作戦決行
こんにちは。
お付き合いくださっている方、ありがとうございます。
※
「リトウ君お久ーー!」
リーインリーズ伯爵家内で樫木くんに声をかけられ、僕は驚いた。
「どうしたの?」
「お迎えに上がったんだよ」
見ればイドゥス大陸の神官の服を着た者達が列になっている。
そっか、そろそろ神殿で花嫁候補と謁見するんだけっけ。
「てことは、樫木くん大王神に出会う!!?」
「たぶんなぁ。やっとお姿拝見できるみたいや」
いいなぁ。
そんな会話をするために列を脱線している樫木の首根っこを、上司らしい人がつまみあげて回収していった。
僕は難なく完成した1枚目の鏡を、伯爵家に持ち込んでいた。
これってチャンスじゃないかと手を打った。
窓枠のガラスを利用したから、等身大は余裕で移る。
割れると危ないから木枠で固定して、ひとまず厨房に置いてたんだ。
持ってこよ。
僕は置き場も決めていなかったけど厨房に走っていった。
とりあえず、正式な玄関は通るだろうから、玄関付近に持って行けばいいかもしれない。
厨房に行くと、和木が仕込みをやっていた。
「ちょうどよかった。運ぶの手伝って」
「何を?」
「鏡を運ぶんだ」
和木は仕込みを続けながら、冷たい視線を向けてくる。
「いったい何を企んでる? 鏡なんてもんを作ったと思ったら……」
いやそうだ。
「ジウス大王神を映すんだよ」
和木は少しだけ眉の端を上げた。
「おまえ処刑されたいの?」
「なんでだよ。お姿を拝見してもらうだけだって」
「大王神なんて、文化的かどうかもわからん未知の存在なんかに鏡見せて、驚いて処刑されても俺は知らん」
たいそうだなぁと僕は思った。
いいよ。
仕込みの手を離したくないってのが本音かもしれない。
諦めた僕は両手いっぱいで鏡を担ぎ上げ、玄関へ急ぐ。
鏡はきっと珍しいだろう。
だからきっと大王神は鏡の前に立って、自分の姿を覗き込むはずだと確信した。
セドリーズだけじゃない。
花嫁候補者を選ぶ前に、自分が年寄りだってことを知ってもらおうじゃないか。
僕は正義感から鼻息を荒くした。
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偽りの神々シリーズ紹介
1「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
2「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
3「封じられた魂」前・4「契約の代償」後
5「炎上舞台」
5と同時進行「ラーディオヌの秘宝」
6「魔女裁判後の日常」
7「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
8「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
9「脱冥府しても、また冥府」
10「歌声がつむぐ選択肢」
シリーズの10作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」