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新星機動のアサルトフレーム―タケミカヅチ・クロニクル―  作者: 河原 机宏
第1章 白いアサルトフレーム

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スサノオとツクヨミ

 デューイとルーンは管理局の建物から出ると(アサルト)(フレーム)格納庫に待機させていた自分の機体に乗り込んだ。

 

 デューイのAFはダークブルーを基調としており、額部では二本のブレードアンテナが角の如く前方にせり出し両肩には大型の盾が装備されている。機体が起動し黄色くデュアルアイが発光する。

 ルーンが搭乗するAFは黒を基調とした全体的にスリムな軽装の機体だ。背中のバックパックにはウイング状のモジュールがある。

 機体が起動するとデュアルアイが山吹色に発光した。


 二機は格納庫から出ると、そのままサルベージャー管理局南方支部のある街を後にし、どこまでも続く荒野の中を進んでいった。

 しばらくするとデューイはルーンへと通信を繋げる。


『街を出てからAFが二機付いてきているようだが、引き剥がせそうか?』


『それなら既にやってまーす。五分ほど前から『トバリ』を起動させて電波妨害の真っ最中。向こうの機体からはアタシ達の姿はモニターとレーダーから消えているはずでぇす。それと光学迷彩も同時並行で使ってるのでこちらの姿は完全に見えなくなってまーす。ついでにデコイもばら撒いときますかぁ?』


 ルーンはマニキュアの出来映えを確認しながらひょう々《ひょう》とした感じで返答する。

 彼女が搭乗している黒いAFのウイングモジュールから特殊な粒子が散布され、それが妨害電波を発生させていた。

 その影響下ではAFを始めとする機械類は彼女の搭乗機をモニターやレーダーで確認することは不可能な状態になる。

 さらにその特殊粒子は機体を包むように展開されている(ディバイン)フィールドに付着することで光学迷彩の機能を発揮し肉眼でも見えなくなってしまう。


 それこそ彼女が搭乗するAF――TMHX―07<ツクヨミ>の持つ特殊電子戦兵装モジュール『トバリ』の機能であった。


『連中が既に我々を見失っているのならデコイは必要ないだろう。下手に使えばこちらの足取りを読まれ兼ねないからな』


『りょ~か~い。でもあれって十中八九、ゼノアの部下ですよねぇ。だったら捕まえて彼らの悪事を暴いた方が手っ取り早くないですかぁ? デューイの<スサノオ>の性能なら一瞬で勝てるでしょう?』


 ルーンがわざとらしく「デューイ」と呼ぶと当の本人は眼光を鋭くさせ彼女を睨む。

 それに気が付いたルーンはそれからもことあるごとに彼の名前を呼んでは面白がっていた。


『――ルーン、それ以上私を呼び捨てにするのは止めろ。ここには管理局の人間はいないのだからいつも通りでいい』


『えー!? せっかく慣れてきたとこだったんですけどねぇ。でもまあ、『中尉』がそう言うんなら従いますけどねぇ』


『ゼノアは用意周到な男だ。今までも何人ものサルベージャーが奴の餌食になっているが決定的な証拠はない。だが、今回は慎重な奴にしては珍しく派手に動いている。上手く揺さぶりを掛ければ現行犯で捕まえることが出来るかもしれない』


『そうすれば、ゼノアが裏で関わっている『ノア3』側の情報も手に入るって事ですよねぇ。ここ半年で『ノア11』領内で増加している『ノア3』の干渉と思われるAFの暴走被害。その解決の為に中尉とアタシがサルベージャーに扮して頑張ってるんですもんねぇ』


『その通りだ。だが、それも間もなく終わるだろう。――それに今回の件では思わぬ収穫もあったことだしな』


 デューイとルーンはゼノアから入手したAFデータをモニターで確認する。そこには純白の装甲に身を包むAFの動画が映し出されていた。

 それは『アハジ』でのサルベージャーや<ガルム>戦の一部始終が撮影された物だった。


『まさか海底から引き上げた輸送機の中にいたなんて……見つからないはずですよねぇ。この市街地での戦闘、白いのと赤い機体は周囲に被害が広まらないようにしつつ襲撃してきたサルベージャーを殺さないようにしてますね。中々良い腕してると思いますけど、中尉はどう思いますかぁ?』


『……戦場でこんな甘い戦い方をしていたら命がいくつあっても足りん。だが、最後の<ガルム>戦での動きは悪くない。カナタというターゲットは<タケミカヅチ>の持ち味を上手く引き出しているようだな』


 デューイが淡々と感想を述べつつも他人を褒めるのを見てルーンは珍しいと思い白い機体のパイロットに興味を抱く。


『このターゲットが操る<タケミカヅチ>とデューイ中尉の<スサノオ>。戦ったらどんな結果になりますかねぇ』


『それは実際に戦ってみなければ分からないな。何が起こるのが分からないのが実戦だ。――だが、こいつが使えるのか使えないのか……それはハッキリさせておく必要があるな』


 デューイは操縦桿を握り直し、自分の愛機――TMHX―08<スサノオ>を前方に広がる山岳地帯に向かわせる。

 追っ手がいないことを確認しルーンがトバリを停止させると二機は山岳地帯の中に入っていく。その先には開けた場所があり一機の輸送機がいた。

 <スサノオ>と<ツクヨミ>が近づくと輸送機から通信が入る。


『中尉、少尉、お疲れ様でした。レーダーの範囲内には他のAF反応はありません。今格納庫のハッチを開けますのでお待ちください』


「頼む。<スサノオ>と<ツクヨミ>搬入後、<ヤタガラス>は北方を目指して飛んでくれ。目標は北を目指して移動しているようだ。詳細は追って説明する」


『了解』


 通信が終わると輸送機<ヤタガラス>の後部ハッチが開きデューイとルーンは機体を中に進ませハンガーに固定した。

 <ヤタガラス>の機内では何人もの整備スタッフが待機しており帰還した二機のチェックを始める。

 二機を回収した<ヤタガラス>は離陸し高度を上げると北方を目指し飛翔するのであった。

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