気をつかわせる人
こんにちは。久々に昼休憩に書く。
たぶんストレスが溜まっているので、一回小説の中にトリップしよ。
※
僕は樫木くんとリーインリーズ伯爵に間借りしている住まいに戻りながら、
ふと樫木に聞いてみたいと思った。
「樫木くんってさ、この世界で家持つことどう思ってる?」
「なんで? 賛成してるからこうやって労働してるんだろ」
「そっか」
「なん?」
少しづつ三人で住む家が完成していくにつれ、僕は不安になっていた。
「異世界人だからって、このまま三人で一緒にいられるのかなって……」
「ああ、そんなこと」
樫木はまた顔中で笑った。
「一緒にいられるわけないやんか、気色悪い」
「はぁ?」
僕は目を白黒させた。
「ずっとなんてあるわけない。人の世は移りゆくもんやで」
樫木って不思議な男だった。
やっぱり将来神社の神主になるはずだったからかな。
「だったら家とかって」
「いやいや必要やろ。わいらは今異世界で帰るところないねん」
「うん」
「これから造る家は、わいらがいつかバラバラになったとしても、帰ってくるところなんや」
僕の顔はパァぁああっと明るくなった。
「そっか! そんな考え方できるんだ!!」
「そりゃそうやろ。リトウ君はまぁいいとして、あんな気難しい和木なんかといるのは、わいはごめんや」
あれ?
いいこと言ってたかと思うと、結局そっちなのか??
「和木くん、あんなだけどいい奴だよ」
「知っとるわ。でもわい、人に気を使わせるタイプの人間あかんのや。人でいる限り、気使ってなんぼやろ!?」
んー、そんなもんなのかと僕は思った。
でも胸のつっかえは、思い切って質問したことで、帰り道を歩いているときに取れていった。
目の前の石を蹴ってみた。
うんすっきり。
質問してみることで解決した。
どっかで樫木くんは、家なんで望んでいない。
僕が言い出したから仕方なく同意してくれているだけだ。
そんなふうに思っていたから。
呪術ってのを極めるために、もうじきラーディオヌ一族に旅立とうとしている樫木くんだったけれど。
この家は故郷ってことなんだな。
なんか、じわっと涙が出そうになった。
僕はそれを見られないように、鼻の下をこすった。
くしゃみが出た。
誰かこんな僕のこと、噂しているんだろうか!?
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偽りの神々シリーズ紹介
1「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
2「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
3「封じられた魂」前・4「契約の代償」後
5「炎上舞台」
5と同時進行「ラーディオヌの秘宝」
6「魔女裁判後の日常」
7「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
8「冥府への道を決意するには、それなりに世間知らずでした」
9「脱冥府しても、また冥府」
10「歌声がつむぐ選択肢」
シリーズの10作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
異世界未来ストーリー
「十G都市」ーレシピが全てー