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新星機動のアサルトフレーム―タケミカヅチ・クロニクル―  作者: 河原 机宏
第1章 白いアサルトフレーム

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ターニングポイント

 

 破壊された<レッドキャップ>は<タケミカヅチ>を巻き込んで爆発した。

 バルト達が広がっていく炎を呆然と眺めていると、その場に二台の<ランドキャリア>が戻って来た。

 <カグツチ>のコックピットに通信が繋がりフィオナが心配した表情でモニターに映る。


『バルト、カナタは何処ですか? <タケミカヅチ>の姿が見えないんですけど、まさか……』


『……<タケミカヅチ>は敵の爆発に巻き込まれちまった。すまねえ、見ている事しかできなかった』


『そんな……』


 絶望的な状況に顔面蒼白になるフィオナ。全員最悪の状況が脳裏に浮かび俯く。

 そんな時、<ツクヨミ>のセンサーに反応があった。


『――っ! 爆心地に高エネルギー反応、これは……<タケミカヅチ>です!』


 皆が顔を上げると炎の中に巨大な人型の影が見え、間もなく白いA(アサルト)F(フレーム)が姿を現した。

 純白だった装甲はあちこち傷つき焼け焦げてはいたが、その歩みは力強く勝者の風格を表現していた。


 フィオナは急いで<ランドキャリア>から降りるとその勇姿を目に焼き付けるように見守る。


「カナタ……無事で良かったぁ……」


 <タケミカヅチ>はフィオナの前で止まるとひざまずいてコックピットのハッチが開く。

 その中からカナタが出てきてフィオナに大きく手を振るのであった。


「ただいま、フィオナ!」


「お帰りなさい、カナタ……」


 フィオナはカナタが無事であると分かると目を潤ませて微笑み手を振り返す。

 こうしてカナタ達にとってターニングポイントとなる戦いは終わりを迎えるのであった。





 ジェノバの乱入と撃破で幕を閉じた戦いではサルベージャー管理局側に数名生き残りがいた。

 彼らはゼノアに賛同し行動を共にしていたが詳しい事情は知らなかった為、これからこの場に来る軍の増援部隊に引き渡すことになった。


 そして、僕たちはデューイさん達と一緒にOS強化装置の流通が行われている『オキノミ』を目指すことになった。

 ジェノバにもこの件が漏れている以上、証拠関係が始末される可能性が高いが行く価値はある。

 移動には<ヤタガラス>というアマツ部隊の輸送機で行くことになり、その到着を待つ間バルト達に事情が説明された。


「――そういう事かよ。ったく、先に事情を話してくれりゃいいのに普通戦闘を仕掛けてくるもんかね」


「それに関しては謝罪しなければならないな。すまなかった。だが、そのお陰でお前たちの戦闘データが取れた。それにアマツシリーズのパイロットとして必要な精神も持ち合わせているという事も分かった」


 バルトは最初殴りかかろうとしていたが、デューイさんが余りにも素直に謝罪したので振り上げた拳を振り下ろすことが出来ずイライラしていた。

 それでもバルト達は話し合って全員一緒に来ることになった。


「本当に良かったの、バルト? デューイさん達と一緒に行動するってことは軍の命令で動くって事だし戦争に関わる事になるんだよ? 今ならまだ――」


「やかましい。オレ達が行くと決めたのはあくまでオレ達の意志だ。お前らは関係ねえよ。それよりお前もいつの間にか戦う気になってるようだがちゃんと爺さんやフィオナとは話したのか?」


 事情を説明してくれた爺ちゃんには戦闘前に自分の意志は伝えたし、戦いが終わった後にフィオナとも色々と話した。

 彼女は「巻き込んでしまってごめんなさい」と何度も謝罪していたけど、『ノア3』と戦おうと決めたのは自分の意志だ。

 それを説明しフィオナは納得してくれた。それに軍と行動を共にすることに関しても問題ないと言っていた。


「ちゃんと二人とは話をしたよ。とにかく『ヨモツヒラサカ』を目指すにしても周囲には『ノア3』のAF部隊がうじゃうじゃいるみたいだから、それをどうにかするのが先だっていう事になった」


「そうか……で、その爺さんとフィオナは今どこにいるんだ? さっきから姿が見えねーけど」


「二人ならルーンさんと話をしてる。輸送機が来る前に今後の話をするって言ってた」


 バルトと話をしているとデューイさんが近づいて来た。その後方にはフィオナ達の姿があった。どうやらルーンさんとの話は終わったようだ。


「間もなく<ヤタガラス>が到着する。お前たちは機体に搭乗して積み込みの準備をしろ」


「何処にも輸送機の機影なんて見えないぜ……って、おおっ!?」


 バルトが素っ頓狂な声を上げる。それもそのはず先程まで何も無かった空に突然巨大な輸送機が現れたのだ。


「……全然気が付かなかった。輸送機にも光学迷彩が搭載されてるのか。それに飛行中なのに音も聞こえないなんて」


「あれは<ツクヨミ>のトバリを基にしたステルスシステムを搭載している。隠密行動が主なのでエンジン音も可能な限り聞こえない設計になっている」


「すげー。軍ではこんな代物が配備されてんのかよ」


「これはその中でも最新鋭のものだ。それが開発可能になったのはサルベージャーが様々なパーツを集めてくれたお陰だ。先の戦争で『ノア11』のシステム中枢は被害を受け保存されていた高度技術データの多くが失われてしまったが、それでもここまで持ち直すことが出来た」


「そう言ってもらえると一人のサルベージャーとして嬉しいです」


 自分たちがやってきた事は無駄ではなかったと言われて嬉しくないわけがない。これまでの積み重ねがこうして形になっていた事実を知り心が晴れやかになった。

 輸送機<ヤタガラス>は廃墟の側に不時着した。僕たちはそれぞれの機体に搭乗して積み込み作業を行う。

 <ランドキャリア>はこの場に置いて軍に回収してもらう事になった。

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