心霊現象より怖いこと
今の日本では家を建てるのに、まぁまぁローンとか組んでる人多い。
悪くはないと思うけれど、私、そんな人の額には、逆三角形の死亡マークが見えてしまう。
この世界ぐらいだと思う。
土地にまで値段つけちゃっている、馬鹿げたこと。
わぁぁぁ。
3D空間にまで値段つけ始めてる始末なんで、行きにくい。
だから手っ取り早く、戦争しようとする勝手な国が出てくるのかも。
もっとおおらかにならないものかなぁ。
※
熟成を早める装置が完成した時点で、僕は10歳くらい老けて、死期が早まった気がしてしまった。
まぁ片手で食べられる食べ物を常に配給されてたから、本当に死ぬことはなかったけどさ。
「この装置使えば、グルタミン酸が増えるから、普通に熟成させるより美味しくなると思うんだ……」
目の下に何十頭ものクマを飼い慣らしながら、死にかけの僕は使い方を説明した。
それなのに、和木は。
「じゃあ早速はじめてくれ」
どこまでいっても司令塔だった。
装置を完成させただけじゃ許されなかった僕は、よろよろしながらお酢と醤油、それから和木にリクエストされた納豆を手に取っていた。
「やっぱさ、この前刺身を食べたけど、醤油の味がイマイチで」
その刺身、僕食べてないから。
少し根に持っていたから、僕は口の端を曲げていたが、和木は人の気持ちをくむ人間ではない。
「今度は美味くなるんだよな?」
前に作った醤油だって僕が作ったんじゃないから、今度はって言われても、なんか困るんだけどね。
僕の心はやさくれていた。
文句をいっぱい言いたかったけど、僕は装置の中に熟成させたいものを入れていく。
「まだ大量には作れないよ」
「それでいい」
和木はうなづいた。
「偉いさんがくる宴の夕食に出せたらそれでいい」
うんーー言い出したの僕だから、頑張るけどさ。
「でも味見分は、おまえが食べるべきだな。ーー刺身とすし飯の完成型、スシを一番に食べるのは、おまえだ」
ゔわっ!!
僕の涙腺はまた簡単にゆるんでしまった。
生まれてから今まで、世の中から認められたことのなかった僕にとって、和木の言葉は何より力になっていた。
「ーーでもさ、寿司とか、素材や酢、醤油の味って、和気くんの能力あんまり発揮でいないと思うんだけど、それでいいの?」
そもそも和食って素材の味だから。僕は思った。
「あ、それな。言い出したのおまえだから、おまえの知力で勝負できるように考えてるよ、ちゃんと」
ちゃんと、ちゃんと、ちゃんと……。
ちゃんと……。
僕の頭の中で和木の言葉が鳴り響いた。
こいつ。
僕が言い出したから、絶対に僕に責任の全てをかぶせようとしている。
悪寒がした。
「だってさ、おまえはラーディア一族の総帥がリーインリーズ伯爵の館に泊まるっていう、俺が気が付かなかったチャンスに気がついだんだ。その心意気に感心させられたからなぁ」
わっ!
そこ、ちょっと根に持ってないかな?
「いや。そうだよな。バスケでもピンチはチャンスとか、黒田も言ってたから。おまえを頼りにしているよ」
本心じゃないですよね!?
トゲありますけどっ!!
ニコニコと和木は貼り付けた笑顔をこちらに向けた。
「絶対、上手くいくと思ってるよ」
背筋がぞわぞわとする。
世で有名な神霊スポットに行っても、これほど寒くはならないだろう。
和木の圧はすごかった。
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偽りの神々シリーズ紹介
1「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
2「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
3「封じられた魂」前・4「契約の代償」後
5「炎上舞台」
5と同時進行「ラーディオヌの秘宝」
6「魔女裁判後の日常」
7「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
8「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
9「脱冥府しても、また冥府」
10「歌声がつむぐ選択肢」
シリーズの10作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー