退屈はトランプで解決する?
気ままに投稿しています。
お付き合いよろしくお願いします。
※
僕は知っている。
わかってしまった。
和木君の夢はお花畑を作ること。
なんとも少女らしい一面があるが、和木は身長190センチに届く長身で、彼が庭の手入れをしようとしている姿は、さながらラピュタに出てくる、飛行する巨人ロボットだ。
僕は和木くんのために、荒れた土地に必要な肥やし(まあ大体は脱糞だけど)を提供し、僕たちの土地を耕すことに協力した。
このところ和木巨人ロボットはとても穏やかな顔をしている。
(僕の想像はラピュタに出てきてたやつだ。)
肩に鳥でも止まりそうなぐらいだ。
ただし。
「あー退屈だ」
退屈だ、退屈だ。
天空の城で、巨人ロボがこんなこと呟きながら庭手入れしてたら、やっぱ嫌だよな。
イメージ違うんんだけど。
僕は穏やかな和木の顔と、その口が発する言葉に違和感を覚える。
「あのー和木君、おまえさ、あっちの世界で何して過ごしてたの?」
「料理、庭の手入れ、生花、バスケ」
あ、生花とかできないし、バスケもできない。
その部分が暇なんだ。
「バスケする前は何してたの?」
「黒田に会う前まで、か。ゲーム」
おおおっ!
初めて見つけた共通点だった。
「ゲームって、何してたの?」
「……」
言いたくないのかな?
でもゲーム好きとか、普通だと思うんだけど。
「麻雀」
おい、そっちか!?
「他には?」
「花札と将棋」
やっぱ、そっちか。
「一人で遊ぶか、組のもんと遊ぶかだったから、そんなことしか知らない」
んーー。
DSとかPSPとかPS4とかじゃないんだ。
僕とは違う。
でも。
そういう遊びならこの世界でもできるかもしれない。
例えばトランプ。
紙さえあれば遊べるゲームだ。
花札と将棋は僕は知らないけど、どっちも作れそうなもんだよな。
手始めにトランプはどうだ!?
「なあ、トランプ作るか?」
横で聞いていた樫木が、「おおおっ!」とテンションを上げている。
「スピードやろうや」
ああ、そういうの好きなんだ。
樫木らしいと思った。
「森君はどんなのしたいの?」
僕はうーんって考えて。
「ババ抜き」
「ふつー」
樫木が笑う。
「じゃあ和木は?」
どうせ大富豪とか言うんだろうな。
僕は思った。それなのに和木はふっと笑った。
「神経衰弱」
おまえ……。
僕と樫木は顔を見合わせた。
やっぱ見た目より、かなり地味だな。
趣味も黒田絡むバスケ以外は、ほとんど友人関係が見えてこないし。
社交性ゼロ。
僕と一緒だった。
「今度やろうか。神経衰弱」
僕はトランプを作ることにした。
2020年12月21日
偽りの神々シリーズ
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
シリーズの6作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」