六話
今回はちょっと短いです。
総合ptが100ptこえてました。
入れてくださった皆さんありがとうございます。
作者のやる気が上がると共に、え?なんで?ていうかこの先見捨てられたらどうしよう、という不安も膨れ上がっています。
頑張って飽きられないようにしたいと思います。
……まだあんまり話のプロット出来てないんですけどね。
迎えにきた侍女に連れられてヒビキと共に謁見の間に向かう。
「王様に会うなんて緊張しねぇか?」
「そうですね。日本でこういう経験をする機会なんてないですからね」
実は俺も王と呼ばれる存在であったりするのだけど。
「だよなぁ。俺は敬語が苦手だし、作法とかわからないから謁見が気が重い」
「あー、確かに。サラの父親ってことでフレンドリーな感じを期待するしかないですね……」
あの人は最初に出会ったときはともかく一国の姫とは思えないくらい親しげだ。
一応、臣下の前では王族らしく振る舞おうとしているのがわかるが、彼らの目は最早孫を見るような感じになってしまっている。
その親ということで同じような人柄だと期待したい。
「「はぁ」」
ヒビキのため息と俺のが重なる。
沈んだ空気に先導してくれている侍女さんが訝しげに此方を見てきたので、パタパタと手を振って、何でもないと誤魔化した。
「勇者一行が着きました」
「入れ」
低い重低音の声が響き、衛士が扉を開ける。
一行ってまだ二人しかいないのだけど、とどうでもいいことを考えた。
結構余裕を持っている自分に呆れてしまう。
〝王様、緊張してる?〟
精霊が訊ねて来た。
『思ったよりしてないですね』
〝する必要なんてないわ〟
〝相手は人の、一つの国の王〟
〝魔を統べる貴方のほうが〟
〝ずっとずっと凄いもの〟
彼女たちは謡うように言葉を紡いだ。
これは俺を励まして言っているわけではなく、本当に心から思っているようだ。
けれど俺には彼女たちの言うような凄い人という自覚は全くなかったので、苦笑するしかなかった。
部屋には厳粛な雰囲気が漂っていた。
王と王妃は数段高いところに正面を向いて座っており、脇にシンプルなドレスに着替えたサラが立っている。
そこまで威圧感は出ていなくてよかったと密かに息をつく。この世界に来たときの俺が発したやつのほうが格段に上だ。
隣のヒビキを見てみるとそんな威圧感を感じ、うっすらと汗ばんでいるようだった。
……もしかして俺の感覚がおかしいのだろうか?
壇上からは赤いカーペットが一直線にひいてあり、先導を無くした俺たちは横に並びながらその上を進んで行った。
ここでちょっとした疑問がある。
果たしてどれくらいのスピードで歩けばいいのだろう。
個人的に結構難しい問題だと思うのだけど。
「止まれ」
兵士の一人に命令されて足を止める。
そのまま突っ立っていると周りの人達の視線が凄いことになりそうだったので、とりあえず腰を75度ほどに折ってみる。
その際に横目でヒビキを見ると慌てて俺と同じように頭を下げた。
王がおもむろに口を開く。
「そなたたちが勇者で相違はないか」
今更そんな確認いらないだろうと思ったがもちろん口には出さない。
「はい。勇者のヒビキ=サクライです」
「その補佐のハヤト=カンザキです」
ところで自分から勇者と名乗るのは恥ずかしくないのだろうか。
今度機会があればヒビキに訊いて見ようと思う。
「して、勇者には頼みたいことがある。……魔王の討伐だ」
はい、ここにいますよ。
なんて。
しかし俺は何もしていないのだけれど、なぜ討伐されなければいけないのか。
「ここ数年、魔獣が増えていてな。たくさん人間に被害が出ておる。その上かつてないほど強力な魔王の誕生だ。この機会に魔族たちは勢いづいて攻めてくるだろう。それを防ぐためにも魔王を倒して欲しいのだ」
……全部、憶測のような気がするのは気のせいだろうか。
いや、完璧に濡れ衣だろう。
俺には全くその意志はないんですが?
「異世界から来た君に頼むのは心苦しいのだが、頼む。魔王を倒してくれ」
そう言って王は頭を下げた。
その行為にヒビキや周りにいる臣下に動揺が走る。
「顔を上げてください。俺は言われずともそのつもりです」
そんな安請け合いしていいのかと俺は思う。
だって俺、あの神に勇者に負けないように魔力たくさんもらったし。
しかもヒビキは油断してるから殺ろうと思ったらいつでも殺れそうだ。
まぁ、殺る気は今のところないけれど。
「そうか。ありがとう。私も出来るだけ力になるから何かあったら言ってくれ。あと、君たちはこの城で客人として扱われる」
王はそれだけを言うとサラを呼び、滞在中の世話をさせるとして紹介した。
今回ハヤトがどうでもいいことばっか考えて話が終わりました。
余裕なんてありまくりですよあの人。
多分謁見にあきかけてたようです。