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新星機動のアサルトフレーム―タケミカヅチ・クロニクル―  作者: 河原 机宏
第1章 白いアサルトフレーム

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旅路


 ――『アハジ』を出発して二週間が経過していた。

 僕たちは目的地の『ヨモツヒラサカ』を目指して北へと進んでいたが、『アハジ』での教訓から都市部を通らないルートで行くことにした。

 これだと迂回する形になり都市部を通る直進ルートより時間は掛かってしまう。

 けれど周囲への安全を考えた場合この方が良いだろうという皆の意見を取り入れた結果だ。

 フィオナもこの考えには同意してくれていて、この安全重視ルートで北へと向かっている。

 

 ――そして幸か不幸か招かれざる客は毎日のようにやって来た。


『敵は正面から二機、左右から一機ずつ! 向かって左と正面はオレがやる。右側は頼んだぜ、カナタ!!』


「了解!」


 バルトは<カグツチ>のガトリング砲で向かってくる三機の<ゴブリン>をあっという間に戦闘不能に追い込む。

 僕は<タケミカヅチ>の左手に装備させたアサルトライフルで、下半身を重装二足歩行型に換装した<オーク>を撃ち敵のバズーカを破壊した。 


「動きが鈍重なんだよ!」


 敵機の遠距離武器を黙らせると左腰部のサイドアーマーからライキリを取り出し右手に装備して一気に間合いを詰める。


「出力はなるべく落としてソードの範囲を狭めれば――!」


 右手に持ったビームソード発生器から雷を彷彿とさせる黄色いビーム刃が出力される。

 間合いに入ると敵機はヒートナタで攻撃してきた。ライキリで受けると接触部で激しい閃光が発生する。

 しかしそれは一瞬で、間もなくライキリのビーム刃はヒートナタの高熱の刃をチーズのように斬り裂いてしまった。


「やっぱり、このビームソードは――斬れすぎる!」


 武器を破壊した後、即座に<オーク>の四肢を斬り落とし戦闘不能に追い込む。こうして戦闘開始から一分も経たずして決着がついてしまった。

 この二週間で行われた戦闘はいずれも今回と同じように短時間で終了している。

 それだけ<タケミカヅチ>と<カグツチ>が他の量産機を圧倒しているのだろう。

 おまけにライキリという強力なビームソードは重装甲すらも容易く斬り裂いてしまうので接近戦では向かうところ敵無しになっていた。


 戦闘不能にした(アサルト)(フレーム)から使えそうなパーツをもらい、サルベージャー達は頑丈な紐で縛って動けないようにしておいた。

 僕たちがこの場所を離れる際には救難信号を発信し、救助が来るようにしておいたのですぐに誰かが駆けつけてくれるだろう。

 もっとも、このサルベージャー達は色々と犯罪行為をしている人たちなので救助された後に檻の中にぶち込まれる運命だ。


 戦闘を終えて二台の<ランドキャリア>は急いで荒野の中を走り去っていく。

 百年前の戦争の範囲は大規模であった為、自然環境に与えた影響は大きく現在は荒廃した土地が広がっている。

 比較的被害が少なかった土地には新しく都市が築かれてはいるが全盛期に比べて規模は小さく、『ノア11』領内では首都であり地下都市でもある『クレイドル』が唯一大規模かつ安全な都市だ。


 『クレイドル』は三百年前にこの惑星に入植した移民艦<ノア11>の居住ブロックを基に造った都市だ。

 以前は地表に建設されていたが百年前の大罪戦役で『ノア3』側の襲撃を受けたことから、現在は地中へと移動させジオフロントの形をとり特殊な環境となった。

 その結果『クレイドル』の市民にはある種の選民思想が芽生えてしまい、それ以外の街に住む住民との間に軋轢あつれきが生じている。

 行動を共にしているバルトや彼の仲間たちも『クレイドル』に対してあまり良い印象を持っていない。


 かつて栄えていた都市群は今では廃墟となっていて、僕たちサルベージャーはそこの建物を隠れみのにし<ランドキャリア>を停めて休息を取るのが一般的だ。

 夜になって暗く静まりかえった巨大な建物を見ていると、かつてはここも夜間明かりが消える事は無く大勢の人が住んでいたのだと思うとやるせない気持ちになる。


 今日は早めに休息を取ることにして近くの廃墟に<ランドキャリア>を停めた。

 バルト達と行動を共にする事になってからはフィオナとアンナが中心となって食事の準備をしてくれるようになった。

 その他の男たちはAFの整備だったり雑用をこなしたりして、移動中には出来ない用事を終わらせていくのがパターン化している。


「お待たせしました。お夕飯が出来ましたよー!」


 外に簡易テーブルと椅子を用意すると次々に温かい料理が並べられていき、準備が終わると皆で食卓を囲んだ。

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