自分を売る能力はなくても。
こんばんは。
こっちのシリーズも書き始めました。
挿絵が描けてない。
人って、時間上できないことを言い訳にするな。
花粉症の私は思います。
「鼻詰まるんだよ!」
※
和木から真実を聞かされてからは、僕の心の片隅には、いつもバスの事故のことがひっかかっている。
それでも日々、時間は経っていって。
樫木とリオナは別れてしまった。
いや、最初から付き合ってたのかどうか、僕には不明だ。
リオナはリーインリーズ伯爵の家を出て、呪術の修行の旅に出ていった。
※
僕達はまだ迷える子羊だ。
現代社会で存在していれば、高校二年生になって、次のインターハイを目指しているようなひよっこなのだ。
でも異世界転生して僕たちは、急に自分の食うものを自分で得なければならない、つまり学生じゃなく、大人になった。
行かなきゃならない学校はなくなった。
元不登校時の僕にとっては、学校に行くことは僕の人生の最重要任務だった。
でも異世界に来たら、学校なんてどうでもいいんだ。
大人になったら、学校が基軸ではなくて、どうやって食べるためのモノ、生活を安定させる暮らしを形成させるかってことが大事なんだな。
それを知った。
学生生活は、現代でも単に、社会に出て生きていくための力をつけるための場所だった。
そんな学校って場所を人間関係で怖がったり、さらに社会に出ることを怖がっていた僕は。
たぶん親という、森家の小さな家庭に守られすぎていた。
価値観が変わっていく僕は、
その有り難みを嫌というほど知っている。
父マキちゃんに感謝していなかったかといえば、違う。
僕は父マキちゃんや、母ルイさんに食わせてもらった。
育ててもらった。
心理学でいうところ、人間ほど無防備に生まれてくる生物はいないらしい。
生まれてきた仔馬は、すぐに立ち上がろうとするのに、人間は脳ばかりが発達して、親がいなければ世の中に適応できないんだ。
そんでもって人間が考えた義務教育。
義務教育どことか、成人するまで親にその子を育て、その子の行動に責任を持たせる。
子供はしてもらうばっかりなのに。
他の家庭と比べて自分の親を評価して。
賢い頭で親を値踏みまでして。
感謝することを忘れているんだ。
死んでから僕はわかった。
産んでくれてありがとう。
育ててくれてありがとう。
僕の家庭環境は人とは違っていたけど、マキちゃんは書きたい純文学ではなくて、家族のためにお金が稼げるエロ系小説家になってくれた。
ルイさんはさ。料理なんて作ってくれなかったけど、綺麗な容姿を活用してAV女優として金を稼いでいた。
僕には二人のような才能がない。
今でこそ両親の有り難みと才能に感謝したかった。
他の家庭の子が、母親の手料理で夕食を囲むことが羨ましくて。
自分の家庭はダメなんだなって思っていたことがあった。
CMに出てくるような、シチューを囲む家族に憧れていた。
青春真っ盛りみたいな、友達付き合いに憧れていた。
でも大事なのは、そんなことじゃないんだよ。
どんだけ文明が発達しても。
生きるってことが大事なんだ。
生かされているってことへの感謝が大切なんだ。
一回死んで、現世との繋がりのほとんどを絶ってしまって、自分は感謝を知った。
「和木君、僕ほんと今自分たちの力で、家を建てたい。生活力つけたいよ」
和木は僕の方をチラと見る。
「だって樫木はクエストとか、呪術力で自活できるだろ? でも僕はまだ自活できるほどの特技がないからーー」
「あ、そう」
僕が真剣に言っているのに、最近惰性で料理している和木は、惰性で相槌を打ってきた。
なんだよ、もう。
本気で言ってるのに。
あまりにも反応が薄くて、肩を落とした僕に、和木はいう。
「お前、そんな力まなくてもお前は自分のプロデュース能力がないだけだろ? 能力俺たちより高いし。そんなの俺がやってやるよ。お前を金にしてやる」
それが役割分担だと、和木は当然のように言ってきた。
いい言葉のような気がしたけれど、和木くんに言われると、微妙だった。
「売り飛ばさないでね……」
偽りの神々シリーズ紹介
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
「異世界の秘めごとは日常から始まりました」
シリーズの7‘作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」