表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/58

殺ってねーよ

 偽りの神々シリーズ

「自己肯定感を得るために、呪術を勉強し始めました。」記憶の舞姫

「破れた夢の先は、三角関係から始めます。」星廻りの夢

「封じられた魂」前・「契約の代償」後

「炎上舞台」

「ラーディオヌの秘宝」

「魔女裁判後の日常」

シリーズの6作目になります。


 異世界転生ストーリー

「オタクの青春は異世界転生」1

「オタク、異世界転生で家を建てるほど下剋上できるのか?(オタクの青春は異世界転生2)」


        ※


「それで、どうなったのさ!?」

 僕は和木から聞かされた話に驚いて、震えていた。

 その時の和木の感情が乗り移ったみたいだ。


「俺もバカだよな。もうちょっと隠れて情報収集しときゃよかったのに、拳銃持ってるあいつらを殴り倒したくて、出ていっちまった」

 反省するわ。

 和木は頭をかいている。


 いつも冷静沈着な和木が、それくらい逆上したってことじゃないか。

「当たり前だよ。僕だって……」

 あ、僕だったら腹立ってても怖気付いて出れなかったかな……。


 でもさ、事故っていう自然災害みたいなもんで命落としたのと。

 誘拐されようとして、それ原因で事故に遭ったんじゃ、ずいぶん意味合いが違ってくる。


 あの事故が何らかの人為的な悪意の元に起こったことなら。

 僕達は、浮かばれない。

 いや、異世界転生したんで、すでに浮かばれてないけど。

 でも腹立つ。


「あの時俺がもっと冷静にあいつらの話をちゃんと聞いてたら、お前らに拳銃の話ももっと前にしてたかもしれない」

 あ、そうだ。

 和木は、僕や樫木が拳銃所持してきたことも疑っていた。

 今の話なら、監督とバスの運転手が首謀者じゃないか。


「それがさ、二人だと思っていたら、どうやら違ってた。あいつらを逃すために車を取りに行ったやつもいたみたいで」

『ーーああ、遅いな』

『まさか裏切ったんじゃないか』

 和木は飛び出した瞬間に、その言葉を聞いたのだと言う。


「しくじったと思ったんだ。もうっちょっと泳がしておけばよかったんだけどな、飛び出しちまったから、監督の顔面張り倒すのでやっとだった」

 わ。

 さすが和木くん、戦闘能力高いね。


「でもって拳銃が物騒だから、足蹴りしてそいつ取り上げて」

 うんうん。

「で、銃口を二人に向けた」


 ーー!

「ま、ま、ま、まさか撃っちゃったの!?」

 ここにきて殺人!?

 和木ならやりかねない。

 僕は和木の腕にとりすがった。


「だ、だだ、ダメだよ、和木君」

 過去のことだから、今止めても仕方ないんのわかってたんだけどね。

 人ってのは超えてはいけない一線があって。


「殺ってねーよ」

「ほ、ほ、ほんと?」

「殺してない」


 和木は引き金を引きかけた。


 けれど目の端に、死んだ母親オオカミの横で、その体を舐めている子供のオオカミ。

 ハチを見つけたのだと言った。


 銃口は火を吹くことなく、威嚇にとどまった。

「でも、逃しちまった」


「オタク家を建てるまで」:2020年12月28日

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ