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ショバ代は儲からないらしい。

気ままに投稿しています。

お付き合いも気楽にお願いします。

        ※


 このところ前世で使っていた便利グッツのオーダーが増えた。

 すでに噂が噂を読んで、仲間うちだけからではなくなっていた。

 僕はリーインリーズに錬金術師?としての腕を認められて、彼女を通して色々なオーダーを受ける。


 たとえばこの異世界では、クーラーってもんがない。

 イドゥス大陸のキコアイン一族の風土って、割と赤道直下にあるらしく、暑いんだよね。


 夏の夜は最悪だ。

 でも窓開けたら容赦なく虫が入るし、黄砂も入ってくる。

 僕は母に似て色白で、汗をかくとアセモができるんだ。


 虫も苦手だ。

 朝起きた時にベットが砂まみれになっているのも耐えられない。


 でも窓閉めて寝たら、夜蒸し暑くて地獄だし。

 アセモでかゆいし。


 異世界最低!!


 現代社会じゃ冷暖房って常に完備だったもんね。

 熱中症予防とかで24時間フル稼働してたあの世界が恋しい。


 夏なのに、クーラー効きすぎて、寒って思う。

 あの贅沢さ。


 和木が言うように大量の電気がないと、快適空間は作れない。

 だいたい館が大きすぎるんだよ。

 光熱費、考えてないよね。


 クーラー作ってもどんだけ電気いるんだよってぐらい、天井も高くて、一部屋も大きい。

 僕の8畳一間の部屋なんて、こっちのベットよりも小さいよ。


 仕方がないので、僕はベット周りにカヤを作った。

 そしてそれを見たリーインリーズ伯爵は、彼女と彼女の妹のセドリーズのためにも同じものを作って欲しいとオーダーした。


 和木の目がきらりと光る。

「お値段は少し張りますが、構いませんか?」

いとわぬ」

 ニヤリと笑っている。


 こいつこんなに商売根性逞しくなるとは。

 僕は呆れていたが、僕たちの財布の紐は和木君が握っていたので、何も言わない。


「この調子で電気でも開発したら、働かずに生きていけそうだ」

 和木君には勤労意欲は皆無だった。


 そうだよね。

 元々893の組長を継ぐ人だったんだもんね。

 就活とか縁遠かったと思う。


「あっちにいてもショバ代で稼いでた?」

 僕が聞くと和木は冷たい眼差しを向けてきた。


 暴力団いわゆる893関係組織が飲食店、風俗店、時には一般企業からも場所代(ショバ代)、用心棒代としてみかじめ料を徴収して得る利益。

 いったいどれくらいなんだろう。


「んな甘いもんじゃねーよ」

 和木は言った。

「ショバ代だけで生きていけたのはもっと前の世代。うちは花道の家元として得る収入の方が多かったぐらい」

「そうなの?」


「家は潰さなかったけど。親父はめっぽうモテたからな。テレビにも出てたし、明らかにそっちの収入しか多かったと思う」

「893の世界も厳しいんだね」

「そりゃそうさ。だいたい今の土建屋とかが慣れの果て。和歌山でもわりと最近、土建屋の事務所の社員の、拳銃立て篭もり事件あっただろ? 生き残るのはどこでもシビアだ」

「ふうん」


 僕オタクなんで、三次元のニュースあんまり興味なかったよ。

 なんとなく記憶にあるくらいだ。


「だいたいは足洗って、カタギになってるよ。うるさい時代だから、維持する方が面倒なんだって」

 和木君はこれ以上前の世界のことを話すのが面倒になったのか、話を打ち切ってしまった。


 とにかく稼げってことね。

 今の僕たちは自分たちが暮らす家を持つことが目標。


 目標なんて持つことになるとは思ってもみなかった。

 ゲームできてればそれでよかったんだけどなぁ。


 少しだけ変わりたい。

 そんな思いでバスケ部に入部したら、なぜか今異世界転生しちゃったし。


 この夏僕たちは、本来ならば高校2年生になっていたはず。

 あのインハイに向かう事故から、もう一年と少し経過していた。

「オタク家を建てるまで」:2020年12月15日


気分転換に投稿している作品のキャラが、まあまあ活発に動き始めているので、オタクシリーズを再び。

楽しい間は続けようってことで。

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