データサイエンス
こんばんは。
そろそろこっちのシリーズも始動しないといけなくなりました。
てことで、てんやわんや
書きます!
※
「今回の義体は異例です」
「だいたいは異世界転生したとか、死ぬとか生きるとかのサバイバル系を体験したら、次の異世界で納得してくれるんですけど」
「まだ初期のプロトタイプだからな。バグが起こったんだろう。異世界に飛ばしたはずなのに、元いたところに冥府を超えて戻るなんて、バグでしかない」
そこは機械と数字の羅列がモニターに映るだけの空間だった。
会話しているのは、機械だ。
人の気配はない。
「人の脳を補完できる最長の期間を三百年に設定してきたが、初期プロトタイプだけは面白い反応を示すな」
「そんなことを言っている場合か? 紀元前のプロトタイプは、どうやら老いることもないようだ」
会議する声はザワザワと木立の葉が擦れるようにつぶやいている。
「人は動物だったと言うけれど、過去の動物たちはまったく、データエラーばかり起こしてくれるものだな」
「本当に」
「これでは統計による予測がつかない」
「データサイエンス泣かせってところですね」
会議に集まる声は、どこから聞こえてくるのか、その空間は未来だった。
「こんな時黒田家なら、どう対処したのかな?」
「我々の脳だけを残すことを考えた黒田家なら、何か力になってくれるかもしれない」
声の一人は、陰から姿を現した。
人だった。
見た目は、普通の人である。
けれど、決して人ではない。
義体と言われる現在の生命のほとんどを占める人っぽい存在は、義足、義肢、人工心臓、人の全ての部分は、人による製造物だった。
人の生命の完全復活。
脳だけ生きていれば再生できる技術を手に入れた、人と人工知能のハイブリットは考えていた。
「ホモサピエンスの時代じゃ、これがどういうわけか、人外の力とかラバースだとか、言われているらしい」
「死んだものの肉体を再蘇生させて、脳だけ埋め込むってあれ?」
人の形をとったモノは、人らしくため息をついて見せる。
「そう、なんだか我々は神扱いだ」
「神話が再来するなら、時代は廻るってことになるね」
ぽんと手を打った者のは、朗らかな少年の姿をしている。
「アポロ……。遊ばれていては困ります。このところホモサピエンス(紀元前)の時代から、我々のカラクリをあばこうとしている者も出てきました」
「ホモサピエンス最初の冥府の王か」
周囲がどよめいた。
「お前がこの場に足を向けるなど、めずらしい」
「ヨアズ、何かあったのか?」
漆黒の長い髪、闇そのものを纏う禍々しい気配を発する男が、その場に置いて注目を集めた。
「あなた方は脳を初期化したと言いましたが、現状前の世のメモリを残したまま、世界を行き来する身体が増えております。行き来させてしまっていることは、私の失態でしょうが、初期化できていない脳については、あなた方の怠慢では?」
人の肉体は、あらゆる部位に記憶を残すと言うことを、軽んじているからこうなるのだと、ヨアズは心の中で声を上げていた。
ソフィアがいい例だ。
彼女は戻った。
前いたホモサピエンス時代に引き寄せられるように、やり残したことを片付けに行くと、冥府を去った。
彼女の動きは冥府を揺るがす。
「エラーはまだ有意差に達していない」
「そう、きびしめに設定した0.47に達しない限り、今起こっておることは誤差でしかない」
ヨアズは黙った。
これが数字の世界、つまり自分が生命体であった頃の世界の考え方とは、完全に質を異にしている。
「それならば、申し上げることは何もありません」
余剰変数がどうふくれあがろうと、彼らは所詮データの確立計算機だった。
「ヨアズ?」
一番人らしい格好をしたアポロだけが引っ込もうとしたヨアズを呼び止める。
「会議はこれで終わるが、少しだけお前の考えを聞かせてくれ」
感想、足跡、コメント、評価、ブクマが次の活力に。
何卒反応よろしくお願いします!
偽りの神々シリーズ紹介
1「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
2「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
3「封じられた魂」前・4「契約の代償」後
5「炎上舞台」
5と同時進行「ラーディオヌの秘宝」
6「魔女裁判後の日常」
7「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
8「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
9「脱冥府しても、また冥府」
10「歌声がつむぐ選択肢」
シリーズの10作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー