8.探索を続けることにした
初めて山に入ったけどなかなか気持ちがいい場所だった。
木々の間から太陽の光が差込み、涼しい風が体を扇ぐ。
大人達は皆入ってはいけないと言っていたがこんなに気持ちのいい場所なのになんでだろうと不思議に思った。
暫く進むと角の生えたウサギを見つけた。
「シグレ!あれは魔物だ!あのウサギの体を包み込める大きさのウォーターボールを出せる?」
「・・・・!」
ウサギより一回り大きいウォーターボールを作り出し、ぶつけて水の中へ取り込む。
事前に考えていた作戦だ。
少し酷いかもしれないが溺死させ持ち帰るという寸法だ。
ウサギは手足をバタバタと暴れさせたと思ったが暫くして動かなくなった。
動かなくなったあともウォーターボールを暫く展開し、シグレに一つお願いをした。
「練習していた“アレ”お願い」
「・・・・!!」
シグレはウォーターボールを作り出すと長方形のような形へ変形させさらに鋭利にし凍らせ氷のナイフを作った。
ナイフでウォーターボールの中の魔物の首を切る。
これもお肉を美味しく食べるコツだとフリルのお父さんから聞いた事があった。
魚はよく捌いていたけれど初めて動物を刺す瞬間はあまり気分がいいとはいえなかった。
何はともあれ初めての狩りは成功に終わった。
暫くウォーターボールへつけて置き血抜きをしたが、魔物の体が真っ赤な血まみれになってしまった。
そして僕は初めての狩りが成功したことで一つ見逃していたことに気が付く事になる。
「真っ白なウサギが真っ赤になっちゃったね、次からはなにか別の方法を考えなくちゃね。」
「ルー、皮剥がない?」
「シグレ・・・?」
「内臓とった方、おいしい!」
「シグレ、話せるようになったの?」
「昔の力少しずつ戻ってる!」
「昔の力ってどういうこと?生まれてきたばかりじゃないの?」
「私たちは前のこと覚えてる!」
魔物を倒したからだろうか、シグレが話せるようになったみたいだ。
前と同じで頭の中に直接声が響くような感覚で直接しゃべっているわけではないみたい。
前と同じ、、、?僕はいつ頭に直接語りかけられたんだっけ、、、?
まあいいや!その後はシグレに言われるがまま角の生えたウサギの処理をした。
普通の動物と違って魔物には魔石があるみたい。
魔物はこの魔石を取り込むことで長生きし、沢山の魔石を取り込んだ魔物には注意しなくちゃいけないとシグレが教えてくれた。
とりあえずまだ日が高いし探索を続けることにした。