まばゆすぎて
こんばんは。
管理職、最近まともに昼休憩も取れないよ。
15分あれば書けるものを、くっそ!今日は5分ですむ話を1時間近いミーティングに時間を浪費してしまった。
人って寿命そんなに長くないので、労働時間の中の休憩時間でやりたいことあるのにさ。
思わず。
言ってはいけない言葉が出てしまった。
「時間の無駄、堂々巡り」
こころの中で、チッと舌打ちした。
※
何っ!?
正直僕は、自分の横を通り過ぎた存在について、認識することができなかった。
微風が吹いた。
それくらいの感覚だったのに、僕は今ジウスの後ろ姿を眺めていた。
そして僕が作った鏡に映ったジウスの全貌は、ごめんカーネルおじさん、完全敗北だね。
てかオジサンとか老人って考えていた僕の完全敗北。
つまり間違いだった!
鏡は単に真実を映す。
なんだこのおとぎ話にでも出てきそうな完璧な美青年はーー!
アンドロイドかと思うほどに透明感のある肌、そしてあらゆる造形士が美について会議を重ねた上に、つくりたもうたのかと思うほど整った八頭身、手指、顔の細かなパーツ、髪のひとふさにさえ目を奪われる。
うっわーー!!
ファイナルファンタジーのキャラを高画質3Dで見るような感じだ。
セフィロスのちょっと大人になりかける前の華奢な姿を想像して見てほしい。
彼より華奢なんだけど、整い方がすごいし、存在感というかオーラがすごい。
美に対して、寸分の狂いもないんだけど……。
この人、ほんと生物なの!?
僕は心の中で絶叫していた。
「この献上品、水鏡より鮮明に映るのだな?」
1000年も生きた仙人みたいな老人を想像したのに。
あ。
セフィロスさんでしたかと項垂れる僕に、ジウスは問うてきた。
肉体もとんでもなく均整が取れていて、振り返る等身に僕は目眩すら覚えてしまう。
ジウスは鏡を覗き込んで、少し夢中になって手を伸ばしていた。
その指の美しさって、やっぱリアルにはないよなって存在感だ。
和木!!
おまえが霞んで見えるとか、僕には考えられなかった。でも彼の前では和木ですら凡人。
老人だと自覚してくれと用意した鏡だったのに、逆に美しさを自覚させたか!?
僕は完全に気持ちを折られて再びひざまづいていた。
「そなたが献上してくれたのか?」
存在する価値観の差にひれ伏して、僕はうなだれるようにうなづいた。
「伯爵、其方から面白い話を聞かされたが、彼らがそうか?」
「無礼を謝罪いたします。彼らがその者達です。おっしゃる通りでございます」
ジウスは永遠にからまることなんて知らない長い髪を揺らせ、こちらを振り返った。
「悪くはない献上品だ。ラーディア一族に持ち帰ろう」
そう言った。
僕はこの時目を白黒させていた。
死にそうになった時だってね、ドット絵みたいに目に見えるものがチカチカして騒がしかったんだけど、生死すら鷲掴み(わしづかみ)にしてくる存在を、実際この目で見てしまったのだ。
この存在を単に優しそうだとか、笑わなかっただとか、簡潔に言葉にできたセドリーズはすごいと思った。
『神々しい』
セドリーズが一番に発した言葉が一番似つかわしくて、僕は残りの鏡を制作する気力を完全に失った。
1000年生きて、どうしてそんな感じ?
鏡に映る僕の方が、ジウスよりも老けている。
僕は完全にこじらせるぐらいには歳をとった。
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偽りの神々シリーズ紹介
1「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
2「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
3「封じられた魂」前・4「契約の代償」後
5「炎上舞台」
5と同時進行「ラーディオヌの秘宝」
6「魔女裁判後の日常」
7「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
8「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
9「脱冥府しても、また冥府」
10「歌声がつむぐ選択肢」
シリーズの10作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー