台所の盗人
おはようございます。
最近ながら書きしてます。
お付き合いよろしくお願いします。日記か!?
※
ラーディオヌ一族の大王神ジウスが伯爵家にいる間、伯爵家へ出入りするのに時間制限がかかってしまった。
警備体制の強化らしい。
てことで台所を預かる僕と和木は、朝早く、夜遅い出勤だったので、夜は伯爵からまた部屋を間借りしていた。
和木が伯爵にわがままを言って、今回は一人一部屋を手に入れた。
バスケの合宿で、四人一緒に箱詰めにされた日が懐かしい。
一人一部屋なんて、なんて贅沢なんだ。
と、今の僕は思った。
もう一度台所の火の元がきちんと消えているかを確認してから、部屋に戻ろう。
鏡づくりは日中の間に、自分家の工房で製作するしかないなぁなんて考えながら、僕は台所に歩いて行った。
ガタンーー!
誰もいないとばかり思っていたのに、僕が台所の扉を開けると、物音がした。
人の気配がある。
僕の気配にそいつも驚いたのか、何かを取り落としたようだ。
このところ、食材が荒らされることがあった。
つまり盗人だ。
腹が空いた神殿に使用人がやっているんだろうと、台所番の僕たちは目をつぶっていた。
大量ではなく、本当に腹が減っているのか、食い散らかして帰って行く形跡が残っていたからだ。
「誰?」
居合わすなんてめんどくさかったけど、僕は言いたいことがあった。
「怒らないよ。お腹すいたんならなんか食べていいんだどさ……」
言おうかどうか少し迷った。
どうしよう。
気を悪くするかな?
怒るかな?
でも。
「食べてもいいけど。君、食べ方汚いんだよ! 人間なんだから、人間らしくマナー守って食べてよね」
片付けるの僕なんだから。
言ってやった。
そうすると、そいつは小さい声でつぶやいた。
「ごめんなさい……」
あ。いいやつだった。
しかもそのか細い声は女の子じゃないか。
「ごめんなさい……」
そうして声の主は、暗闇で座り込んで、シクシクと泣いてしまった。
僕は慌ててその子の側に駆け寄った。
「いや、怒ってるんじゃないし。お腹すいてるんなら、僕なんか作ろうか?」
そうしてその子の側に行き、僕は心臓が止まるかと思った。
白金の長い髪。
白いネグリジェっていうの?
上から下までのワンピースの寝巻き姿で、膝を抱えてこちらを見た少女は!
皇女セドリーズ!!
「ごめんなさい……」
顔を真っ赤にして泣いている。
その顔面には、汚く食べまくった痕跡がある。
野菜、肉、米、が顔と白いドレスを汚し、手は脂だらけ。
あードラムチキン片手に握ってるもんね。
なんて皇女様が!?
飢えるなんてある!?
僕は目玉を落としそうになった。
感想、足跡、コメント、評価、ブクマが次の活力に。
何卒反応よろしくお願いします!
偽りの神々シリーズ紹介
1「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
2「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
3「封じられた魂」前・4「契約の代償」後
5「炎上舞台」
5と同時進行「ラーディオヌの秘宝」
6「魔女裁判後の日常」
7「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
8「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
9「脱冥府しても、また冥府」
10「歌声がつむぐ選択肢」
シリーズの10作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー