっ潰す。いいわね!』


「はい!」


 セルティさんは如何にも姉御肌という人物だ。デューイさんやルーンとも違う、独特なペースで周囲を引っ張っていく天性のリーダー気質の人なのかもしれない。

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