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NO FEAR  作者:
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一話

こんにちは、またははじめまして(←こっちのが有力)(きょう)です。


未熟な作者ですがよろしくお願いします。


内容についてですが主人公は一話にキレていますが普段は冷静ないい人です。多分。えぇ、きっと。


私のもうひとつの話を知っている方にはまだあっちも続けますと言っておきます。

「すまんな。手違いで殺しちゃったわい」


────なんてふざけたことを告げられて。


俺はこの日を境に、色々なことに巻き込まれていくこととなった。







季節は四月。

入学式も終わり、桜が散りかけていた頃。


俺は高校生として平凡な学校生活を送っていた。


朝、通学のために家を出る。


マンションを出て5分の場所に、桜並木が続いている。

今日は幼稚園が休みなのか、いつも同じ時間にこの場所を通る四才ぐらいの女の子が私服で母親と共に遊んでいた。


その子はどうやら桜の花びらに興味を持ったらしく、花びらを捕まえようと追いかける。

俺はそんな光景を微笑ましく眺め、通りすぎようとした。

だが、その女の子は花びらを追いかけるのに夢中で道路に飛び出してしまう。

そのとき前から迫り来るトラックが見えた。

危ない。そう思った瞬間、俺の体は動き出していた。

間に合え!そう願いながら女の子へと走る。


トラックと女の子が接触する直前、間一髪で突飛ばす。少し乱暴になってしまったが仕方がない。



トラックが目の前に迫ってくる。


俺は轢かれた衝撃と痛みを感じ、意識を無くした。







そして目が覚めた。

そこは全てが白の果てなども見えない、永遠の空間で。

俺が状況が分からず混乱していると、後ろからお爺さんが近づいて来て、こう言った。


「君には異世界に行って貰うよ。なに、安心しなさい。力をあげるから死ぬことはないわい。さっき勇者を送ってしまったからあいてるポジションは魔王しかないがの」


そう言ってお爺さんはフォッフォッと笑った。


「そうじゃ、自己紹介が遅れたのう。ワシは神と呼ばれる存在じゃ」


告げられたたくさんのことに頭の処理が追いつかない。

神?異世界?────あり得ないだろう。

小説とかでよくある異世界での転生か? なんて、現実的な考えではない。


本当に意味がわからない。彼の言葉も俺が置かれた状況も。



全くと言っていいほど役にたたなくなった脳を動かして、ひとつ絞りだした質問は。


「……俺は死んだのではなかったですか?」


「おや、説明が足りなかったかの。そうじゃ。君は死んだ。すまんな。手違いで殺しちゃったわい」


何の悪びれもなく、テヘッという効果音すら聞こえてきそうな表情で告げられた。


「神、様?貴方は手違いで俺を殺したのですか?」


俺は顔を伏せて問う。

今聞いた言葉が聞き間違いだと信じたい一心で。


「うむ」


簡潔な肯定。


俺の中で何がかブチ切れた。

その後の俺の行動は速かったと思う。すぐさま目の前にいる奴に足払いをかけて転ばし、腹を蹴ってうつ伏せにさせたあと、頭に足を乗せて踏みにじった。

その際、足元にある物体が、〝ぶふぉっ〟やら〝ちょっ、謝るから、謝るから止めて〟など聞こえるが、案ずることはない。下にいるのはただのゴミだ。


「人の一生を何だと思っているんですか?このジジイ」


問いながらもぐりぐりと踏みにじる。


「す、すまんかった。だからその足を退けてくれんかのう。ろ、老体にはキツイんじゃ」


「黙ってください。俺のトラックに跳ねられたときの痛みに比べたら随分とましですよ。え?その痛みを体験してみたいって?分かりました全力で痛みを再現してみましょう」


そう言ったあと頭から足を退け、フルスイングでみぞおちを蹴る。

そしてゴミ(爺)がとんで行ったほうへ助走をつけながら走り、飛び蹴りをくり出そうとするが、


「死ぬから!ワシ死んじゃうから!!」


とほざくからやむなく断念した。

あいつにはまだ話して貰うことがあるから仕方がない。


「……チッ」


「舌打ち!?というかワシ体験したいなんて言ってないのに……」


可哀想なくらいぼろぼろになって意気消沈しているが俺には関係ない。自業自得だ。


「で?手違いとはなんなんですか?」


「う、うむ。本当ならトラックが突っ込むが君は間一髪で助かるはずじゃったんじゃが、ワシが覗いておるときにくしゃみをしてしまっての。突風が起こり、トラックのスピードが上がってしまったんじゃ」


オーケー。要するにこの爺さんが悪いんだな。俺はそう結論付けた。

部位を気にせず、いまだ床に座っている爺さんを蹴り続ける。


「ごめん!マジで止めて!!そして何か言って!無言は怖いから!!」


俺ははぁ、と溜め息をつくと爺さんの上から足を退けた。


「……君は老人を大切にしろとか敬えと習わなかったのかのう?」


「何を言っているんです。存分に敬っているでしょう。その証拠に貴方はまだ存命でしょう?」


なにやら爺さんの顔が青ざめたが、まあどうでもいいことかと切り捨てる。


「いいから説明して下さい。話が全く進みません。それで?俺は異世界に送られるのですか?」


「……いや、話が進まないのは君の暴力のせいじゃと………すいませんでした」


睨んだら黙った。

始めからそうしてればいいものを。


「ごほん。えーっと、君には異世界に行って貰う。魔王としてじゃ」


「先程も言っていましたが俺は魔王なんですよね?では勇者に殺されるのですか?」


わざわざ殺されに異世界に行くなんて冗談じゃない。


「その、頷いたら俺が殺される前にお前を殺してやると言わんばかりの笑顔は止めてくれんかのう。大丈夫じゃ。勇者が敵わないくらい強くするから………本当は勇者に倒されるようにしようと思ってたんじゃがワシの命には変えられんからな」


爺さんはボソッと呟いているがおもいっきり聞こえている。

まったく、勇者より自分の命をとるとは見下げた根性のようだ。


「嫌ですね。被害妄想も甚だしいですよ。俺がそんなことを思っているわけがないでしょう。ちなみに先の言葉、違えないようにして下さいよ。もし違えたら……ね?」


言葉と共に笑顔を向けると爺さんは凄い勢いで頷いた。


「それにしても魔王ですか。うまく魔王なんてやれますかね。勇者なんかはポピュラーだからどうすればいいかある程度予想がつきますが魔王はなかなかないですからね……」


「いや、君は今でも十分魔王らしいよ」


「……なにか言いましたか?」


「いえ。なにも」


爺さんは顔を反らした。


「まぁいいです。それより魔王とやらの役割を教えて下さい」


「おお、そうじゃった。魔王は魔に属する者の中で一番強い者に与えられる称号じゃ。別に魔族を率いて人を襲わなくてもよいぞ」


「それはよかったです。面倒ですからね」


「あれ?そういう問題?」


「ということは、俺は支配とかをしているわけではないのですか?」


「ワシの言葉は無視?……ごほん。そうじゃな。支配はしておるよ。一応な。じゃが魔族の中の知性があるものしか従えられてないじゃろうな。けれど魔獣は基本強い者に従うからの。命令くらいは聞くじゃろう。君のことじゃから歯向かえば殺すくらいはやるじゃろうがのう」


「そうですね。あと、力をくれるみたいですがそれはどういうものですか?」


「とりあえず魔力量を底なしにしておくかのう」


「因みに勇者はどれくらいの魔力をもっているんですか?」


「普通の魔術師の10倍」


これでも他の追随を許さない魔力量なんじゃがなぁ、と爺さん。


いやぁ、爺さんが心優しい人でよかった。


「俺はどの系統の魔法を使えるんですか?」


「それはわしが決めれることじゃないんじゃ。精霊が気に入るかどうかなんでな」


つまり、どの精霊にも気に入られなかったらどの魔法も使えない?

それは最悪だな。

せっかくの魔力量も宝の持ち腐れだ。


「さて、そろそろいいかの?」


「あ、はい」


爺さんが腕を振ると鏡のようなものが出てきた。


「ここを通ってくれ。そしたら異世界につくはずじゃから」


「分かりました」

俺はそれに手を突っ込んだ。冷たい。水の中に入っているようだった。

体を全部くぐらせたとき、後ろから爺さんの声が聞こえた。


「言い忘れてたが、力を与えたことで魂が変質して容姿も少し変わったからの〜」


そういうことは早く言って欲しい。

もし変にしていたら次会ったときは半殺しだなと心に決めた。




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