鏡よ、かがみ
おはようございます。
本日もニュースのように書いています。
※
セドリーズと僕は次の日の夜も中庭で会う約束をした。
過食したくな苦なるように、僕は明るいうちにお弁当を作っていた。
あんな可愛らしい女の子が、食べ物食い散らかすなんて、かわいそうだ。
「何それ?」
和木に聞かれたので、僕は昨夜のことを言おうかどうか迷った。
でも言わないことにした。
「今から工房に帰って、鏡づくりをするんだ」
嘘は言っていない。
誰の食べ物かを言わなくっても、和木は僕の弁当だと勘違いするはず。
「ふうん。ーーお前にしては、腹のこと気にしながら研究するなんて珍しいな」
あ、やばっ。
そういえば僕今までそんな人間じゃなかった。
今まで、研究に没頭して、それで何度かぶっ倒れて死にかけて、
和木が配給してくるようになったんだった。
僕がなんとか取り繕うように、忙しなく手を動かしていると。
「お前も成長したのな」
和木はあっさり納得してくれた。
「う……うん。和木くんにばかり迷惑かけてたらダメだしねえ」
ごめん、和木くん。
黙っていることに少し心が痛む。
でもジウスが花嫁を決めてしまうまでに、僕は鏡を作らないといけないんだ!
それでジウスに鏡を見せて、老人だって自覚してもらって、セドリーズを諦めさせないと。
彼女の過食は止まらない。
恋すると視界が違うっていうけれど、世界が変わって見えている。
「おまえ、眼鏡どうしたの?」
「え?」
そういえば視界がーー。
「あっ!」
セドリーズのことで頭がいっぱいで、僕は昨夜、水浴びをした後メガネを踏み潰したことを思い出した。
「ーー壊れた……」
そうだ、壊れたんだ。
あまりにも体の一部になってたんで、なくなったことすら、ちょっと爪切ったかなぁくらいの感覚だ。
「見えてんの?」
ぼやけてる。
あれ?
でも以前より、視力が回復している自分に気がついた。
「ちょっと見えにくいけど、日常生活はできるレベルかも」
「そっかよかったな」
うん。
素直にうなづいたのに、和木はニヤッと笑った。
「鏡なんて作ろうっていうもんだから、心配してたんだけど。それでちょっとは自分の顔、男前に見えるだろ」
おいっ!
そっちか。
鏡見て驚くのは、僕(の不細工さ)じゃないよ!
ジウスだってば。
顔がいいと自覚のあるやつは、これだから嫌いだった。
感想、足跡、コメント、評価、ブクマが次の活力に。
何卒反応よろしくお願いします!
偽りの神々シリーズ紹介
1「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
2「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
3「封じられた魂」前・4「契約の代償」後
5「炎上舞台」
5と同時進行「ラーディオヌの秘宝」
6「魔女裁判後の日常」
7「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
8「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
9「脱冥府しても、また冥府」
10「歌声がつむぐ選択肢」
シリーズの10作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー