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新星機動のアサルトフレーム―タケミカヅチ・クロニクル―  作者: 河原 机宏
第1章 白いアサルトフレーム

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ゼノア・サンド

 デューイとルーンを乗せた<ヤタガラス>が北方を目指して飛び去った後、二人を見失ったと報告を受けたゼノア・サンドは焦りを感じていた。

 サルベージャー管理局南方支部で主任の立場である彼は『ノア11』領内のサルベージャー全員の情報を自由に閲覧する権限を持っている。

 そのデータを参考して今回デューイとルーンという優秀なサルベージャーをカナタ達に差し向けた訳なのだが、そこには一抹の不安があった。

 それ故二人が出て行った後、部下に彼らの尾行を命じたのだが早々に姿を見失った。


「あの二人の(アサルト)(フレーム)は<ソルド>を改造したものだと記録にはあるがやはり別物だ。今までの戦闘記録からも性能が段違いだという事が分かる。それに追跡させた機体には広範囲レーダーが搭載してあったんだぞ。よほど優秀な電子戦兵装でも積んでいない限り見失うことなどあり得ない。――こんな事が可能なのはシャーマニックデバイス級の機体だけだ」


 ゼノアは自分の為に用意されたオフィス内を行ったり来たりしながら思考を重ね独りごちる。


「あれだけの機体を所持しているとなれば軍の関与も疑わしい。記録ではあの二人がサルベージャーに登録されたのは五年前だとあるが、それすらも本当かどうか……。くそっ、せっかくここまで順調に来たというのに、こんな不安要素が絡んでくるとは。――だが、まあいい。既にアレは『ノア11』領内に広く行き渡った。私は十分に役割を果たしたはずだ。ならば、その時は近いはず。その前にあの白い機体を私の物にしてやる!」


 ゼノアは自分の中のドス黒い感情を我慢できず笑みをこぼす。そしてエレベーターで建物の地下に向かった。

 そこにはサルベージャーが回収してきたAFやそれに関連するパーツ類が保管してある。

 それらは通常管理局で一時的に保管し情報を『クレイドル』に報告した後、要請があった物を送る事にしている。

 ただしそれは回収した物の半分にも満たない為、回収品は増えていく一方であった。


 ゼノアは回収品の情報を改ざんする事で優秀なAFやパーツ類を手元に残していた。彼の搭乗機である<レッドキャップ>もそれによって手に入れた物であった。

 地下にある施設は保管庫だけではなく主任以上のIDがなければ使えない倉庫があり、ゼノアはそこを自分専用の格納庫へと改造していた。

 そして、現在この格納庫には<レッドキャップ>と彼を信奉する部下たちの機体が収容されている。

 

 それらの機体にはデータ改ざんによって手に入れた優秀な武器やパーツが装備されており、戦闘に特化したサルベージャーなどよりも機体性能が高い。

 この特権を利用しゼノアは裏ではサルベージャーから手に入れた大罪戦役の遺産で私腹を肥やし、時には狩りと称したAFによる破壊活動を趣味同然で行っていた。


 そんな彼の高尚な趣味に泥を塗ったのがカナタであった。

 見たこともない純白のAFで自らが操縦する<レッドキャップ>に痛手を与えた。

 それが彼のプライドを傷つけ執着する原因となったのである。

 シャーマニックデバイスと思しき機体入手も勿論だが一番重要なのはカナタを亡き者にすること。

 ゼノアには大きな目的があり、その成就は目の前であると自覚している。

 しかし、その前にカナタを抹殺し白いAFを手に入れなければという思いが日に日に強くなっていった。


「待っていろよ、カナタ・クラウディス。改良した<レッドキャップ>で貴様を殺してやる! あのデューイとルーンという二人が何者であったとしても最後に笑うのは私だ。――ふふふ、ふはははははははははははははは!!!」


 自分を待つ最高の未来を思い浮かべ破顔するゼノア。

 そんな彼の愛機である<レッドキャップ>には更なる改造が施され、カナタと戦った時よりも性能が格段に上がっていた。

 そして、その最終工程としてコックピットにはOSを進化させるという黒い箱形のデバイスが取り付けられていた。

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