神の氏族と美少女
こんにちは。
休憩、休憩。
好きな小説を書くのが息抜きだ。
※
「ラーディア一族の一向が到着されました」
リーインリーズ伯爵敷地内にひかれた、正門から馬車が通る道の両サイドに、僕たち使用人は膝をついてお出迎えを義務付けられた。
「絶対顔あげたらあかんで」
神官のノウハウがわかってきているらしい樫木が、僕と和木に頭を下げろと言ってくる。
「それでなくともあんたら大きくって目立つんやさかい、通り過ぎるまで、硬直しとくんや」
他の氏族の神と言われる男をひと目見てみたかったけれど、僕たちは顔を上げることも許されなかった。
前の世界だと、天皇家とか、耳の横で小さく手を振ってくれたもんだけど。
この国じゃ身分差が激しい。
いや。
前の世界も資本主義という身分差みたいな壁はあったんだけどさ。
土下座させるとかって、いじめとか人権問題になってたからなぁ。
そんな法律なかったら、実際こんなもんだったのかもしれない。
「見たら死ぬ」
ずらっと並んだ使用人達は、樫木以上に怯えていた。
「そそうしたって首がとぶ」
子供を抱えた使用人は、子供に覆いかぶさるようにして守っている。
神様の一向だっていうのに、どれだけ極悪人扱いなのさ……。
正門が開いて、リーインリーズが一行を中に迎え入れた。
めちゃくちゃ華美な御一行を想像していたけれど、案外普通の馬車だった。
警護しているのは10名程度で、馬上に騎士が乗って馬車をぐるりと取り囲んでいる。
西洋人だ……。
イドゥス大陸の民の肌の色は浅ぐろいが、騎士達は彫刻のような白人だった。
金髪、褐色、ブルーグレーの髪色の者もいて、馬車よりも騎士が華やかだ。
横目で様子を伺っていると、樫木に脇を殴られる。
あくまで見るなってことのようだ。
「出迎えに礼を言う」
落ち着いた声で騎士の隊長らしい者が挨拶した。
「大王神様に我が館を使っていただけること、光栄に存じます」
リーインリーズ伯爵も膝を折って敬礼した。
うわぁあ!
あの鼻っ柱の強い人が腰を低くしていることに驚いた。
そしてその横に並ぶ美女を見て、僕はもっと驚いた。
「妹のセドリーズです」
柔らかな金色の髪にエメラルドグリーンの瞳、絶世の美少女だ。
存在は知ってたけど、見たことなかった!!
リーインリーズ伯爵と違って、透き通るような白い肌だ。
「おいっ!!」
あまりの美少女ぶりに骨抜きにされそうになった僕の横腹を、さらに樫木がどついてきた。
えーー?
見ていたいのに。
僕は渋々地面と睨めっこした。
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偽りの神々シリーズ紹介
1「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
2「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
3「封じられた魂」前・4「契約の代償」後
5「炎上舞台」
5と同時進行「ラーディオヌの秘宝」
6「魔女裁判後の日常」
7「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
8「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
9「脱冥府しても、また冥府」
10「歌声がつむぐ選択肢」
シリーズの10作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」