知りたいことは知りたいさ!
偽りの神々シリーズ
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
シリーズの6作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
※
異世界転生したって、いやって言うほど日常は続くんだよ。
現代社会の闇でヒッキー、いや不登校を気取っていた僕も、そんな日常は通用しない。
うつむいて斜め横向いた時点で、自分たちのボスであるリーインリーズは、クラスを掌握するいじめっ子みたいに、いや、社会を仕切る勝ち組みたいに「ああ?」と言って僕らのマウントを取ってきた。
毎朝毎朝、朝日と共に体内時計起こすのって、しんどいんですけど。
部活でもないのに、とイヤイヤ僕は眼鏡を掛け直す。
仕事だからさ、卵を取ってきて、火を起こしてパン焼いたりパスタゆでたり、ベーコン焼いたりって言う理想的な朝食は作るんだけど、僕の興味はその日常に楽しみを見出せなかった。
最初相棒であるヨースケの方が、仕事で他人の朝飯作るなんてめんどくさくって無理って言っていたけど、今は僕の方が不適格者になってしまう。
料理は楽しい。
でもその楽しさって、和木と一緒にできていたからだ。
仕事って、誰と働くかで随分心の入いりようが違う。
このところ和木は、リーインリーズ伯爵の側近として彼女のそばに居て、食事の準備をサボっていた。
僕は珍しく、五日ぶりに部屋に眠りに戻ってきた和木に、ここぞとばかりに話し掛けた。
「ちょっと……、和木君はもう料理番じゃなくなったの!? そうじゃないだろ!」
強く役割を認識して欲しくて声を出したが、和木はあっさりと「ああ」と肯定してきた。
ひょうし抜けした僕は従業員同士が住まう、異世界人にしては広くもなく狭くもない部屋で言葉を失う。
「ーー和木君……、もう料理人じゃないの!???」
「そういうことになるな」
久しぶりに会話した、チーム異世界転生の仲間はあっさりと現状を口にした。
「今の俺の地位、リーインリーズ伯爵の小姓ってことで、料理人よりは上かもな」
僕はワナワナと震えた。
小姓の意味がわからなかった。
これが現代なら、ヘイシリ!とかアレクサとかに問いかけたよ。
それで、ちんぷんかんな返答ならGoogle先生や、超絶丁寧なWikipedia先生に答えを聞いたんだけど。
小姓ってなにさ!?
えらい人に従う人、って言うようなそんな意味なんだと思うけど。
ここで言うえらい人ってのは、伯爵リーインリーズで、その従者になってしまったってことなんだろうか!?
僕は思わず、僕から背を向ける和木の衣服をがっしりと拳で掴んだ。
「和木君は料理作るの好きじゃなかった? 次の目標、てか夢、和木君は何!?」
仕事せずにお金が入る仕組み作り。
そんな返答は想像できたが、今聞きたいのは魂が喜ぶ生き様のことだ。
「一攫千金」
和木らしい答えが帰り、僕は少し安心した。
万が一にでも、和木にまで異性とのことを口にされば、頭を抱えたい状態だった。
久々に一人称で、かく。