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現状
ふと目が覚めて窓の外を眺めた。
空はまだ薄暗く、目の前のマンションの明かりもそう灯されていない。
煙草に火をつけ、ほうっと煙を吐いて空を仰いだ。まだ薄暗い中、遠くの空から少しだけ光が差し込もうとしている。
誰も見ていないのはわかっているが、敢えて俺は、目を薄め、カーテンそっとよけつつ、窓の外へと視線を移した。
何もないと揶揄されるが、何か意味を成してここに住んでいる人。人。人。そんな熱くも寒くもなる感情もその場合や出来事。わかってるつもりさ。
俺はジェームス。
流れ流れて何となくここにいるしがない美容師さ。
質問があればいつでも言ってくれるといい。何となく答えるよ。敢えてだけど、何となくね。
そう、敵を作りたくないだけだから、そこらへんは、、、頼むよ。