6.お母さんも嬉しそう
僕が思っていた以上に雨が降った事が村の人達を助けていたみたいだ。
神様の恵みだと手を合わせる人、何か供えなくちゃいけないという人、朝からお酒を飲んでいる人。(あの人はいつもの事だったかも)
この時は初めて大勢の力になったことが嬉しくて誰かを助けられる人になりたいと考えるようになるきっかけの日になった。
数ヶ月シグレの力を使い雨をふらせたり能力の練習を続けた。
いつも練習をする時は川へ行ったり1人の時だけしていたが、次第に外へ出て練習というのも面倒になってきた。
部屋で一人でいる時やお風呂の時、お父さん達の手伝いに行く時にこっそりとやるようになった。
次第に脱力感も少なくなってきた気がする。
僕自身も少しずつ成長していっているのかもしれない。
お仕事の手伝いが面倒になった時は雨をふらせて家で練習したりしている。
そんな生活を続けているとある夜村長が家を訪ねてきた。
「夜遅くにすまんな、ルインはいるか?」
「村長、急にどうしたって言うんですか。ルインが何かしたんですね?」
「あぁ、何かしたとは言っても私も半信半疑なのだ。ルインから話を聞いてから判断させて欲しい。」
「わかりました、今呼んでまいります。」
その頃、自室にて他の卵について考えていた。
シグレが孵ったのには何か理由があったのか、
孵ためのトリガーのようなものがあるんじゃないかとか。
だとすると・・・?
考えても何も浮かんでこないな、などと考えていると扉を叩かれた。
「ルインすまないが、村長がお呼びなんだ起きてきてくれるか?」
急な出来事でなにか叱られる事でもしただろうか。
「わかったよ、すぐ着替えておりていくね。」
念の為、シグレには待っているように頭の中で指示をした。
下に向かうと村長、お父さん、お母さんが待っていた。
「夜遅くにすまなかったね、ルイン。今日は少し聞きたいことがあってね。今日の昼過ぎの事だ、雲ひとつ無い空だったと思うがどこからともなく厚みのある雲が現れ雨が降ってきたでは無いか。そんな時にルイン、お主を見かけたんだ。
お主の周りを光のようなものが飛びそれが空へ向かったかと思うやいなや雨が降り出したでは無いか。もしやお主雨を降らせることができるんではないかな?」
その言葉にドキリと心臓が脈打ったのを感じる。
また、顔には思いっきり出てしまっていただろう。
「やはりか、今は精霊が居ないようだが普段はどこにいるのだ。」
「そ、村長には精霊とやらがみえるのですか?ルインが以前そのような話をした時にその力については他言するなと言い聞かせておいたのです。」
僕は頭の中でシグレを呼んだ。
すると2階の床をすり抜け僕の近くに飛んでくる。
「村長はシグレが見えるんですか?」
「おぉ、これは素晴らしい!ルインよ、お主の神託は精霊の使役か召喚かいずれにせよ精霊様がこれ程近くにいらっしゃって下さるとは・・・
私が冒険者として外の世界を旅していた頃に1度だけ見たことがあるのだ。その時からそうだが、光の玉の様なものが、空を自由に飛びまわっているように見えるのだ。」
「シグレは四足歩行の獣のような姿になろうとしていますが村長には丸い玉にみえるのですか?」
「あぁ、そうだ。本来のお姿はその様になっておられるのだな。自在に天候を変えることは可能か?」
「シグレにお願いすれば今のところ好きに降らせることが出来ています。」
「ルインそれは本当なのか?最近よく雨が降っていたがルインがふらせてくれていたのか・・・」
「お父さん、そうなんだ。隠していてごめんね。でも昔卵の話をしたら誰も信じてくれなくて、その話はしちゃいけないって言われていたから・・・」
「ルインよ、お主がしている事は偉大な事じゃ、最近ではこの雨のおかげで村全体がどれほど救われたことか。お主の力を評価しこれからも雨をふらせてくれるのであれば村の者へ事実を伝え食べ物や何かしらお主の家へ贈るよう伝えよう。どうだ?」
「僕はみんなが喜んでくれることが嬉しいからこれからも雨をふらせます!」
それから暫くして、僕の家には村の皆から贈り物を私に来てくれる様になった。
今までの生活よりも豪華になり、お母さんも嬉しそうだ。