次のステージへ
しばらくは「オタク」シリーズを書いていきます。
お付き合い、よろしくお願いします。
アフターコロナ編を書いているけれど、出そうかどうか迷うのです、
※
いつの間にか、和木が言うように異世界にきて百年。
僕はこの世の生業に、慣れた。
けれど日常ってさ、恐ろしいほどの繰り返しで。
僕の中の変化といったら。
朝食の卵を取る時に、蹴られない技を身につけた。
それから、樫木とリオナが別れた。
そんなことだけで、ぼんやりしていると、寿命ーー、つまり命はどんどん削れていくんだなって思う。
前の世界ではさ。
ベンジャミン・フランクリンの言葉に「時は金なり」って言葉があったと思う。
だったら、異世界転生して百年も経った僕は、随分「金」を得なければならないんだって思ったんだけど、そう言う才能は全て和木任せになっている。
樫木はリオナと別れた後、陰陽師(この世界では術師)としての才覚が買われて、キコアイン氏族である神の氏族から重宝されるようになっていった。
思うんだけどさ、一芸に秀でるってことの重要さは、僕樫木を見ていて痛感する。
「神官就任おめでとう!」
僕が祝いの言葉を口にすると、樫木はリオナを見送ったままの暗い表情で、謝辞を述べた。
「いやぁ。わいにとっては、ラブイズオーヴァーやで。泣くな男だろってことで、仕事しとるだけやし」
リオナ出て行ってもう70年経つから、そっからは、鬼畜なサラリーマンや。
樫木は何故だか親指を突き出し、ガッツポーズを決める。
僕はこれでいいんだろうか。
あっという間に百年という時間を過ごしたことを、なんとなく振り返る。
まぁ。
僕たちの異世界での寿命って三百年ってことみたいだと、倭の国で知ったから、無駄に百年消費しても、現代社会じゃまだ三十代くらいの中年ってことですよね。
和木が料理に手を抜いても、もうこれくらい惰性で生きてれば仕方なくない!?
僕は飽きた朝食の準備をしていた。
そんな時、樫木が言った。
「そろそろ、現世の呪術ではなく、この世界の自分の術力を試したい」
この一言は、イドゥス大陸に来て肩寄合うように過ごしてきた自分たちに変革をもたらした。
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
シリーズの7‘作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」