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引きこもり万歳

 偽りの神々シリーズ

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

シリーズの6作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


        ※


 僕たちが異世界転生したその年、和歌山に(なめんな田舎なんだよ)ウーバーイーツが展開された。

 なんでかってのは、僕にはわからなくて、黒田姉弟コンビは知っている。


 謎の感染症コビット19が流行ったから、外食産業は衰退し、それを穴埋めるように田舎でもウーバーイーツが出来るようになったからだ。


今日きょうは、何とる?」

 この頃姉のアイは怠惰すぎる。


 今まで自炊してたのに。

 宅配の美味しいものを届けてくれるウーバーイーツに頼りきっている。


「よくない? 片付けもいらないし、美味しいし、早いし」

 前までだったら、ピザやスカイラークグループ、あと天丼とかの油もんしか宅配なかったけれど、ウーバーイーツが上陸したことで、アイの調理意欲は減退している。


「今日はどこの頼む?」

 電話一本で済むとあって、アイはあまり部屋から出て来なくなった。

「ねぇちゃん……!」

 手料理食いたいんですけど。


 そんなことも頼めないコウは、火の気がないリビングでうなっていた。

 せめてどっか、外出しない?

「ファミレスでいいんだけど、行かない?」

 コウの誘いで部屋から顔の半分を覗かせたアイは、はぁ?、と退屈そうに笑う。


「あんたね、緊急事態宣言なめてる?」

「わぁってるけどさ、和歌山一桁だろ。まぁいいやん」

 ご飯ぐらい、行っても。

 たまたまの。

 たまたまが重なっても、和歌山じゃそんな感染しないって。


「それが甘いんだよ」

 両手でグーを作って、こめかみをグリグリされる。

 このところ、学校の授業もオンライン配信になって、姉の引きこもり度合いが悪化していた。


「どっか出ないとおかしくならない?」

「ならないわよ。こんなオタクに優しい環境、ーー神の恵みよ。今引きこもり堪能しないで、いつするっての!?」

 そんな感じで、部屋から出てこない。


 ゲームのバーチャルリアリティ世界を作るとかで、完全に創作活動に入り込んでしまっている姉は、長い髪の三つ編みすらするのが面倒なようだ。


 ウーバーイーツ。

「届いたよ」

 部屋の扉半分を開いて、食事だけ受けとる姿はもはやメドゥサなみにホラーだ。


「姉ちゃん」

「何? あんた寂しいなら、一緒に食べよ」

 部屋に入ることは許してくれるし、望めばそのお部屋に侵入を許可させてくれるけれど、この引きこもり具合は病気レベルだ。


 インターハイ初出場の華々しい試合の一回戦の直前、僕たちのチームはバスの事故で散り散りになった。だから全国大会に出ることなんてできなかったけど、今年はコロナっていう感染症が理由で。

 大会自体が曖昧になってしまった。 


 まるで練習試合のように盛り上がらなかった全国大会。

 応援や観客なし。


 変な世の中になっていた。


「もう。暗い顔ばっかしないで。今国体競技ではEスポーツもあるのよ。実際バスケできないなら、あんたもウイニングイレブンとか初めて見れば?」

 姉はコロナ下でも非常に元気だった。


「引きこもり!? ありがたいじゃない? 引きこもらせてくれる時間なんて、前じゃほとんどなかったんだから、こういう時こそ、引きこもらせてくれること感謝しなさいよね」

 なんでも前向きだ。

「バスケできない!? あ? 庭にゴール設置してもらってるじゃない。こんな時にダンクとかの練習でもしときなさいよ」

 はい。

 お姉様。


 コウはアイの移動距離が極端に狭められても楽しんで生活している様子に面食らっていた。

「オタク家を建てるまで」:2021年1月3日

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