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NO FEAR  作者:
2/16

二話

一話の後書きに書くのを忘れましたがご老人にあんな仕打ちをしては駄目です。

真似しないで下さい。



目を開くとそこは森の中だった。


辺りには木々しかなく、人の気配など微塵も感じられない。


お約束な展開だと思わなくもないが、今は人里までいけるかどうかが問題だ。

このままだと餓死してしまう。サバイバルスキルなど保持してない。



しかし何故こういうときに森の中に出るのだろうか。

まだ力の使い方もわからない奴がもし魔獣に会ったら一発でやられる可能性のほうが高いだろうに。


ふと周りを見渡すと鳥が仰向けになって落ちていた。





───先行きから不安になる要素がたっぷりだ。


近寄って確認すると死んでいるわけではなく、ただ気絶しているだけのようだった。


原因は何だろうかと考えあぐねていると心なしか大気が震えているように感じた。

しかもそれは自分を中心としているような……。



こんなことは今までなかった。というかあるほうが問題だろう。

今までと今の違いは?と記憶を辿ると該当しそうなものは、あの神とやらにもらった力ぐらいか。


「もしかして魔力……?」


俺は膨大な魔力を持っているらしい。

それを意識せずにたれ流しているのではないか。

そう考えた俺はその仮説を信じて魔力を抑えることにした。


が、


「……どうやってやれと?」


やり方などこっちは極めて普通の一般市民だった身だ。わかるはずなどあるわけがない。

しかしこのままでは埒があかない上にこんなに威圧を出していたら自分の存在に気付かれかねない。

こちらの世界の人が魔王というものにどういった感情を抱いているかは知らないが楽観視すべきではないだろうと思う。


せっかく貰った力でも生かせない状態なのだ。

それでいてこの状況。

もし敵意を持っている人が俺の存在に気付いてここまで来たら間違いなく俺は死ぬだろう。

こちらには魔法などという存在があるのだし。


考えていても状況はかわらないかと思考に一区切りをつけ、まずは魔力というのが体の中に本当にあるのかと探ることにした。




目を閉じる。

体のなかにあるものを探すのだ。こうしたほうが集中がしやすいし、感じやすいだろうから。


さて、どうなんだろう。半信半疑だが今までなかったものを探る。

そんな俺の杞憂とは裏腹にすぐにそれらしきものは見つけられた。


体の中心、丹田の辺りになにやら温かいものを感じたのだ。

すぐさま俺はそれを鍵をかけるイメージで抑えこんだ。




目をあけると先程と変わらないはずの光景。


しかしなんというか…今までモノクロだった世界に色がついたというのか。

それほどまでに感じ方が変わる光景だった。


凪いでいた風は再び吹き初め、虫たちの羽音も聞こえる。

鳥はまだ気絶したままだが魔力に当てられただけだ。

程なく気が付き、飛び立つだろう。

落ちたときに骨折していなければ、だが。






しばらく眺めていると誰かの声が響いた。


〝……まして……す……おう〟


声が小さくて聞き取り辛い。

けれど、遠くで喋っているわけではなく、近い場所からのような気がする。

しかしまさかといったところだ。

周りには誰の姿も見えないのだから。

っ、また……?


〝初めまして。魔を統べる王?〟

〝初めまして!よろしくね王〟

〝よろしく!〟

〝よろしくね〟


今度ははっきりと聞いた。

複数の女性たちの声だ。

いや、聞いたという表現は正しいのだろうか。

何故ならば彼女たちの声は空気を震わして伝えているわけではないのだから。

言うならば念波というのだろう。

頭に直接響くものだった。


少し声を出して彼女らに問う。


───君たちは一体…?


〝自己紹介を忘れていたわ〟

〝忘れていたわ〟

〝私たちは風の精霊〟

〝貴方は気に入ったわ〟

〝困ったときは言ってね力になるから〟


そう言って彼女たちはクスクスと笑っていた。



「ありがとう」


そう言うと彼女たちはもう一度クスリと笑って俺の周りを回っているようだった。


目には見えないのだがなんとなく分かる。






しかしそんな穏やかな時間は続かなかった。



遠くから誰かの悲鳴───声の高さからして女だろう───が聞こえてきたからだ。


「精霊たち!さっきの悲鳴の場所は分かりますか?」


〝わかるわ〟

〝案内すればいいの?〟


「頼みます!」


話しが早い。

精霊たちは俺の頼みを先回りして言ってくれた。


〝急いでいるのね〟

〝急いでいるの?〟

〝なら風の力で速めてあげる〟


精霊がそう告げると体がいきなり軽くなり、普段とは比べようもない程の速さがでた。


〝もうすぐね〟

〝もうすぐだわ〟


彼女たちの言うとおり騒がしくなってきた。



〝ほら、そこよ〟

〝頑張って〟

〝怪我しないでね〟

〝力を貸して欲しかったら言ってね〟


会ってすぐの彼女たちに心配されるとは。


彼女たちに礼を告げ、現場に向かう。






目に入った光景は。


少女が狼のようなものに崖を背にして剣を振り回して戦っていた。

防戦一方の彼女は徐々ににだが後退していっていた。



さて、狼のような───このような表現をしたのには理由がある。

それは額に三つ目の瞳を持っていたからだ。

あと、みている限り剣でもなかなか刃が入らないようだ。

当たっても全然と言ってもいいほどダメージがないらしくケロリとしている。


このままだと彼女は狼もどきに喰われるか崖から落ちてしまうだろう。

彼女の剣捌きはとてもじゃないが上手くはなく、ただ振り回しているだけでなんとか牽制しているが隙が多い。



間に割って入るか。

そう思ったら俺と反対側から誰かが飛び出してきた。


思わず俺の体はその場で膠着してしまう。


その男は手に木の棒を持って狼もどきに殴りかかった。



嘘だろ。

それを見たとき俺はそう思った。

今まで少女が剣でいくら叩いてもダメージがなかったのに……なんで伸びてしまっているんだ?

一体どんなバカ力なんだろうか。


俺が呆けている間に男は五匹いた狼もどきのうち三匹を片付けてしまっていた。



このまま全部の狼もどきを駆除してしまうのかと思えたが、狼もどきは何を思ったのか残りの二匹が同時に少女に襲いかかった。


突然のことに対して対処が出来なかった少女はバランスを崩し崖から落ちようとした。


男もとっさに体が動かず少女の伸ばした手を取れない。


俺は急いで彼女たちに指示を出す。


「精霊!彼女を…!!」


〝任せて〟


「───切り裂け!〝空断〟(クダン)」


少女のことは精霊に任せ、走る道すがら教えて貰った攻撃魔法のスペルを唱える。


その言葉と共に鎌鼬のようなものが狼もどきに斬りかかり、狼は血を飛ばしながら絶命した。


それを見てひとまず安堵し、大きく息を吐いた。


ちなみに私は今テスト1日前。

何をやっているのでしょうか。



何故精霊がなついたかは追々話に入れます。

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