事故の真相
偽りの神々シリーズ
「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫
「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢
「封じられた魂」前・「契約の代償」後
「炎上舞台」
「ラーディオヌの秘宝」
「魔女裁判後の日常」
シリーズの6作目になります。
異世界転生ストーリー
「オタクの青春は異世界転生」1
「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」
※
「てことは、この異世界に、僕らを誘拐しようとした人が、少なくとも三人来てるってこと?」
「そういうことになるな」
「でも僕らが拳銃持ってきてたかもしれないだなんて、それはないよ」
「わかんねーだろ?」
あのバスは五十人乗りで、バスケ部員総勢26名乗っていた。
それに顧問、監督、マネージャー、運転手、全員で30名だ。
「黒幕が監督、運転手、あと一人少なくともいたってことだ」
「まさか顧問!?」
「大人とは限らない」
「でも逃げるための足を準備にしに行ったって。じゃあ大人ってことじゃ」
僕の推理は正しいはずだ。
子供に足を準備させるはずがない。
「それ、犯人が三人だけの場合な。少なくとも三人って言っただろ?」
ああ。
「体格のいいバスケ部員26名誘拐しようとしたんだぜ。少なくともたった3名の犯行とは思えないし、バスの外にも仲間がいた場合、助けを呼びに行くのは大人でなくてもいい」
なるほど、と僕は思った。
「でも異世界に来てしまったこと、最初そいつも気づかなかったはずだ。俺たちがそうだったように」
確かに最初違和感を感じたけれど、現実の続きだと思っていたもんな。
「でもーー、その後気が付いた。やつは助けを呼びに行って、気づいたんだ、ここが異世界だって」
和木はそれが一人だったのか、二人だったのかわからない、と言っている。
「だから和木君、ずっと用心してたのか?」
和木はうなづいた。
「拳銃扱えるのなんて、俺だけだと思ってたけど、そうじゃないなら用心しとかないとな。奴らは、俺らボンボンの息子26名を誘拐して、たっぷり身代金もらうつもりだった」
そこまで言って和木は苦笑する。
「それで、俺ら身代金と共に、家に帰してもらえたと思う?」
人質と金の取引ほど、難しいものはない。
「てことはさ、奴ら十中八九、俺ら殺す気だったわけ」
僕は震え上がった。
「じゃあ、事故ってなくても殺されてたの!?」
「その確率が高い。俺らバス乗った時から、あの世行き決まってたの」
事故があって、まだ助かった人間もいたんだから、事故は不幸中の幸いだ。
黒田のことだ。
全員が死んだわけじゃなかったんだもんな。
和木の話をあれこれ睨み合わせると、異世界に殺人鬼も転生してるってことだ。
この広い異世界で、もう巡り会うことってないかもしれない。
飢えて死んでるかも。
獣に襲われてるかも。
でも生きてたら。
僕は二度とそいつらに会いたくなかった。
きっと憎む。
ずっと憎む。
「オタク家を建てるまで」:2020年12月28日