予期しない事件でも、病気でも
偽りの神々シリーズ
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
シリーズの6作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
※
それって確信ついてない!?
自首したなんて、好き勝手する噂話の領域を超えていて、コウは甲斐の顔をじっと見つめた。
「先輩、当事者ですもんね。そりゃショックですよね」
そりゃそうだよ。
あの事故が人為的なものなんだったら。
自分の中で過去として処理しようとしていたことが、諦め切れずに膨れ上がる。
不慮の事故で失ったチームメイト。
不運だったと諦めて、それでも彼らはまだどこか別世界で生きている。
そう思えるから前に進めそうだったのに。
あいつらが命落としたのって、人為的だったって?
「先輩、顔怖いっす」
甲斐はボールをパスしてきた。
「塞翁が馬って言葉知ってます?」
ーーコウは黙ったまま甲斐を見る。
人生の禍福は転々として予測できないってこと。
「ほんと、今の俺らの現実みたいじゃない? バスケやりたくて強豪校に進学したら、先輩らバラバラでまとまってないし。インハイだって感染症でどうなるかわからない。ーー挙げ句の果てに事故の真相が不祥事って……」
サイテー。
甲斐はボールをゴールに叩きつける。
ああ。
新一年のこいつにとってはそうなるわな。
真剣にバスケやろうとすればするほど、目に見えないものに足引っ張られている気はするだろう。
でも。
現実を認めて乗り越えていくしか、自分たちに方法はない。
「でも、行こう。インターハイ」
コウは二、三回ドリブルして、両手でボールをゴールに送る。
スリーポイントシュートは、オールラウンダーになる前に手にしたコウの武器だ。
「あと2回、おまえは3回、チャンスがあるから、行こうや」
オタク家を建てるまで:2021年2月28日