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スキャンダラスを楽しもうっ♪

こんばんは。

本日更新ススム。


楽しいと書いてしまい、小学生から続けている習慣なので、もう死ぬまで止まない病気かもしれない。

とにかく好きこそものの上手なれってことで。

お付き合いよろしくお願いします。

        ※


 ふわふわふわふわ。

 祝い酒という言葉を知っていたけれど、僕と樫木はめっぽう酒に弱かった。


 料理美味しい。

 酒美味い。


 未成年なんてそんなもんのはずなのに、和木だけは平然としている。


「あかん、あかん、あかん!!」

 突然樫木が吠えていた。

「意識持ってかれる前に、伝えとくことあるんや」


 一生懸命さが伝わってきて、僕は何とか眠気を押し退ける。

「おまえさ……、飲んだ量がふた口くらいなんだけど、よくそこまで酔えるよな……」

 寄りかかりそうになる僕を、和木は人差し指を僕のオデコに突き立てて支えていた。


 つぶやきは痛烈な皮肉だ。

「たまにいるよな満員電車で勝手に寄りかかってくるやつ。ほんと迷惑……」

 オデコに食い込んでるよ、君の人差し指。


 ごめんってば。

 でも世界が回ってるんだ。


「樫木は飲み過ぎ。量の加減もできないってか?」

「ええんや!」

 テーブルにどんと手をついて、樫木は自己肯定している。


 酔っ払い二人に絡まれた和木は、そっと額に手をやっていたが、気遣って(きづかって)やれるほど僕たちは大人じゃなかった。


「まぁ聞けや、おまえら」

「ーーさっさと言え」

 殺すぞと続きそうな殺気を和木から感じ、僕は一瞬正気になった。


「な…、何?」

「三日後だ。イドゥス大陸の神の氏族キコアインに、別の大陸から王族が訪問するらしい」

「別の大陸って??」

 樫木は何だか嬉しそうだった。


「この世界で最も広大で、繁栄しているというアルス大陸。そこのラーディア一族の総大将が、この国を訪問するらしい」

 総帥ってのがこの世界の身分的に正しいから、そう言って。

 総大将なんて表現されたら、急に時代は戦国時代になっちゃうから。


 樫木の言葉表現にぼやきながらも、僕は機嫌よく回る頭で考えていた。

「それはリーインから聞いていた。でもこの国にそいつが来る要件って、いったい何なんだ?」


 そいつって言わないで、たぶんかなり偉い人らしいし。


 和木はリーインリーズ伯爵を、リーインなどと呼んでいる。

 だいたいに置いて和木は、身分ってものを超えていく。


 こいつ前の世界にいても、総理大臣とか天皇家とか関係なさそうだ。

 

 リーンリーズ伯爵。

 うーん。素敵なスタイルの異国の美女だった。


 和木と伯爵。

 二人の関係性も気になるところだったが、僕は和木同様に、そんなお偉い人の訪問の理由を知りたかった。


「どうしてこの国に来られるの?」


 それと。

「僕達に、何か関係あるの?」

 

 言われなくたって、どうせ僕は視野は狭い。


 関係あるかどうかだけが知りたい。

 なければどうでもいい訪問だ。ただの興味本位。


「他国との国交を結ぶための視察だというのが表向きの理由らしいけれど、この国で妃を選ぶらしい」

「じゃぁ僕達全員男だから、関係ないね」


 簡単に結論づけた僕の頭は、和木か樫木か、どちらかにコツかれた。

 いやダブルパンチだったかも。

 酔ってるんでそのへん曖昧あいまいだ。


「貴族から選ぶのか?」

「いいや、一般の民からも選ぶって聞いたんやけど、やっぱりーー」

「それなりの身分は言うよな……」

 なぜか二人は神妙な面持ちをしている。


 わからない僕だけが小首を傾げた。

「要はある程度の身分で、独身女性なら、全員対象ってことなんだね?」

 確認すると二人は、さらに考え込んでいた。


「リオナも応募するらしい」

 え?

 そんな懸賞じゃあるまいし……。

 ないだろ? 樫木。


「リーインも対象になるだろうな。後ろ盾がなくなるのは困る……」

 は?

 おまえらそういう関係なんだたっら、ないんじゃね? 和木。


 僕にはわからなかった。


「三日後か……」

「もうすぐだね」

 僕の言葉が無神経だったのか、二人はまた暗い眼差しで互いに見つめ合っている。


「まぁ。ラーディア一族のお偉いさんの好みなんて、今から気にしとっても仕方ないんやけどな。わい新人神官に採用されたから、そのお偉いさんの好み見届けたるわ」

「候補者は何名なんだ?」

「応募しとるんは100名を超えてる。でも実際対象になるんは10名くらいやって新艦長が。だから対象者の家を警備する言うてたわ」

「伯爵家は?」

 和木が聞いて、樫木は言いにくそうに答えていた。


「それが……、ラーディア一族総帥ジウス・アルス・ラーディアの滞在先って、リーインリーズ伯爵の館らしい」

 和木が少し息を呑むのを感じ取って、僕はあわあわしてしまった。


 これが世に言う三角関係か!?

 修羅場しゅらばってやつ!?


 恋愛経験ゼロの僕の、大きな勘違いだったけれど、僕は心臓をドキドキさせた。

 酒のドキドキも冷めやらなかったので、僕は芸能人のスキャンダルを堪能するワイドショー好きの主婦みたいな気持ちで、ただこの場で眠気を堪えて(こらえて)いた。


感想、足跡、コメント、評価、ブクマが次の活力に。

何卒反応よろしくお願いします!


偽りの神々シリーズ紹介

1「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

2「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

3「封じられた魂」前・4「契約の代償」後

5「炎上舞台」

5と同時進行「ラーディオヌの秘宝」

6「魔女裁判後の日常」

7「異世界の秘めごとは日常から始まりました」

8「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」

9「脱冥府しても、また冥府」

10「歌声がつむぐ選択肢」

シリーズの10作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


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