君は猛獣使い
気ままに投稿しています。
お付き合いよろしくお願いします。
偽りの神々シリーズ
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
シリーズの6作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
※
調理班として夕飯の支度を終え、僕たちは住処に帰った。
僕と和木は同室だ。
従業員なので、部屋の広さは前の世界の6畳ひと間ってところかな。
貴族の生活を考えれば、ちょー狭いが、部活の合宿が続いているのだと思えば、これでも不自由ない。
僕は和木の才能をかっている。
料理の才能、商人の才能。
それ以上にこの世界での適応力だ。
「ハチ。お手、お座り、伏せ、バキューン」
和木は、多分前の世界でいうオオカミに、バキューンまで仕込んでいる。
リーインリーズが言っていた。
こいつら、慣らすなんて大したものだと。
「バキューン!」
僕が指先を拳銃に見立てても、ハチは尻尾を振るだけで反応しない。
それなのに和木が少し視線を上げて、バキューンポーズを取ると、ハチだけじゃない、ハチの嫁と6匹の子供が一斉に同じポージングをする。
「すっ、すごい……」
サーカスみたいだ。
僕にとったら、オオカミ一家全員バキューンの方が、呪術みたいだ。
「どうやって……?」
「いや……、ただ退屈だったから」
調教しちゃったんだ……。
相変わらず和木のスペックは高い。
「この国ってテレビもないし、書物もつまらないし、何より許せないのが、花の種類が少ないんだよ」
だいたいが木に咲く花が大半で、切り花に向かないんだそうだ。
和木は不機嫌そうに言っていた。
そうだね。土壌が赤土で乾燥しているからなぁ。
よっぽど生命力逞しい花でないと咲かないよなぁ。
「じゃあさ、僕たちの土地に建てた小屋近くに、人工的に栽培できるように工夫してみたら?」
和木はピクリと反応した。
「おまえ……」
和木君の目つきが変わって、僕は萎縮した。
「オタク家を建てるまで」:2020年12月17日