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捨てたくても捨てられないモノ

 偽りの神々シリーズ

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

シリーズの6作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


        ※


 慣れてしまえば、日常って異世界も前居た僕らの世界も、あんまり変わらない。

 和木がいうように、退屈。

 つまり淡々とした日々が過ぎていく。


 前だったらゲームの新作の発売日とか、オンデマンド上のアニメの新規更新とか、もうちょっと楽しみがあったけど、この世界じゃそれは望めない。


 前の世界で、オンラインで会話したなんちゃって友達の人達が言ってたかな。


『続編あるアニメ、第何期始まる時は生きてるけど、終わる時、死んでる気する』

『わかるーー。次の期来るまで長くて、それまで死ぬし。復活させてもらう時まで長ぁぁーー』

 若い世代の同士はこれでコミュニケーションが済んでいた。


『いやぁ、ホントに寿命尽きて死んでたら、来期見れないしねぇ。原作者死んでるとかもあるから、古ファンとしたら、もっと深刻』


 マンネリが病になっていた生きてきた時代から、何一つ変わらない。


 衣食住、そして仕事でお金を得ることを覚えた僕たちは、最近ぼーっとしていた!!

 仕事以外は、部屋でごろごろ。

 寝るか食べるか、カードゲームするか。

 僕は元々そんな生活をしていたから、異世界版引きこもりって、まぁまぁ受け入れたれたけど、和木や樫木はそうではないらしく、文化的生活を懐かしんでいる。


「ねぇ、日本みたいに文化発達する前の人ってどうやって暇を潰したんや?」

 樫木に聞かれて、僕は歴史上の暇つぶしを考えてみる。

 そして、それに思い至って、これ樫木には絶対言ったらダメなやつだ、って真っ赤になった。


 それなのに和木君がそんなこともわかんないのかという顔をして言った。

 ーー言ってしまった。

「SEX」


 俺ら本来だったら、まだ高校2年生になったばかりの年齢なんだぞ。

 樫木にそんなこと言ったら、リオナ、ヤバいやん。


「そ、そ、そ、そんなことばっかり違うよ。ーー文化が発展していないってことはつまり、まだ便利な世の中ができる前ってことだから、つまりほら、お風呂一つ沸かすのだって大変だし……」

 久しぶりにチックが出る。


「ここ、ここココ温泉だしね」

「い、いや例えばの話で、便利グッツがない分は人力が必要だったから、そんな暇ってことなかったと思うし」


 僕が必死にフォローするのに、和木は止まるとことを知らず、逆に小馬鹿にしてくる。

「平安時代、和歌だの季節遊びだの、行事ごとって盛んだったけど、色恋沙汰も盛んだっただろ? だいたい現代に残ってる歌、恋愛モノだし。そりゃ色恋沙汰で暇を凌いでたんじゃね?」


 お前、黒田一途だろーー!

 和木、お前が言うなーー!

 僕の心の静止は届かない。


「だいたい昔だったらさ、17歳って言ったら、もう嫁もらっててもおかしくない年齢だし、女だったら俺ら全員生き遅れってやつよ」

 和木の一言で、僕たちは自分たちが居た世界との違いを思い知る。


 うわ。

 僕は、前の世界でも、この世界でもまだ恋愛経験すら皆無だよ。


 樫木は茜、和木は黒田って、相手がいるのに。

 僕は冷や汗を拭いながら、自分に救いの言葉を言う。

「全員童貞ってのは焦るよね」


 僕の発言に、二人は無表情で僕に注目した。

 あれ??

 ちょっと、何??


「ーー全員、どう……」

 僕は繰り返そうとして、二人から肩を抱かれた。

 何この雰囲気??


 まさか、まさか。

 童貞は僕だけ?


 同情された抱擁はやがて離れて、二人から肩をバンバン叩かれる形で着地する。


「ごめん、わい最近リオナとな……」

 ぬぉーー。

 なんだって!?


「それに和木は、伯爵と何回か、ーーいやおまえこっち来る前から日常的にやってるよな?」

 嘘だろ、こら。


「わ、わ、和木君は一途だよね?」

 黒田と、とは言わない。

 でも黒田は男。

 だから和木は、伯爵とはしてないはずだ。


 眉間に皺を寄せて和木をみると、和木は可哀想なものを見るような目で僕を見る。


 おいこら!?

 僕は捨て犬じゃない。


「SEXって、好きじゃなくてもしてよくね?」

 お子様に言ってもわからんわな。

 そんな視線を向けてくる。


 おや?

 おや、おや!?

 感情がチック的にバグるよ。

 

 確かに現代社会でもそんな風潮はあったよ。

 でもまだ俺ら、高校2年生なのに。

「そんなこと言うの、まだ早いよ」


「遅いよ!」

 樫木に突っ込まれて、僕は頭の中が真っ白になった。


 確かにこの世はエロに溢れている。

 でもーー?


「和木はいくつで捨てたんや?」

「小学校5年」

「わいは最近や。やっぱ遅い」

 急に頭上に戦闘機が現れ、爆撃を喰らわしてくるような衝撃があった。


「わ、わ、和木君はいったい誰と?」

「担任の女」


 どんだけだよっ!

 親父の書くエロ小説かよ。


 途端に僕は、和木や樫木との間にドーバー海峡並みの溝ができていることを知る。

「お前も早く捨てとけよ」

 トドメの一言だった。


 ほっとけ!


 捨てようと思っても、捨てられないのが童貞だよっ!


「オタク家を建てるまで」:2020年12月22日

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